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三十訓／男と女。高嶺の花も路傍の石も生きてりゃ価値はかわらねぇ


「どーでもいいけどさ」
「なに？」
「あの後ろの暴れ牛、どうにかしたら？」
「暴れ牛？あれ牛なの？」
「壁、曲がらずぶつかってきてるよ？」
「あぁ、確かに牛だね。闘牛ってやつ？」

後ろよりとんでもないものが追っかけてきていた。

「僕ら勝手に行くからアレどうにかしてよ。巻き込まれたら晴太死んじゃうじゃん」
「……おいらもだけどあんたもじゃないのか？」
「僕は「柳は死なないよ」」

神威は晴太を降ろす。

「んじゃ、夕凪。鳳仙の旦那が殺さないようにみててよ」
「えぇ？」
「子どもは強くなるかもしれないだろ」
「まぁいいや。頑張ってね〜」

夕凪はそう言うと晴太の腕を引き走って行った。

「あっ、鵲きてるっていうの忘れてた。まっ会わないからいっか」

如月に向き合うと自分からも向かって行った。

「よくも兄貴を苔にしてくれやがったな！」
「苔にされるようじゃもうダメだね、兄貴………いや、元春雨第七師団副団長にして鳳仙の旦那の右腕さん」

火蓋が落とされ、物凄い勢いでの兄弟喧嘩が始まった。
その威力は大きく、爆音と共に建物が大きく揺れた。