二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 情報屋ナギ 【出会い編】 ( No.3 )
日時: 2013/10/09 23:46
名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: 7kf.zKti)
プロフ: http://ameblo.jp/hanabi1010/entry-11632165783.html


 ——「侍の国」。僕らの国がそう呼ばれていたのはもう昔の話。

 かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には、今は異郷の船が飛び交う。
 かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には…、今は異人がふんぞり返り歩く。


「オイ凪ー、飯食いに行こうぜェェ」
「オイ銀時、お前それいつもの如くパフェ奢らせる気でしょうが」


 この物語はそんな異人が大嫌いな女と原作主人公の登場から始まる。


 01訓 天然パーマに悪い奴はいないとか嘘だから気をつけて


「うォォォ! 有難うねェ凪ちゃァん! 美味しいパフェごちんなります!」
「とりあえず私の前から消え失せてくれると嬉しいよ、銀時」


 煙草の煙をはきだしながら銀時を睨みつける凪。
 対して銀時は気にする様子もなく、嬉々とパフェを食べにかかっている。


「つーか煙草臭ェよ、凪。なんとかならねェのかよ」
「煙草吸ってんだから煙草臭いに決まってんでしょうが」
「だからそれが何とかならねェのって聞いてんだけどォォッッ?!」
「パフェ代返せ」
「たえます」


 水色の鋭い瞳で睨みつけられるとひとたまりもないものである。
 銀時は鼻を軽くつまみながら美味しく美味しくパフェを食べる。


「…ここの店のパフェって美味しいの? 煙草はいまいちなんだけど」
「イヤその煙草オメーのだから! この店関係ねェから!」
「まァ…いいや。とりあえずもう1本吸お——」


 ——ビシャァァァッ!

 物凄い勢いで牛乳が凪にかかり、机に何者かがぶつかる。
 おかげで銀時のパフェも倒れたようだ。


「「…………」」

「何やってんだ新八! スンマセンお客さん! 
 オラッ、おめーが謝んだよ!」 
  

 ぶつかってきたのは眼鏡の少年。しかしどう考えてもこの少年は悪くない。
 悪いのは先程からニヤついた表情でこちらを見てくる…猫の天人数人だろう。

 ガタッという音を立てて2人は同時に立ち上がった。


「オイ…」
「コラ…」
「…ッッ?!」


 次の瞬間、銀時は店長を、凪は猫の天人を1人ぶっ飛ばす。
 物凄い勢いで両者は飛んでいき、店の角に頭をぶつけた。


「な、なんだ貴様らァ! 廃刀令のご時世に木刀と小太刀なんぞぶら下げおって!!」
「…ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ。発情期ですかコノヤロー」
「店の中ではある程度お静かにっつーエチケットを学べクソ猫どもが」
「な、なんだと…ッ?!」


 銀時は深ぁぁい溜息をついてから、倒れてしまったパフェの入れ物を手に取る。
 そしてそれ片手に銀時は猫達を睨みつけた。


「見ろよコレ。てめーらが騒ぐもんだから、俺のチョコレートパフェが…お前コレ…。
 まるまるこぼれちまったじゃねーかァァァッ!!」

「き…貴様ァッ何をするかァァ!! 我々を誰だと思って…」

「吐き気をもよおすツラをしたヤバ猫ちゃん達だろーが」

「ヤバ猫ちゃんって何だ女ァァッ?! つーか吐き気もよおすとか失礼なァァ!
 ふざけるなよ貴様らァァ!! このご時世で天人に逆らうなど——」

「とりゃぁ」

「グフォォォォォォォォッ」

「何だこの女ァァ?! かけ声超軽いのに威力パネェェェェッ!!」


 窓を突き破って外にホームランされてしまう猫の天人。
 パンパンッと凪は両の手をはらっている。


「な、何なんだ貴様らァァ…!」

「——俺ァなァ…猫さんよォォ…」

「な、なんだ…」

「医者に血糖値高すぎって言われて…、
 パフェなんて週一でしか食えねーんだぞォォォ!!」

「知るかグフッ!」

「水浸しになった煙草返せよコラ」

「だから知るゲッフゥ!」

「「ついでに金貸せや」」

「最後関係ねェェェッ!」


 グッタリと意識を失う猫の天人達。眼鏡の少年は茫然としていた。


 侍と言うにはあまりにも荒々しすぎる。片方なんぞ着物着てないし。
 しかしチンピラと言うには、あまりに真っ直ぐな目をしている。



「ねェ、そこの眼鏡ボーイくん」
「え…? あ、ハイッ!」
「…店長に言っとけ。味は良かったぜ、って」
「でももうちょっと天人へのマナー厳しくした方がいいとも言っといて」


 
 そう言って去っていく銀時と凪。
 眼鏡の少年は茫然とソレを見送った。その時、大江戸警察の者がやって来た。


「いたいたァ!! お前か、木刀と小太刀所持している侍は!!」
「ちょっ…待って、違いますって!!」
「オイ弥七! 中調べろ!!」


 弥七と呼ばれた男が、気を失っている猫の天人を見ている。
 その表情からいくとどこか深刻そうだ。


「あーあ、茶斗蘭星の大使でさァ。こりゃ国際問題になるぜ〜。
 エライ事してくれたなァ、坊主ゥ」

「だっ、だから僕は違いますって! 犯人はもうとっくに逃げたの!!」

「ハイハイ、犯人はみんなそう言うの」


 完全なとばっちりである。
 第一に少年は何故証拠もないのにここまで疑われられなければならないと思う。

 て言うか、と少年の手首を掴んでいた男が言った。


「言い訳は証拠隠して言いなさいよ。
 よし。じゃあ調書とるから署まで来て」


 少年の腰には、先程銀時が使っていた木刀。しかも何か赤いものが垂れている。

 そして地味にささっていた小太刀。
 革製の入れ物に入っているそれだが…どう見たって先程凪が持っていたものだ。


「…アレ? …あれェェェェェェ?!」


 少年の絶叫が、虚しく響いた。



(銀時ィ、アレで良かったのか?)
(いんじゃね? うんいいだろ?)