二次創作小説(紙ほか)
- Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.217 )
- 日時: 2014/05/02 22:45
- 名前: 瑠璃& ◆eLkrjSIK9U (ID: V5dR7mxV)
第八話 >> 04
〜ケイside〜
「どうしたの!?」
「……何でも無い」
痛みに顔を顰めそうになるのを、抑えて言う。
「うそ! ぜったい、なんかあるでしょ?」
「……無い」
「ケガしてるんでしょ! どこ!? あし!?」
意外に目敏い……
そんな事を考えていると、足を無理矢理引っ張られる。
抵抗したけど、全く意味は無いみたいだ。
逆に体力消耗するだけ。次からは、やめよう。
「ほら〜もう! なんでいわないの!?」
さっきまで髪引っ掛けて、泣いてたアスカに言われたくない。
「いたいんでしょ!? えーと、ハンカチが……」
アスカが慌ててポケットから、ハンカチを取り出す。
そして、多少おぼつきながらも、足首を固定してくれる。
「あるけない……よね! せおうから、きて!」
一瞬、唖然としてしまう。
確かに、歩けない。でも、普通に考えて肩を貸すとか……
そういう事だろ?
しかも、背負う? 無理だ。
どう考えても、アスカの体に僕を背負うだけの力は無い。
……はずだ。断言はさっきからのを見てて、難しい。
でも、体重の差はさほど無いだろうし、はっきり言って無理だ。
と、考えてたのにー
「ほら、早く!」
苛立った声で言われ、思わず屈まれた背にしがみつく。
まあ、立つ間も無く前のめりになるか、落ちるだろう。
と、思っていたのにー
さすがに少し足元がおぼつかないものの、平然と歩く。
思わず、ギョッとしてしまう。
この体のどこに、こんな力があるのか……
「ア、アスカ……?」
「なに?」
いや、何? じゃなくて……
「しんぱいしなくても、おとしたりしないよ?」
いや、そういう事じゃない。
それも考えてたけど、それじゃない。
そんな事を考えていると、早くも上がる道を見つけたのか、着々と足を掛けて登っていた。
「……あ! ねえ、ケイ。おかあさんたちには、やまにきたことナイショね?」
「……なんで?」
「わたし、ぜぇったいにおこられもん! このまえも、まどガラスわっちゃったし……ね?ナイショだよ?」
まあ、別に良いけど。
アスカの演技じゃ絶対バレる。
「説明は僕がするから」
一瞬、後ろからでも分かるほど驚き、
「うん!」
と、笑顔で言ってくれた。
「じゃあ、ひみつだね!」
「秘密?」
「ふたりだけのナイショのヒ・ミ・ツ!」
笑いながら言うアスカを見て。
久しぶりに自然に頬が緩むのを感じた。