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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 魔天使マテリアル 「さよなら、また会おう」 ( No.54 )
- 日時: 2013/10/16 11:44
- 名前: 瑠李 (ID: x2W/Uq33)
沈黙が三人を包んだ。
雨の音がやけに強く響き、それが余計に涙をさそっていた。
「黎夜、黎夜なの?」
綾香は言った。
レイヤが無言で頷くと、ガバッと抱きつく。
綾香の頬は雨と涙で濡れていて、レイヤの髪を濡らす。
「綾、香・・・・」
呆然とした声が、投げかけられた。
綾香ははっとしたように顔を上げる。
見る見るうちに笑顔になっていく。
「りっ・・・・涼!?」
叫んだ後、レイヤの手を離さぬまま、伊吹に詰め寄る。
レイヤは振り回され、乗り物酔いのような症状を起こしかけていた。
「涼かぁ・・・・久し振りだね・・・あーあ、背も抜かされちゃった・・・」
「何年も会ってなきゃそうなるだろ」
「相変わらず無愛想」
言いながら、突然の再会に心を躍らせ、店の中へ入る。
「先に風呂に入って来い、場所はわかるだろう」
「・・・うん・・・・服は?」
「・・・圭吾先輩に電話する」
「ありがと」
短い会話の後、綾香は風呂へと直行する。
レイヤはまだ夢を見ているかのような瞳で、伊吹に尋ねた。
「夢・・・じゃないんだよな」
「そう思いたい」
「・・・そうか」
伊吹はそのあと、圭吾に電話をした。
圭吾は相当驚き、でも嬉しそうな声音に、「今すぐ行きます!!」と叫んでいた。
伊吹は苦笑し、レイヤは「騒がしい」と言って。
「綾香が上がってくる前に圭吾先輩が間に合えば良いが」
「無理だと思う、絶対」
「綾香の家まで時間があるしな・・・」
結局、圭吾からそろそろ到着するとの連絡が来たのは、綾香が風呂に入り始めてから10分後。
時々風呂場から、「りょーう!圭吾はー!」と叫ぶ声が聞こえるが、伊吹は「静かに風呂くらい入れないのかアイツは」とぶつくさ漏らすのみだった。
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