二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗レッド〜幼き頃の私達〜 ( No.373 )
日時: 2015/03/29 20:57
名前: 瑠璃& ◆nM8P74KkG2 (ID: IjQjsni6)

第六話 >> 04

「そ、それってさ、ケイ……」
「? 何?」
「他の人に見られるのが嫌とかそういう……事って解釈して良い?」

いや、違うよね!?
思わず聞いちゃったけど、そんな訳ないし!
ごめん、今のなし! って言おうとした時、

「……そうだね」

表情一つ変えずにケイに言われて、自分でも分かるくらいに、ほおが熱くなる。
い、いやでも!
ケイは私が思ってるような意味で言ってるわけじゃ……
って、私がどんな意味を思いついてるとか、そういうんじゃ……
ああ、もうなんでそんな普通に言うかな!

他の人にも……そんな風に、さらっと言うの?
クラスの女子とか……さ。
そう思ったら、なんかもやもやしてきた。

私以外に、髪型の事言ったり……
褒めたり? あと、さっき言った事……
言って欲しくないな……なんて思った。

「ケイはさ……」

思わずぶつけそうになった時、足音に気づいた。
多分、外の階段を上ってる感じの。

「……おじさんだ」
「? 父さん?」

なんで分かる? とばかりに首を傾げるケイに答えてから、立ち上がる。

「ちょっと行って来るね。鍵開けなきゃ」

頷いたケイに、ちょっと迷ってから近づく。
そっと耳打ちする様に囁いた。

「あの前髪。やってくれた実咲以外に見せた事ないよ。
それに……この髪型もケイ以外に見せる気ないよ」

手首に巻いていたゴムで手早く髪を結ぶ。
……ケイ以外に見せるはずないよ。
コレは……ケイに昨日言われたから、やったんだよ!
なんて言えないけど。
ちょっとでも伝わってれば良いな。

今度こそ本当に、玄関まで向かった。

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〜ケイside〜

思わず肯定した。
むしろアスカに分かってもらえるとは思ってなかったから、そっちに驚く。
と思ってたら、アスカの顔がみるみる赤くなる。
……もしかして、
いや、もしかしなくても、おかしい事言った……か?
素直に気持ちを言っただけ、だが。

赤みが減って俯いたアスカが言う。

「ケイはさ……」

何か言いかけた時に、アスカがふと顔を上げた。

「……おじさんだ」
「? 父さん?」

なんで分かるんだ……
首を傾げてるとアスカに言われる。

「足音が聞こえたの。外の階段を上ってると思うんだけどね。
あと、重さで分かるの。体重とかで変わるでしょ、足音」

当然のように言われる。
まあ、理論的にはそうだけど……
聞こえないから、普通。

「ちょっと行って来るね。鍵開けなきゃ」

頷いたら、何故かアスカが近づいて来る。
そっと耳打ちする様に囁かれた。

「あの前髪。やってくれた実咲以外に見せた事ないよ。
それに……この髪型もケイ以外に見せる気ないよ」

声が届くと同時に、熱い吐息に驚く。
慌てて振り向くと、アスカが耳まで赤くしながら、髪を結んでいるのが見えた。
……父さんにバレないと良いけど。

なんて、どうでもいい事を考えて、頬が熱くなったのを誤魔化す。
まったく……なんであんな風に言えるんだよ。

……僕の為に、髪を下ろしててくれた、なんて。
思ってもみなかったけど。
少しだけそう考えても良いだろうか。

「あぁ、もう」

アスカの心配してる場合じゃない。
僕が顔を赤くしてたら、父さんに怪しまれるに決まってる。
それでも、まだまだ熱さは引く予感もなくて、

「本当にアスカには……」

敵わないなぁ。

口に出さずに思う。
本当に敵わないんだ。アスカには。
何年経っても。

随分経って、少しくらい上に立てると思ってたのに。
全然敵わない。
それは、もうずっと前から変わらない。

なのに、不思議と仕方ないな、とも思うのだ。

アスカが今頃赤くなってるんだろうな、なんて思いながら、
父さんをなんて誤魔化すんだろうって、ちょっと楽しみにして、帰って来るのを待った。

第二章 〜これからの一歩前の〜 完*