二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.181 )
日時: 2014/04/12 22:26
名前: 瑠璃& ◆eLkrjSIK9U (ID: V5dR7mxV)

第七話 >> 01

〜ケイside〜

あの日、僕は母さんと2人で遠くの旅館に来ていた。
父さんはおじさんと会ってどこかに行くと、聞いていた。
今から考えれば、レッドの仕事をしていたんだろう。
とにかく僕は、アスカ達が来るより先に旅館に着いていた。

「ケイ、今日はアスカちゃんに会えるわよ。楽しみ?」

母さんがカバンから荷物を取り出しながら、僕に聞いて来た。

「……ん」

曖昧に頷いた。
アスカ、という子には会った事が無かった。
父さんの兄の子で、つまりは僕のイトコに当たる……らしい。
母さんからちょくちょく話を聞いている限り、同い年の女の子みたいだった。
ただ、年賀状の写真を見てー

会ってみたいな、と思った。
有名な博士とか教授じゃなくてー
ただの女の子に。
イトコだから、とかー

そういうの関係なく、会ってみたいと思った。
よく分からない初めての、不思議な感情だった。
その頃からだった。
次にいつ、アスカという子のの所に行くのかと母さんに問うたり、写真を見せてもらったりー
そんな風に僕が言うのは初めてだったから、母さんも父さんも驚いていた。
僕でも不思議なのだから、理由を聞かれても、答えられないのだけど。

「来る時に見た山があるでしょう? そこを少し切り開いて作った公園が、あるんですって。アスカちゃんと行ってみたら?」
「うん……」

母さんは大丈夫だと言うけど……
僕は、アスカと話すのが不安だった。
同い年の子からは、気持ち悪がれ、先生からは面倒がられている僕を相手になどしてくれるのだろうか……
誰に嫌われようと、母さんと父さんが居れば大丈夫だったけど。
アスカという子には、嫌われたくないなー
と、思った。
変な事言わないようにしないと。

「心配してるの? ケイ」

母さんに言われて、コクンと頷いた。

「大丈夫よ、ケイ。アスカちゃんはケイの事、嫌ったりしないわよ」
「ん……」

ぽんぽんと頭を撫でてもらうと少し、落ち着いた。

「ありのままのケイをアスカちゃんは、きっと好きになってくれるわ」

しゃがんで、「ね?」と、言われれば大丈夫かな、と少し思った。
心配ではあったけど、話してみなければしょうがない、という気もした。
実験だってやるまでは、証明は出来ないし。

「うん」

と、頷けば母さんも笑顔になった。
その時、ガラッとふすまが開けられた。