二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.328 )
日時: 2014/09/01 07:19
名前: 瑠璃& ◆nM8P74KkG2 (ID: a6RsoL4B)

第四話 >> 04

〜ケイside〜

「行こ……ケイ」

なのに、そんなアスカの一言に、意図も簡単に翻弄される僕だった。


……今日のアスカは変だった。
会ってすぐ笑いかけてくるし。
それだけで、僕が作っていた壁なんて、見事にひびが入るんだから。
『行く?』なんて、聞かれれば、
僕が頷いてしまうなんて当たり前で、条件反射みたいなものだ。
まあ、行かないって言っても、
昔みたいに、泣いたり喚いたりなんて、しないんだろうけど。

こんな風に言われて、心が動かないはずがない。
『ケイ』、なんて何年ぶりだよ。
前の時、頑張って耐えたのに。
忘れた頃になってなんでまた言うんだよ。

子供っぽい言い訳。
自分が嫌になる。
……まだ、子供か。
僕もアスカも。

「ケイ!」

ツリーに歓声をあげたかと思えば、いきなり呼ばれた。
屈託無い笑顔。
昔と何にも変わらないみたいに思えるような。
そんな、笑顔。

袖を掴まれて、ツリーの近くまで連れて行かれた。

「ご、ごめん!」
「…………別に」

なんで、謝るんだろう。
アスカも戸惑っているのかも、しれないけど。

「……綺麗、だね」
「……ん」

あの頃とは違う、少しだけ大人びた横顔で、
僕はそんな返事しか出来なかったんだ。

時が、止まれば良いのにと思った。
そんな事、ありないのだけど。
数時間前の自分が聞いたら、笑うような願い。

止まることは、叶わない。
僕等は嫌でも、進まないといけない。
でも、あと少し。あと少しだけ。

アスカの隣に居たい。