二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.319 )
日時: 2014/08/18 20:36
名前: 瑠璃& ◆nM8P74KkG2 (ID: a6RsoL4B)

第三話 >> 04

「キレーイ」

近くの広場にあったツリーは本当に綺麗だった。
思わず声を上げるほどに。
それもまだ、あんまり近づいてない頃から。

「ケイ!」

本当に自然な動作で、私はケイの袖を引っ張って、連れて行った。
急に我に返る。

「ご、ごめん!」
「…………別に」

久しぶりにケイの声を聞いた。
ほんの少しだけ、記憶にあるケイの声よりも、
少しだけ大人びていた。
なのに、まったく変わらなく感じた。

「……綺麗、だね」
「……ん」

返事が返って来るとは、思わなかった。
少しだけ……ううん。すごい嬉しかった。

「ケイ……」

それと同時に分かった気がする。
次に会っても、私達はこの事を引きずらないんだって。
なんにもなかったように、顔を合わせて、ろくに会話もしないんだって。
それを私は不思議に思って、ケイも少しだけ不思議がって。
でも、なかったように過ごすんだ。
それは当たり前の事だけど、ひどく寂しい事に思えた。

「……何?」

ケイの声が寂しげに聞こえたのは、私の独りよがりかなぁ?

「この事はさぁ、」
「……?」
「2人だけの」

少しだけ言葉を区切る。

「ナイショの秘密にしようよ」