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第八話 >> 03

〜ケイside〜

好きー
思わず出かかった気持ちを、慌てて押し込んだ。

「ほんと？」

目に涙を溜めて、聞いて来る。

「ほんとにほんと？」
「……うん」

本当。だから、ずっとこのままで、居て欲しい。
そんな言葉は、喉に引っ掛かって言えなかった。
ただ、少し残っていた涙を指先で、掬うのが精一杯だった。

「じゃあ、わたしきるのや〜めた！」

勢いよく、立ち上がった。
見下ろされる顔には、涙なんて無かった様な笑顔だった。
でも、確かにさっきまでは涙があってー
それを僕が掬い取ったというのが、少しだけ誇らしかった。

「ん〜そろそろかえる？ あがるの、たいへんそうだし」

それもそうだ。
遅くなったら、母さん達が心配する。
立ち上がろうとした瞬間、痛みにうずくまる。

「ケイ！？」