二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.269 )
日時: 2014/05/28 07:32
名前: 瑠璃& ◆eLkrjSIK9U (ID: a6RsoL4B)

第九話 >> 03

〜ケイside〜

別に、許してもらえるなんて思ってなかった。
あんな目で睨むようにアスカを見たのだから……
ただただ、アスカが憎かった。
今ではどうしてか、考える程に。

仲良くなれたと思ってた。
向こうがどう思ってるかは知らないけど、少しは親しくなれたと。
でも、違ったのだろうかと。
僕が居ようが、1人で美緒さんを呼んで泣き叫ぶ、アスカを見て思った。
信じられないほど、憎かった。

だから、分かってはいた。
前みたいに、声なんてかけてくれないんだって。
でもー

僕の乗り物酔いは、この頃から酷かったから、
父さんが早めに連れて行った。
アスカが来て、最初は前みたいに笑ってくれた。
だから、いつもみたいに、ケイ! と、言ってくれるのだと、思ってしまった。
目を逸らされたのは、正直キツかった。

レストランに向かう途中、
僕らは父さん達より少しだけ後ろを歩いてた。
いつもは、アスカから繋いでくる手を、持て余して。
何も話さない僕らを見て、父さん達は疑問を持ったようだけど、あえて何も言わなかった。

父さんと話すのは、本当に少なくなった。
父さんも一生懸命だったんだろうと思うけど、
受け止めてくれないから、泣けなくて、
母さんが死んで、悲しくて悲しくて仕方が無いのに、
泣いたらいけない気がして、
いつの間にか、泣けなくなっていた。
我慢し過ぎて、心は張り裂けそうなのに、涙は少しも出なかった。

アスカー
でも、アスカなら受け止めてくれるんじゃないかとか、馬鹿な事を考えなければ良かった。
アスカに会いたかった。話したかった。
この一ヶ月、気づけば母さんとアスカの事しか、考えれなかった。
アスカーアスカーアスカー
なんで、こっちを見てくれないの?

「アスカー」

思わず呼び止めてしまう。
こんな事したって一緒なのに。
アスカの服の裾を、キュッと掴んで引き止める。
もっと、言うことがあるのかもしれない。
謝ったりしないといけないって、頭では分かってるんだ。
でも、出て来たのは、

「アスカ……」

小さく、掠れてしまったかもしれない。
それでも、他に伝えたいことなど無くて。
アスカ、アスカ、アスカ、
なのにー