二次創作小説(紙ほか)
- 第八十一話:蜂 ( No.175 )
- 日時: 2014/11/22 13:18
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
***
「やりやがったな、こちとら病み上がりなんだが」
「るっせー、俺だって重症患者なんだよ、頭にぽっかり穴が開いちゃってるんだよ、気ィ使えやボケ」
「何を貴様」
「やんのかテメェ。言っておくけど、俺のルカリオはそこらの奴とは一味も二味も違うぜ? まずニックネーム付けてるところ」
「いや、それどういう違い? そんなことより、僕のジュペッタの方が--------」
***
「おい、クリスティ。何ぼーっとしてんだ」
「!」
クリスティはテイルの声で気が付いたようだった。
「すまない、友人のことを考えていた」
「しっかしろよー、ったく」
「テイルさん、脇に部屋が」
「え?」
フレア団員をぶっ倒した後、その部屋の扉を開ければ、そこには多くの作業員や研究員がいた。どうやら、フレア団に此処を乗っ取られ、ずっとここに閉じ込められていたらしい。
先ほどいた何人かの団員に脅されて外に出ようにも出られなかったのだ。
部屋の鍵が開いていたのは、さっきダック達が出た後に閉めなかったからだろう。無用心な連中である。
しかし無関係な一般人を巻き込むというフレア団の行動に対し、カルムの怒りは湧き上がっていたのだった。
さて、作業員の1人によると
「ああ、よかった! 助けに来てくれる人がいて! 七炎魔将とかいう連中2人がここのシステムをハッキングしてしまったんだ!」
とのことだった。
さて、ここでテイルの知識が役に立った。この発電所の貯めた電気を奪っているのならば、やはりシステムをコントロールして電気を逆流させるしか方法はないだろう。
「となると、やっぱメインコンピューターか」
ということだった。メインコンピューター。まさにこの発電所の脳ともいえる場所。そこにやつらはいるはずだ、と。
各々で方針を決め、とりあえずはそこへ行くことにした。
さて。
メインコンピューターの場所だが、どうやらこの発電所の中央にあるタービンの近くにあるらしい。
「じゃあ、行くか!」
と、テイルが立ち上がったそのときだった。
戸が勝手に開いた。
見れば、ミツハニーが何匹もの群れを成して部屋へ入ってきたのだ。
---------やば、流石にあんなに暴れたら向こうにも気づかれていたか!
さて、こんな狭い場所でエモンガの電気技など使うわけにはいかない。
そしてカルムもクリスティも突然の強襲に動きが止まり、判断が一歩遅れてしまった。
このまま全員、虫食いでガブリ、という運命しか思いつかない。
「イーブイ、スピードスター!」
声が響いた。同時に、星型の弾幕がミツハニー達に襲い掛かる。
さて、声の主はミツハニーを殲滅したのを見ると、部屋に押し入ってきた。
「大丈夫ですか、皆さ---------ってお隣さんにテイルさん、んでもってクリスティさん!?」
知り合いが3人も”この部屋に”いたことに驚いた声の主の正体はセレナだった。
「驚いてるのはこっちの方だよ、何でセレナがここに?」
「いや、さ、実はカルムたちを追ってたんだけど、フレア団の下っ端達が倒れてたから先に行ったと思ったの。そしたら通路脇の部屋にミツハニーが入っていったから」
「この人たちが捕まってたんだ。助けていたところだよ」
事情を説明したカルムはため息をついた。
「しかし、まぁ……また同行者か」
「とにかく、私を差し置いてフレア団のところに行くなんて、許さないからっ!」
「抜け駆けしたつもりはないっていうか、今までどこにいたのさ」
「アズール湾でポケモンを鍛えてたところに、停電のニュースが入ってね。さらにミツハニーがヒルトップエリアを襲っているっていうのも聞いたから、そいつら倒すついでにマロンさんにあなたたちの居場所聞いたの」
そういえば、イーブイか。手に入れてからあまりボールから出していなかった気がする。
1日置いてすぐにヒヨクジムに挑んだ所為だろうか。
「こいつもそろそろ鍛えないとな」
と呟いたカルムはイーブイが入ったボールを眺めた。
「じゃあ、4人そろったんだ、とっとと行こうぜ」
テイルが言った。研究員や作業員達は皆、外へ避難したのを確認し、進むことになった。
***
さて、円状になっているこのメインパネルだが、中央には電気を貯める巨大な筒が貫いている。
その天井には、なるほど鳥もどきポケモンのシンボラーの姿が。エスパータイプのこいつならテレパシーで何匹ものミツハニーに命令を中継することができる。
