二次創作小説(紙ほか)

プロローグ ( No.1 )
日時: 2014/08/11 11:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 ポケットモンスター、縮めてポケモン。ボール大のサイズに、体を縮小させることのできる、不思議な生物である。その種類は、多種多様で、世界の各地に分布しており、人間とは互いに助け合って生きている。
 そして、ポケモンを育てる人々、ポケモントレーナー同士が自慢のポケモンをぶつけ合う競技、ポケモンバトルが出てきた。それは、戦ったポケモン同士の絆を深めるだけでなく、トレーナー同士の絆、そしてポケモンとトレーナーの絆を深めるものだ。
 そのほかにも、愛玩用に飼われて可愛がられるポケモン、人間の仕事のサポートや、工事現場や採掘現場での力仕事で貢献しているポケモンなど、色々ある。
 この美しい大地、”カロス地方”も例外ではない。現在、このようにポケモンと人間は関わり合い、助け合って生きているのだ。

 そう、”現在”は---------------








***

 -------何だ……これ?

 少年は、確かにこの目で見た。多くの武器を装備したポケモンたちが、血で血を洗う争いをしている場面を。そして、鎧を着た人間たちが剣で切り合っている場面を。

 ---------これは……戦争!?

 まさしく、そうだった。多くの命が失われる、悪魔の盤上。ここからでも、血の匂いが漂ってくる。少年は、逃げ出そうと駆け出すが、足が動かない。恐怖で震え。
 その時だった。何かが、高く高く天空へ上がった。閃光弾?いや、違う。もっと、もっと高く上がっていくのがわかる。宇宙へ向かって。

 そして-----------爆散した。いくつもの光とともに。

 それは、戦場に在ったあらゆる人間やポケモンを焼き尽くす。
 それは、この大地にあった、全ての森林を焼き払う。
 それは、一瞬にしてすべての命を終わらせる。
 それは、一瞬にしてすべてを破壊する。

 無情にして、無慈悲な一瞬の出来事。

 まるで-----------------光そのものが悪魔だった。

 光が、自分に向かってくる。いくつもの命を奪った光が。少年は、その間、何もできなかった。ただ、向かってくる光を受けるのみ--------


 そこで、少年は視界の光を失った。


***


「はぁはぁ、夢か-----------!!」

 少年-----カルムは、ガバッと起き上がる。何かを、放り投げたような気がしたが、気に求めず、ここが自室であることを確かめる。心臓がどこにあるのかがはっきりし、高速でビートを刻んでいくのがわかった。首筋に冷や汗が伝い、その凄まじさを物語る。
 しかし、だんだんと収まっていく。
 そう、全て夢だとわかれば。

「やたらリアルだったな……あ。」

 直後、彼は自分が何かを放り投げたことを思い出した。枕ではない。二度寝の邪魔になるため、ハンマーで完膚無きまでに叩き潰した目覚まし時計でもない。それは見覚えのあるポケモンだった。それもそのはず、物心付いた頃から一緒に居る幼馴染のような存在。
 灰色のきれいな毛並みをしており、紫色のつぶらな瞳を持つエスパーポケモン、ニャスパーだ。ニャスパーは、まさか放り投げられるとは思わなかったのか、怒った顔でカルムを睨んだ。

「わ、ニャスパーごめん!」

 ニャスパーはいつも彼の腕に抱きかかえられたまま寝るのだが、それはニャスパーがカルムを信頼しており、懐いているからだ。しかし、いくらなんでも気持ちよく寝ている間に、いきなり放り投げられたのでは、たまったものではない。ましてや、しばらくの間無視されていたのである。ポケモンでなくても怒る。ニャスパーは、ぷいっとそっぽを向いてしまった。だが、一方のカルムは相棒に怪我が無くて良かった、と安堵の息を着いたのだった。
 しかし、どうしてあんな夢を見たのだろうか。新天地、カロス地方に引っ越してきたが、不安ばかりを感じる。妙な連中がうろついてるとは聞くし、ポケモンの異常な大量発生まで起こっているらしい。
 ようやく、機嫌を直したのか、ニャスパーが、ひょいっとカルムの腕に飛び乗って、うずくまり、小さな可愛らしい寝息を立て始めた。

「はぁ、じゃあ……僕も寝るか」

 そう呟いて、カルムは二度寝についた。しかし、外は既に明るくなっており、ポッポが鳴いている。つまり彼らは知らないが、もう朝8時を回っていたのであった。



後書き:はい、”ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産”、開始しました。記念すべき、第一回の後書きです。主人公は、二度寝大好きなねぼすけ少年、カルムですが容姿はゲーム原作と変わりありません。ただ、最初からニャスパーを連れていますけど、これは作中にも出たとおり、誕生日にもらった幼馴染のようなポケモンだということです。また、今作では他にもオリジナル設定やキャラが出てきたりするので、ゲームをやった人でも楽しめると思います。逆に、まだXYをやっていなくて、これからXYやろうと思っている人や、途中の人はネタバレ注意ですけど。では、あまり長くなりすぎてもいけないので、今回はこのへんで。