二次創作小説(紙ほか)
- 第二話:君に決めた! ( No.10 )
- 日時: 2015/07/13 02:50
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「おーい、みんなー!」
サナが手を振る。短い道路を通り抜け、メイスイタウンへ着いた。しかし、なかなか綺麗な街だ。センスがいけている。すると、さっきの少女-------------セレナが、カルムに向かって駆けてきた。どうやら、かなり狼狽しているあたり、謝ろうとしているのだろう。
「さっきはごめんなさい!」
「い、いや、君が謝ることはないよ。わざととはいえ、君の……君の……いや、なんでもない」
すると、後ろにいた2人の少年、ティエルノとトロバが駆け寄ってくる。サナが、胸を張って続けた。
「じゃ、紹介するね!こっちは、パワフルなダンスが自慢の、ティエルノ君!」
「オーライ!よろしく!」
ティエルノは、気前よく手を振った。そして、カルムの前に進み出て、手を差し出す。なるほど、握手というわけか。そう思いながら、手を握った。にしても、体格が大きい。どんなダンスを披露するのだろうか。サナは、続ける。
「で、こっちは学校のテストはいつも満点、だけど控えめのトロバ君!」
「どうも、よろしくお願いしますね。」
トロバは、笑顔を浮かべた。確かに、控えめそうだったが、博識であることはわかる。
「最後に、さっきも紹介したけど、セレナちゃん!バトルは、とっても強いんだよ、ね?」
「ええ。よろしくね。」
もう一度彼女を見てみるが、すらりとした体に、ブロンドの髪。それに、ピンクの帽子がよく似合う。アクセントのサングラスも良い。
「ああ、改めてよろしくな。僕はカルム。ここは、初めてのことが多いけど、よろ……」
次の瞬間、カルムは倒れ込んだ。全員が、一気に駆け寄る。
「カルム君!?」
「あー、心配いらない。でも、アイスコーヒーない?」
急いで、セレナはアイスコーヒーを買ってくる。カルムは、それをひったくると、口の中に流し込んだ。そして、復活したかのように立ち上がる。
「ふー、危ない危ない。ごめんごめん、僕は少しねぼすけでさ。カフェインが切れると、いつもこうだ。」
(カフェイン中毒者が、リアルにいるとか信じられない、でも今確かに目の前で……メモメモ。)
トロバは、今起こった事をありのままにメモに書き留める。
「どういう体質よ。」
「だから、こういう体質なんだよ。」
苛立ちの念を少し込めて、カルムはセレナに言い返す。その光景を見ていたティエルノは、にこにこしながら言った。
「なあなあ、仲良くなるためにニックネームを決めたいんだけど、カルやんとかどう?」
一瞬、カルムは「センスなっ!!」と言いかけた。しかし、それでは余りにも失礼すぎる。仕方なく、目をつぶる。
「えー、やだ!!カルタロが良い!!」
「おい、ふざけるな」という言葉を、すんでのところで喉に留める。すると、サナが、「トロバはどんなニックネームが良い?」と振った。トロバは、一瞬戸惑ったようだったが、すぐに、
「じゃあ、ここは折衷案で”カルP”はどうでしょうか?」
「折衷案もクソもないよぉー!!どっからPの文字が出てきたんだよ!!何と何を、どう合わせたらそうなったんだよ!!てか、君たちもそうだよ!!どんなニックネームっ!?」
とうとう突っ込んだカルム。何か、突っ込んだ時点で負けのような気がするが、この暴走するやりとりを阻止せねばという思いからだ。
結論:カロス地方の人々は、ニックネームのセンスが悪い。
「じゃあ、セレナは?」
「あたしはパス。別にいいわ、ニックネームなんて。」
冷たくあしらわれたサナ。ぷぅーっと頬を膨らませて、起こったような仕草をする。
「ちょっと!セレナって、いっつもそうだよね!釣れないっていうか、冷たいっていうか」
「私は、皆で同じようなことをやるのが嫌いなだけ。悪い?」
態度が大人なセレナ。両者の正確に違いが現れる。
「まっ、まあまあ、喧嘩はよしなって。」
ティエルノが止めに入り、この場は収まった。しかし、俄然女子2人のムードはピリピリしたままだ。
「昔から、これなんです。ま、喧嘩するほど仲がいいってことで。そうだ、サナっち、渡したいものがあるのでは?」
「あぁ、そうそう!忘れるとこだった!じゃーん!!」
サナは、思い出したように1つの箱を取り出す。蓋を開けると、3つのモンスターボール。
「この中の1つを選んでね!」
「えーっと、全部っていう選択肢は?」
「ないよ!!」
カルムは冗談半分で言ったが、サナにふくれっ面で怒られてしまった。
「えーっと、何が入ってるの?」
「3びきのポケモンだよ!右が炎タイプのきつねポケモン、フォッコ!そして、真ん中が水タイプのあわがえるポケモンのケロマツ!そして、左が草タイプのいがぐりポケモンの、ハリマロン!」
迷う。はっきり言って、どれも欲しい。だが、カルムは1つのボールを取る。
「僕は、こいつに決めた!」
そう言って、手に取ったボールを投げた。中から、1匹のポケモンが飛び出す。
「よろしくなっ、ケロマツ!」
そう言って、声をかけた。ケロマツは、ぼんやりしていたようだったが、こくりと頷く様子は確認できた。
「ケロマツにしたんだ!ケロマツはね、一見ぼんやりしてるようだけど、実は抜け目なく周りの様子を伺ってるんだよ!」
「へぇ。」
すると、今まで大人しかったトロバが立ち上がる。
「僕からも、プレゼントがあります。ポケモンのデータを自動的に記録していくハイテクマシン、ポケモン図鑑!僕たちは、カロス地方のポケモン進化学の権威、プラターヌ博士にこれを託されたんです!」
「ただ、何で引っ越してきたばかりのカルタロも、託されたんだろ。」
「おい、誰がそのあだ名で呼べって言った。まあ、気にしない気にしない!貰えるものは、貰うもんだよ素直に。」
「はい、そうそう皆さんにも。」
サナのフレンドリーさ(悪く言えば馴れ馴れしさ)に突っ込みながら、トロバから図鑑を受け取るカルム。他のみんなも図鑑を受け取る。
「おおっ、すごいや!」
「これは、地域ごとに記録できるポケモンが違うのも、大きな特徴です。カロスには、セントラルカロス、コーストカロス、マウンテンカロスの3種類の地域があってですね」
「ストップ、トロバ!サナ、早くカルムとバトルしたい!」
解説を止められ、項垂れるトロバ。早くも、解説キャラとしての出鼻をくじかれる羽目になるとは。
「ね!カルムも、バトルしたいでしょ?」
「良いな、それ!じゃあ、さっき貰ったこいつで、バトルだ!」
向き合う2人。それは、トレーナー同士のバトルが始まることを意味した。
「使用ポケモンは、1対1!行くよ、カルタロ!」
「もう、なんとでも呼んでくれ……じゃあ、行くぞ!!」
後書き:ようやく始まりました、最初の戦闘。カルムの選んだ御三家ポケモンは、ケロマツになりましたが、これで良かったのか。まあ、自分でもどう動いていくか、楽しみです。進化後は、格好いいですし。それでは、また。