二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.275 )
日時: 2014/06/07 13:16
名前: 瑠璃& ◆eLkrjSIK9U (ID: a6RsoL4B)

第九話 >> 06

「あの時、ごめん…ね」

なんであの時、拒絶したんだろう。
辛いことだって、わかってたはずなのに。

「別に、何が?」

わざと知らないふりしてる。
それぐらい、分かんない訳ないじゃん。
それが、ケイの優しさってことも。
それくらい、分かるんだよ? 私。
でも、私も分かんないふりをしてあげる。

「でも、さ……」

あの時、終わってしまったんだ。
ケイが教えてくれた、あの旅行ー
そこで始まってー
私が拒絶して、そこで終わったー
もうやり直す事なんて、出来なくて。
どうしようも無いことで。
でも、

「終わってないよ」
「え?」

ケイのはっきりした声に、私は驚く。

「……あそこで終わったとしても、これからだから」
「これ、から?」
「もう一回、始まったんだよ」

春休み。
ケイとおじさんがうちに来た。
そこから、始まった?

「そっかぁ……」

あそこで始まって、これから、なんだ。
そうだよね。
まだまだ時間は、一杯あるしね!
前みたいに仲良くだって……
べ、別に前みたいな事、したいんじゃなくてね!
手繋ぐとか違うから!
ぶんぶんと頭を振って言う。

「これから、よろしくね! ケイ」
「いきなりだね」

そこは、よろしくでしょ〜もう!
ま、良いや。ケイらしいし。
と、そういえば。

「足は大丈夫?」

話に夢中になってた。

「……帰って湿布貼るから平気」

つまり、今は痛い訳ですよね?
帰って、とりあえず冷やして……
固定して、と。
お父さん達、起きてるかなぁ?
遅くなったし寝てるかも。
こんな事になって、説教されてトレーニングだ! とか、言われたら面倒だし。
そういうのは、疲れたし明日だ、うん。

考え事をしながら、
背中になんだか懐かしい、ケイの温かさを感じながら、
足を速めて帰路を急いだ。

第一章 〜始まりと終わりとこれから〜 完*