二次創作小説(紙ほか)

第三十六話:VSテイル2 再戦、そして圧倒 ( No.104 )
日時: 2014/01/18 10:31
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「でかく出たなぁー、俺を倒すとは。まぁ、自分から仕掛けてきてなんだが、此処で再起不能になるまでぶっ潰してやるよ!!」

 再三、不敵な笑みを浮かべるテイル。振りかぶってモンスターボールを投げた。ひょいと風を切って飛び出したボールは途中で爆ぜる。中からは、シビルドンが現れた。

「でけぇ・・・・・・!」

 はっきり言って、カルムは気押しされていた。ポケモンから感じられるオーラが、全く違う。大胆不敵に、無機質な目をこちらに向けて、”天敵”として痺れ魚ポケモンは目前にたたずんでいたのだった。
 彼に勝負を挑んだのは、間違いじゃないか、と。だが、ソレをすぐさま振り払う。
 手持ちのレベルも桁違いなはずなのに。ただただ、負ける気がしなかった。理屈も根拠も無い。
 だが、1ついえるのは、「勝てる」、「勝てない」に惑わされない自分の本心から言えるのは、「勝ちたい」だった。
 それに、彼(テイル)のことだ、何か考えがあってのことだろう。それを分かるためにも、全力でぶつかって、砕けたかった。

「今更だが、勝負は3対3のシングル。良いな?」
「お好きにどーぞ、ですよ。テイルさん。話を変えますけど、”俺”はさっきアンタの言った言葉の意味が、今なら分かる気がする。」
「そうか。」

 素っ気無く返した。だが、無駄な事したな、とテイルは思った。何より、彼を怒らせることが重要なのであって。彼の怒りは沈んでいるかのように見えた。だけど、既に彼の能力は発動されているように見える。
--------------あいつの能力の発生条件は何なんだ?全く一定しねえぞ?
 だが、関係ないかのように水面が揺れ始める。椰子の木が音を立てて、揺れ始めた。そして、まるでテイルには、カルムの周りから空気がよどんでいるように見えたのだった。

「じゃあ、行くぞッ・・・・・・ニャスパー!!」

 カルムが繰り出したのは、ニャスパーだった。シビルドンに不利ではないものをと言えば、こいつしかいない。念力でシビルドンの動きをとめることができる上、小柄なので物理攻撃も避けやすい。

「1つ言っておく、カルム。てめぇは弱い。何故ならば、頼り、縋ってしまうからだ。」
「んなことは分かってますよ。だけど、だけど、そんなことは関係ねえ!!弱いって事を知って、その分強くなれば良いだけなんだ!ニャスパー、サイコショック!!」

 念じ球が浮かび上がって、シビルドンへ爆音を立ててぶつかり、爆ぜた。が---------------------煙が晴れても何とも無いかのようにシビルドンはそこにたたずんでいた。ただただ、そこに居たのだ。
 けらけらと笑ってテイルは言った。

「お前、喧嘩を売る相手をちーと間違えたみたいだな。シビルドンは、電気魚ポケモン・シビシラス系の最終進化系。しかも、特性:浮遊のせいで実質弱点はゼロ。しかも---------------」

 シビルドンが腕を振り回し始めた。そして、こちらへ向かって中を泳ぐように迫ってくる。

「シビルドン、10ッ万、ボルト!!」

 腕を振り回す際、発電されるかのように電撃がシビルドンの体を走り回り、そして再び腕に集中する。そして、腕からは何百本もの束になった紫電だった。それは全て、対象-------------ニャスパーのほうを向く。

