二次創作小説(紙ほか)

第六十九話:VSシャラジム パート1 ( No.156 )
日時: 2014/08/24 00:29
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「え? シャラジムに挑戦したい?」

 ジムトレーナーと思われるローラースケートの少年はカルムが挑戦すると聞いて怪訝な顔をした。
 まあ確かに大変な時期ではあるだろう。マスタータワーの襲撃があり、それで挑戦者の対応がしにくいのだろう。

「駄目だよ、今ジムリーダーは不在で……」

 いや、それどころかコルニ自体がいなかった。
 肩を落とし、日を改めようとするカルム。
 仕方ないか。

「誰が不在だって?」

 背後から凛とした声が響いた。

「コルニ、良いのかい!? 今、マスタータワーの改修工事で君も手伝わなきゃいけなかったんじゃ……」
「だいじょーぶ、もうすぐ終わるらしいから今日は抜けさせてもらった。それにね、その人はあたしの知り合いだからさ」
「なら良いんだが……」

 少年はふぅ、と溜息をついた。やれやれ、といった表情だ。
 こっちもやれやれである。大変なときにジム戦なんかして大丈夫なのだろうか。
 ふとカルムはコルニに話しかけられた。

「この間からどれだけ強くなったか、見せて欲しいんだ!」
「良いぜ、この間みたいにはいかない!」

 彼の闘志をビリビリと感じ取ったのか、コルニもにっと笑って「ついてきて!」とカルムを案内する。
 意気込む彼を待っていたのは、妙なバトルフィールドだった。
 見れば、広大なローラースケート場になっている。
 格闘タイプのジムなのだから、もっとサンドバックだの何だのが置いてある部屋にすれば良いのに、と思った。
 もっとも、ジムトレーナーがローラースケートの少年だった時点で大方予想はついていたのだが。

「で、大丈夫だったのか? 僕なんかのために時間を割いてしまって」
「おじいちゃんは言ってた。今が大変なときだからこそ、チャレンジャーにはいつも以上に全力で接しなさいって」

 そこまで言うならこちらも後に引けない。
 最も、最初から引くつもりなどないのだが。
 実力者相手は気が抜けない。とにかく、戦うしかあるまい。
 審判のジムトレーナーの少年が言った。

「バトルは3対3のシングルバトル。交代はチャレンジャーのみ認められます!」

 両者は頷く。

「それじゃあ、行くよ!」

 彼女は一度目を閉じた。
 そして叫んだ。


「命、爆発!!」


コルニ:シャラシティジムリーダー
『エボリューション ファイター!』


 ***

「私の先発はこの子! 頼んだよ、コジョフー!」
 
 モンスターボールが投げられ、中からは直立二足歩行の獣がカンフーの構えをとっていた。
 この世界にもポケモン以外の生命体は存在するが、その中でもオコジョという動物に似ている。

「格闘タイプか。有効打は少ないかな。なら、僕の先発はこいつだ! 行け、ニャオニクス!」

 -------------ありあまるサイコパワーを持つこいつなら、勝てる!

「んじゃ、行くよ! コジョフー、猫騙し!」
 
 バチンッ、とニャオニクスの目の前で手を叩き、蹴りを入れる。
 さらにそこから、

「グロウパンチ!」

 の追加攻撃。効果今一つとはいえ、いきなりニャオニクスは体力を多く削られてしまう。

「サイコショック!」
「させないよ、往復ビンタ!」

 連続でニャオニクスの横っ面を叩くコジョフー。集中を切れさせて、技を出せないようにしているのだ。
 最後に一発、強い一撃をお見舞いすると、ニャオニクスは吹っ飛んでいった。

「っ大丈夫か!」

 が、立ち上がり、まだまだやれると目が言っている。

「んじゃあ、こっから畳み掛ける! ニャオニクス、サイコショック!」

 念じ球が形成され、一気にコジョフーへ叩き付けられていく。
 だが、華麗に舞いそれを次々にかわしてしまった。
 まずい。敵の素早さは想像以上である。

「とりあえずここは、リフレクター! 物理攻撃の威力を抑える!」

 透明な壁を張り、物理攻撃にそなえる。
 これなら、ある程度の間は持つはずだ。

「グロウパンチ!」

 成長する拳を放つコジョフー。
 だが、壁は壊れない。しかし、コルニはそれでもなお笑みを浮かべて拳を突き上げた。

「そのままグロウパンチ、グロウパンチ、グロウパンチ!!」

 ドドドド、と連続で拳が打ち込まれた。更にその度に拳の硬度は増していく。
 そしてとうとう、4発目でリフレクターは破壊された。

「う、うそだろ!?」
「いっくよー! 往復ビンタ!!」

 一瞬で間合いを詰めるコジョフー。そして再び拳を振り上げる-------------

「なーんてな! ニャオニクス、チャームボイス!」

 突如、可愛らしい鳴き声を上げるニャオニクス。コジョフーの身体が立ち止まる。

「今だ、サイコショック!!」

 念じ球がコジョフー目掛けて飛んでいく。それが一気に破裂し、後には倒れたコジョフーの姿が。

「そ、そんな! フェアリータイプの技も覚えていたの!?」
「隠すのは大変だったよ。チャンスは無用心にヤツが近づいてきたとき。もしも耳でも塞がれたりしたらこの技は意味を成さなくなってしまうからね」

 それだけではない。
 チャームボイスは威力が低いため、決定打にはなりにくい。
 しかし、精神ダメージを与えて動きを止めた後に一瞬の隙が生じる。
 そこを縫って技を使うための集中をすれば良いのだ。

「そこで決定打のサイコショックを撃った訳さ」
「すごいよ、さっすが! だけど、まだまだここからだよ?」」

 好戦的に笑った彼女は、ボールを投げた。

「頼んだよ、ゴーリキー!」

 現われたのは怪力ポケモン・ゴーリキー。非常に大きな巨体と筋肉を併せ持つ格闘タイプのポケモンだが、はっきりいって美少女よりの彼女とは少々イメージが掛け離れている気がしなくもない。

「随分とゴツいポケモンだけど、エスパータイプのニャスパーの方が一方的に有利だろ」
「どーかなー?」

 ふふ、と声を漏らした彼女は、

「ゴーリキー、岩石封じ!!」

 と叫ぶ。
 途端に上から岩と言う岩が降ってきたからたまらない。
 あれ? 何このデジャブ。

「だけど、当たらなければどうってことはない! 避けろ、ニャスパー!」

 岩石を避けようとするニャスパー。
 しかし。
 避けられない。
 というか、身体が硬直して動けないのだ。
 
「ゴーリキーの特性は”ノーガード”! その効果は、互いのポケモンは絶対に技があたると言う事!」
「そ、そんな、ニャオニクス!!」

 ガラガラガラと音がしたと思えば、そこには岩がうず高く積み上げられていた。
 そして、ニャオニクスはその下敷きになって倒れていた。

「くっ、戻れニャオニクス!」
「これで5分5分じゃない?」

 厄介な特性、ノーガード。つまり、どんな技だろうが必ずこちらは喰らってしまう。
 加えて高い能力値。
 徐々に圧倒されつつあるカルム。
 それでも彼は次のモンスターボールに手を掛ける-----------