二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIARYTAIL「悪霊憑き」 ( No.93 )
日時: 2014/09/10 21:20
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)

「聞こえてる」

手を地面に付き、体を支えなんとか立ち上がる。


「7コの魔水晶を……同時に…壊…す…」

「運がいいやつはついでにゼロも殴れる…でしょ?」

「あと18分、急がなきゃ…シャルルとウェンディのギルドを守るんだ」

「ノエルが許した人に…悲しい思いは、させない……」

みんなが息を切らしながらも話す。


“も…もうすぐ念話が…切れる…頭の中に僕が送った地図がある……
各…魔水晶に番号を…つけた……全員がバラけるように…決めて…”

ナツが最初に“1”と決める。
2がグレイ、3がルーシィ、4が私、5が一夜、6がエルザ。
7は…


“ではオレは……!?”

“おまえは7だ”

あの声…ジェラールの声。
グレイやナツが今の声は誰だと聞くがヒビキの念話は切れてしまう。
ヒビキも限界だったのだろう。

とにかく、魔水晶を壊せるのは丁度7人。
誰も加勢に行く事は出来ない。

ハッピーがそう仕切り、それぞれの持ち場へと移動する。
ゼロはきっとナツの所だ。あいつは鼻がいいし。
分かってて選んだのだろう。


「問題は私だよ…、」

ゆっくりと確実に足は進める。
でも残りの魔力で実体化できる奴がいなかった。

近くの枝を拾い剣へ変えるのもいい。
魔水晶を壊せるだけの力が私にあるのならば。


感じようと思えば感じられるノエルが“契約”…、
いや、“友達”になった悪霊たち。
それはノエルとの友達であって私のではない。

ノエルの“お気に入り”は今でも私を認めようとしない。

実体化出来るのはお前だけなんだけどな……シエル。



+++

時間をかけてやっとたどり着いた自分の持ち場。
目の前にあるのは大きな魔水晶。

残る時間ももう残り少ない。
私はずっと黙っているシエルに話かけた。


「シエル」

『…………』

「シエル…」

シエルは私を見ようとせずただ魔水晶を見つめる。

「もう壊せるのは手前テメェだけなの、知ってんだろ?」

『…知ってるよ、』

その言葉に私は続きを待った。
シエルが私のやり方を好んでいないのは知ってる。
でも傷つけることでしかノエルを守ることはできない。

ノエルの心から生まれた私はノエル以外、どうなったっていい。
ノエルが悲しむのは嫌だから。
それでも自身の体を傷つけていい理由にはならないけど。


『…リキ、お前はノエルのこと、どう思ってるんだよ、』




「一番の理解者は手前テメェだろ。私はただ守りたい」



たとえ嫌われようともノエルだけは守りたい。

そう言うとシエルは目を閉じて剣を魔水晶へと向ける。

『契約してやる。オレの名前を呼べよ』



フッと笑う




「対象物に憑依を “憑依パーシオン” シエル!!!」


丁度20分、シエルは実体化しすぐに魔水晶を破壊した。
これでこの戦いは終わる。



そっと私は目を閉じた———