「灰にッ・・・・・・なっちまいなァー!!!」

 次の瞬間、紫電が一気にほとばしった。物凄い音を立てて砂浜を切り裂いていく。撒き散らされた砂は、巻き起こる旋風と共に踊り、砂嵐となって吹き上げられた。

「------------このとおり最終進化ということは、強い。ただ単純に、能力が高い。これほど、シンプルな強弱の差・・・・・・ただ強いか弱いか、それだけだ。」

 さっきの言葉をつなげるかのようにテイルは言った。ただただ、強いのだ。実力、経験、格、その全てがニャスパーを上回っている。進化前と進化後、どっちのポケモンが強いのかは最早分かりきった話である。
 さーて、あの猫は今頃黒焦げになっていることだろう。何しろ、”10万ボルト”はその名のとおり10万ボルトの電撃をどんな形であれ撃ち出す大技。それを食らったのだ、耐えられるわけが・・・・・・って、これじゃあ奴の能力の検証が出来ねえな、と今更ながら後悔するテイル君であった。
 ------------あれ?
 砂嵐は確かに吹き去った。だが、見当たらない。さっきまで此処にいたはずのニャスパーの姿が見当たらないのである。まさかとは思うが、今の一撃で本当に灰になってしまったのか。そんなことは無いとは思うが。

「ニャスパー、連ッ続でサイコショック!!」

 念じ球が上から降ってきた。テイルは突然の出来事に一気に肌をあわ立たせる。直後、上空から無数の念じ玉が降ってきた。紫色のその名の通り、紫電となって。降り注ぎ、地面をえぐり、次から次へと爆ぜていく。まるでシャワーのように。

「随分と小細工という割にはでっけぇ小細工だな。」

 そうつぶやく。見れば、上空に確かにニャスパーはいた。察するに、自分の念力で浮かんでいたのだろうか。

「でっけぇ時点でとっくに小細工にはなってないですよ、テイルさん。これが僕達の旅の成果だ。」
「抜かしてんじゃねえ!!」
「・・・・・・ッ!」
「旅の成果だ?実力はどっちの方が高ェと思ってやがる?お前より、俺の方が長くポケモンたちと触れてきたんだ!長く多くの修羅場を乗り越えてきたんだ!!それも分からねえくせに、何が旅の成果だ、あぁ!?」

 これでも、北の地方では名をはせたトレーナーだ。多くの大会を、ジムを制してきたのだ。それが、こんな青二才を前にして負けてたまるものか、と。そんなプライドがテイルにそう言わせたのだった。一通り言い終えると、テイルは一息置いてから言った。

「分からなかったのか?今までのは、単なる--------------------ウォーミングアップだ!!」

 次の瞬間、煙が突っ切られた。今まで、念じ球の雨にさらされて、砂煙が舞い、全く何も分からなかったのが、全て変わった。シビルドンだ。シビルドンが、煙を突っ切ってニャスパーへ突っ込んでいくのである。

「お前のニャスパーの超能力による”擬似浮遊”と違って、シビルドンの浮遊は、飛行タイプと同等の動きが期待できる。つまりはお前のニャスパーはこいつにいつか、追いつかれる!!」
「そ、そんな・・・・・・!!」
「シビルドン、アクロバット!!」

 シビルドンは、拳を握り締めた。握り拳からは電流が迸る。そして地面を蹴らずに空を泳ぐようにして滝を登るコイキングの如く突っ込んでいく。

「てめぇは俺のシビルドンには勝てない!!今も、そしてこれからもだ!!」

 電撃が弾けた。そして、紫電が何本にも連なって、シビルドンの体を包み込む。まるで、電気をまとった化身のようだった。神々しく、それが太陽にまで向かっていった。だが、それはニャスパーへ。自身が電撃のように速く、速く突っ込んでいくため、避ける暇が無いのだ。その光景に見入ってしまっているカルムは、喉から言葉が出ない。そして、シビルドンを包み込む電撃が、一層強くなったときだった。


「連結ッ、ワイルドボルト!!」

 
 電撃は、太陽の光がくらむほどに、輝き、そして迸っていた。


後書き:久々の更新です。テイルとカルムのバトル。今のところ、テイルが優勢って所ですかね。最近、ライトノベルの書き方を参考にして気をつけて書くようになりました。ポイントは、心情を事細かく表したり、その人物の状態をとにかく細かく表すことですかね。読者に、まるでその場に居るかのような感覚でいられるように、頑張っています。それでは、次回の更新もお楽しみください。それでは、また。