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三十一訓／太陽と殺戮兵器の誕生と黒の出会い。(夕凪篇)



自然豊かな緑の深い山の奥。



野生動物しか見ないこの地に赤毛の小さな女の子がちょこちょこと歩いていた。



が……






右手に巨大なクマを引きずっている。





「ぱーぱっ」
「おっかえってk……えっと…、それは？」
「クマカレー！」
「捌けってか。俺に生々しく捌けってか」
「カバさんも！」
「カバさん！？」
「ぱかって開いて焼くの！」
「あぁ、蒲焼か。なんだ、鰻でもとってきたのか？」




笑顔で出したもう片方の手にはこれまた巨大な生きた蛇。






「それ主だから返して来い」








こんな毎日。







鵲はここに緋宮の忘れ形見である柳を……

誰にも触れさせないように。願っていた。

三十一訓／太陽と殺戮兵器の誕生と黒の出会い。(夕凪篇)



ある日



こんな楽しい毎日に




幸せな家族に………







亀裂が入る。








「なんだこのガキ！！」
「夜兎か！？」
「傘がねぇぞ！」



柳は肩で呼吸をしながら結構な人数の天人を相手にしていた。




「でてけっ！」
「こいつは戦闘奴隷として売れるんじゃねぇか？」
「お嬢ちゃん、俺たちと来いや」
「触るなっ！」




が抵抗も虚しく人数相手に捉えられ、変な乗り物に乗せられ檻の中に放り込まれた。
そして気づけば巨大な建物内に檻のまま連れてこられていた。




「どこだ……ここ………」
「ここはな」
「宇宙海賊・春雨。天人で結成された宇宙海賊団であり、銀河系最大の犯罪シンジケート。非合法薬物を主な収入源としており、地球でも密売を行っている。組織系統は、元老が春雨のトップに立ち、その下に提督や団長、団長を補佐する副団長がいる組織」





突然の声がした方向を見る。




「ぱ…ぱ？」





返り血を浴びた鵲がいた。




「俺の大事な宝もんに…なに汚い手で触ってんだ？」





そう言い終えた瞬間目の前にいた天人が血を吐いて倒れる。




「くそっ！」
「おいおい、夜兎族に辰羅族もか……戦闘一族がぞろぞろと」





「てめぇら全員、地獄で仲良く暮らしとけや」




鵲はうっすら笑うと煙幕を出した。





何が起こったのかまるでわからない。

ただうめき声と鈍い音が響く。






煙が引けば……血に濡れた鵲が柳の目の前に立っていた。


柳は…恐怖初めて恐怖に怯えた。