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第一話 >> 03

〜ケイside〜

「んっ」

鼻にかかった様な声に、起こしたのかと驚く。
でも、少し動いただけでまた眠ってしまった。
ホッとして息を吐く。
その時、ホッとしたのも束の間、

「……ケイ」

起きたのかと、再度びっくりしたが寝言だと気づく。
何の夢を見てるのかと、考えた瞬間、カァッと頬が熱くなる。
だって、少なくともその夢には……僕が出てくるという事。

「……アスカ」

そっと声に出して呼んでみる。

「アスカ……」

何かが心から溢れてくるのを感じた。

「アスカ」

それは、無視出来ない程強かった。
衝動、といった方が良い。
手が伸びて、アスカの頬に触れる。
温かい……
つっと指を滑らせる。
壊れてしまいそうだ、と思った。
そんなはず、無いのに。
僕が触ってしまったら、壊れてしまうかもしれない。
傷つけてしまうかもしれない。
アスカはそれほど、脆い物なのかもしれないと思った。
壊したくないから、大切な物だから、そっと手を離した。
その時、初めて、僕は自分の感情に気づいた。

僕はアスカが好きなんだ。