二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIARYTAIL「悪霊憑き」 ( No.94 )
日時: 2014/09/15 16:04
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)
プロフ: あ、ちょっと不正解フラグ

第30問「思念体って何?」

バラバラと瓦礫が降ってくる中、私は目が覚めた。

目を開けると瓦礫が落ちてきていたこの状況に頭がついていけず硬直する。


「! ノエルッ」

誰かに腕を引かれ走り出す。
何とか瓦礫につぶされずに済んだようで。
この残骸たちは…ニルヴァーナだよね。

あれ…駄目だ、何していたのか思い出せない。

「大丈夫か?」

「シエル…?なんで」

「説明すると長くなるからまた今度な」

そういって幽体へと戻っていくシエル。
私の魔力も限界が近づいてきていたようでシエルが戻ったと同時にその場に座り込んだ。

後からグレイさんや、ルーシィさん、ハッピーさん達も集まってくる。
だけどナツさんだけはまだ来ていない。
何をしているのかとみんなが心配すれば地面の中から六魔将軍の人と一緒に出てくる。

「六魔将軍が何で!!?」

「いろいろあってな…大丈夫……味方だ」


その六魔将軍はナツさんのほかにもう一人、抱えていた。
ナツさんが立ち上がるとウェンディさんはナツさんへ抱き着く。

「本当に約束守ってくれた…ありがとう!ギルドを助けてくれて」

(ウェンディさんのギルドが狙われていた?)

全然わからない。気がついたら全てが終わっていた。
残りの六魔将軍はいったいどうなったんだろう。


「みんなの力があったからだろ?ウェンディの力もな
今度は元気よくハイタッチだ」

「はい!!」

2人は笑ってハイタッチをする。私だけがただ不安でいた。
でもきっと記憶がないことを悟られちゃダメだ…。
また新しい問題を作るわけにはいかない。もうすべて終わったんだ。

それにこんなことは前にも何度かあったからきっと大丈夫。

みんなが大きな切り株に背中を預けているジェラールさんを見つけ、誰だと問う。
それにお姉ちゃんとウェンディさんは記憶を失っているジェラールだと言った。

お姉ちゃんはジェラールさんの所へ。
ウェンディさんはみんなに説明しているみたいで。
そういえば知り合いだったんだっけ…。


「メェーン」

ゴチィンという派手な音を鳴らし、何か見えないものにぶつかったらしい一夜さん。
地面には文字が書かれている。これは術式か…。

「手荒な事をするつもりはありません。
しばらくの間、そこを動かないでいただきたいのです」

多数の足音が聞こえ、私たちの前に立った人たち。


「私は新生評議員第四強行検束部隊隊長、ラハールと申します」

その評議員の人達はホッドアイを渡せ、と要求する。
反抗しようとしたジュラさんだが、ホッドアイは一からやり直したいという。
弟を変わりに探そうといって出てきた名前がウォーリー・ブキャナン。
お姉ちゃんはそれを聞いて今は大陸中を元気に旅していると伝える。
ホッドアイは涙して評議員の元へと行った。

次に評議員が要求したのはジェラールさんだった。

「ジェラール・フェルナンデス。連邦反逆罪で貴様を逮捕する」

抵抗する場合は抹殺の許可も得ている、と。
記憶を失っているんだ、と抗議するがそれは聞いてもらえず。
ジェラールは抵抗する気はないと静かにいう。


「エルザ、いろいろありがとう」




お姉ちゃんの拳が震える。

Re: FAIARYTAIL「悪霊憑き」 ( No.95 )
日時: 2014/09/21 15:55
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)

死刑か無期懲役はほぼ確定。
その時、動き出したのはお姉ちゃんではなくナツさんだった。

「行かせるかぁぁっ!!!」

そう叫び、たくさんいる評議員の中へ突っ込んでいく。
その道を作るためにグレイさん達も動いた。
魔力が尽きているルーシィさんも戦闘へと混ざる。


私は立ち上がる力はあっても暴れられる体力まで残ってなかったからその場で座ってその様子を見ていた。



「来い!!ジェラール!!! おまえはエルザから離れちゃいけねえっ!!」

あともう少しでナツさんがジェラールさんに近づく。
だけど評議員にそれは取り押さえられてしまう。
それでもナツさんは叫んだ

「ずっと側にいるんだ!エルザの為に!!
だから来いっオレ達がついてる!!仲間だろ!!!」



「全員捕えろォォォ!!
公務執行妨害及び逃亡幇助とうぼうほうじょだー!!!」

「ジェラーール!!!」











「もういい!!!そこまでだ!

騒がしてすまない。責任はすべて私がとる。




ジェラールを…つれて………いけ…」



「エルザ!!!」





「! そうだ…おまえの髪の色だった。


さよなら   エルザ」




「ああ」


去り際にジェラールさんはそういって連れて行かれた。
場は静まって評議員の人たちはいなくなっていく。

お姉ちゃんはそっとどこかへいってしまう。
誰もそれを追いかける人はいない。



+++

化猫の宿、ギルド前。
そこで治療や着替えをすましたみんなが集まっていた。

『こいつら……』

「シエル?」


『いや、なんでもない』

化猫の宿のマスター、バウルさんが礼を言う。
それに調子に乗った一夜さんだが、あいつ活躍したか、という声が上がる。


この流れは宴だろう、とナツさんが騒ぎ数名が踊りだす。
でも化猫の宿の人達はそれには乗ってこない。

「皆さん…ニルビット族の事を隠していて本当に申し訳ない」


バウルさんはそのまま話を続ける。

化猫の宿の人たちはニルビット族の末裔などではない。
ニルビット族そのもの。
400年前、ニルヴァーナをつくったのはバウルさんだ、と。


400年前、世界中に広がった戦争を止めようと善悪反転の魔法ニルヴァーナをつくった。
ニルヴァーナはバウルさん達の国になり、平和の象徴として一時代を築く。
しかし強大な力には必ず反する力が生まれる。
闇を光に変えた分だけ、ニルヴァーナはその“闇”をまとっていった。

バランスをとっていたらしい。
人間の人格を無制限に光に変えることはできない。
闇に対して光がうまれ、光に対して必ず闇が生まれる。

人々から失われた闇はニルビット族にまとわりついた。
それは地獄。ニルビット族はともに殺し合い、全滅。

生き残ったのはバウルさんだけ。


「いや…今となってはその表現も少し違うな。
我が肉体はとうの昔に滅び、今は思念体に近い存在。

ワシはその罪を償う為……
また…力なき亡霊ワシの代わりにニルヴァーナを破壊できるものが現れるまで
400年…見守ってきた。今…ようやく役目が終わった」

バウルさんは顔を俯かせ、ウェンディさんが体を震わせる。
その時、他の人達は次々と消えていく。

ギルドのメンバーたちは皆、バウルさんお作り出した幻。
人格を持つ幻なんて…

シエルはこのことを言っていたのか。

このギルドはウェンディの為に作られたギルド。

「ウェンディ、シャルル……もうおまえたちに偽りの仲間はいらない。




本当の仲間がいるではないか」

バウルさんは私達を指さし、笑顔をウェンディさんに向ける。
ウェンディさん体を震わし涙を流す。

「おまえたちの未来は始まったばかりだ。
みなさん、本当にありがとう。ウェンディとシャルルを頼みます」



「マスタァーーー!!!」


ウェンディさんの泣き叫ぶ声が響く。
そこにお姉ちゃんはトン、と肩を叩いた。


「愛する者との別れのつらさは………仲間が埋めてくれる。

来い。妖精の尻尾フェアリーテイルへ」