だが、それらを差し引いても重要なのは、中央のフロアで椅子に腰掛けてコンピューターを叩いているドレス姿の女がいたことだった。
「あらあらあら、そんなに皆で押しかけてきて、いったい何の用ですの?」
が、気付くのが速い。向いた女---------七炎魔将のセルリアンは言ったのだった。高圧的な態度で迎えて来るあたり、当然ながら歓迎してはくれなさそうだ。
その周りには赤スーツの団員達の姿も何人か見えた。
「フレア団中級部隊であるスパイラル・ショックのリーダーのセルリアン、か」
「中級部隊? そういえば、これって一体何なんだ?」
テイルがクリスティに尋ねた。
「ああ。僕の調査によると、フレア団は上級・中級・下級の3つに分かれており、それぞれ役割が違う。そして、それぞれ、3人、2人、2人の炎魔将が指揮を執っている」
「じゃあ、中級の序列というのは」
「その”部隊”の中での序列ということだ。つまり、”中級の3位””中級の4位”もいるのだよ。その中の3位、4位は七炎魔将には入ってはいないがな」
一方、カルムは怒りに身を震わせていた。
ここで会ったが、百万年目、今度こそ彼女を倒すと。
セルリアンに向かって言い放つ。
「てめぇらの野望は”俺”が阻止する! お前も此処で倒す!」
セレナも続けた。
「電気を使って何するつもりかは知らないけど、ここで止めるわ、フレア団!」
しかし、「止める?」と目の前の炎魔は憫笑した。「無理に決まっていますわ」と言った。
「前に会ったときはスカウトのために生かしておくつもりでしたわ。ですが、今回は容赦しませんことよ」
不適に笑った彼女は続けた。
「このセルリアン、貴方達ゴミ共を全力で片付けてみせましょう。スピアー、やっておしまいっ!」
ボールを投げたセルリアン。中からは、ハクダンの森でも見た毒蜂ポケモンのスピアーが現れた。黄色と黒の警戒色で構成された蜂の体に真っ赤な単眼。
そして極めつけは2対の前足から伸びた獲物を突き刺す巨大な槍(スピア)だった。
さらに、周りにいたフレア団員も皆、ボールを投げてポケモンを繰り出してきた。
「くそっ、逆に囲まれたか!」
焦るテイル。しかし、クリスティが落ちついて言った。
「では役割を決めるとしよう。僕とテイル君で周りの雑魚を、そしてカルムとセレナ、君達で奴を2人掛かりで倒す」
「え?!」
カルムとセレナは一瞬、戸惑ったようだったが、頷いてすぐにセルリアンの方へ行った。
が、テイルが反論する。
「ま、待てよ! それなら、実力者のあんたがセルリアンを相手した方が良い!」
「聞いた話によれば、カルムはセルリアンと戦ったことがあるようだ。こういう場合は情報で有利な彼が行ったほうが良い。そして、あのセレナという少女との相性も良い。安心しろ、危なくなったら僕も手を出す」
そして、とクリスティは続けた。
「僕は何となく分かる。彼は、”あいつ”に似ている……!」
「あいつ?」
「……何でもない。これは僕の主観だ。分析もあったもんじゃない。気にするな」
そして、クリスティはボールからジュペッタを繰り出して言った。
「では、雑魚の掃除と行こうか」
「そうだなッ!」
ビキッ、とフレア団員の1人のこめかみに青筋が浮かんだのが見えた。
「誰が雑魚だ、テメェら。『筋金入りのダック』を倒したらしいが、俺らはそうはいかねえ」
「何? あいつ今後も名前だけはちょくちょく登場する感じ? 結構実力上の方?」
「だって、あいつセルリアン様のパシリだったし」
「やっぱ大したことねえんじゃねえか!!」
団員達のポケモンが一斉に襲い掛かってきた。
しかし。
「ジュペッタ、シャドークロー」
「シビルドン、ワイルドボルト!」
瞬殺。たったの一撃で飛び掛ってきたポケモン達をなぎ払ってしまった。
「電気少年×探偵の即席コンビつーことで、今後ともよろしく頼むわグラサン共」
「貴様らには一瞬の記憶の隙も与えんがな」
そして、階段を駆け上って敵のいるフロアへ行く2人を見送ったのだった。
後書き:オーノーだズラ、ORASが期末テストの所為で買えないズラ。テストが終わる12月1日あたりからようやくプレイ開始とかどんだけ遅れるの、俺。3DSのフレンドリストを見たら、ORASやってる人多数。悔しいことこの上ないですね、本当。というわけで前回から(今回は名前だけですが)登場している『筋金入りのダック』ですが、完全に前回のあれはジョジョのネタです。
そして、クリスティですが彼もまた重要な伏線を握る人物なんですね。さて、セルリアンの特徴ですが”ポケモンを群れレベルで育成”していることです。これが他の炎魔との最大の違い、そして個性となっているんですね。
それでは、また。ORASやりてぇー、あテスト勉強しなきゃ。