二次創作小説(紙ほか)

第八十二話:”守る” ( No.176 )
日時: 2014/12/04 19:34
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「たったの2人で、この私に挑むと。少々私を見くびっていなくて?」

 セルリアンは余裕たっぷりに言った。

「スピアー1匹で十分ですことよ!」

 直後、スピアーが両手の槍を振り上げて威嚇してきた。

「だけど、ハクダンの森とかにフツーに生息してる虫ポケモンじゃないか」
「子供だからって、舐めてるんじゃないの?」

 言い返したカルムとセレナの2人はモンスターボールを投げた。両方ともニャオニクスを繰り出す。

「俺のニャオニクスの特性は”悪戯心”! つまり、素早く変化技を使うことで味方のサポートができる! ニャオニクス、リフレクター!」

 カルムのニャオニクスは物理攻撃を弾き返す透明な壁を張り、敵の攻撃に備える。
 それも、とても素早い動きで。

「セレナ、攻撃は任せたッ!」
「分かったわ、ニャオニクス、サイコキネシス!」

 強い念力をスピアーに放ち、宙に浮かそうとする。しかし、そのときだった。
 --------毒タイプにエスパータイプは効果抜群! 倒せるかもしれない!
 しかし、目の前のセルリアンは未だ余裕ぶった表情をしていたのだった。

「スピアー、”守る”」

 直後、スピアーの周囲360度にバリアが張られた。そのためか、サイコキネシスが効いている様子は全く無い。
 
「守るを使えば、数秒間の間、どんな攻撃からでも体を守り通せますことよ。そして、この間に--------」

 セルリアンのネックレスに嵌められた石が光る。それに彼女は手をかざした。そして、スピアーの胸にも石がある。目を凝らせば、それはただの装飾品ではない。

「……まさか、スピアーも---------」
「進化を超える進化、メガシンカの可能性も持ちますわ!!」

 叫んだセルリアンの手には、既にキーストーンが。その瞬間、激しい光がスピアーを包み込む。
 そして、卵の殻のようなものに覆われた。
 間違いない。メガシンカだ。
 殻は弾け飛んで消え、そこにいたのはスピアーではなかった。

「……メガシンカ、完了」

 メガスピアー。
 その姿は全体的に鋭角的で機械的だった。目つきはより鋭くなり、羽は4枚から6枚に、腕は4本に増えたように見えるが、下2本がメガシンカする前の脚の部分に相当するのでこれは脚で間違いないだろう。
 ともかく、殺戮的というか破壊的な、そんな雰囲気を思わせた。
 場に殺気が漂う。

「スピアーはメガシンカすると素早さが爆発的に上がりますわ。ですが、逆に言えばメガシンカ前はそこまで高くない。しかし、守るを使うことでより安全にメガシンカが可能」

 直後、スピアーがセレナのニャオニクスに踊りかかり、2本の巨大な槍で胸を切り裂く。
 鮮血が飛んだ。
 それほどまでに高い威力だった。
 しかも、全くその動作が目に追いつかなかったのだ。

「シザークロスの威力もご覧の通り。特性:適応力により自分とタイプが同じ技の威力が非常に高くなりますわ」
「ニャ、ニャオニクスーッ!!」

 セレナの悲鳴が聞こえた。気絶しているニャオニクスをボールに戻している。
 カルムも慄きながら押し出すように問うた。
 
「リ、リフレクターを使ってるのに、何で」
「スピアーの下の2本の腕で”瓦割り”を放ったからですわ。この技は相手のリフレクター・光の壁を破壊できますの」

 まずい。こうなれば、相手はこちらに弱点を一方的に突けてしまう。相手の素早さは異常だ。
 ニャオニクスでは追いつかないと判断したカルムは、ニャオニクスを引っ込める。

「くっ、戻れニャオニ--------」

 しかし。セルリアンの声が響いた。

「シザークロス!」

 直後、ざくり、と音がした。ボールを手に構えたカルムは、前のめりになって倒れているニャオニクスを見た。
 
「う、うわぁーっ!!」

 何という速さだ。
 ボールに戻す前に仕留めてしまった。
 カルムは目の前の惨状に声を上げるのが少し遅れた。

「このセルリアンのメガスピアー。物理攻撃力と素早さを総合すれば七炎魔将のどのポケモンよりも高いと自負しておりますわ。厳しいカーマイン様のメガハッサムも、麗しいオペラ様のサザンドラも、どっかのキチガイ刀女のメガフカヒレカスも 悔 し い で す が 確かに強い、チッ。ですが-----------」

  所々バーミリオンと(多分)メガガブリアスへの露骨な悪意も込められていている。相当彼女が例の刀女を嫌っている証拠である。
 ぎらり、と野心のこもった目でセルリアンは腕を振り上げた。
 自身の切札を有りっ丈の自信を持って証明するかのように。


「それらに共通して足りないのは、何よりも、”速さ”ですわ!!」

 彼女は叫び、高笑いを上げたのだった。

 ***

「ハクシュン!」

 バーミリオンはくしゃみをした。向かい合うオペラが大して心配していない様子で「大丈夫ですか?」と声をかけたので「るっさい、黙れ」とワンキック。

「誰かが私の噂話をしたような」
「何を。この世界に貴方様を恐れて噂話をする方なんて1人もいませんよ」
「や、黙れ。マジで殺したくなってくるから」

 彼らはとある森の中でバトルをしていた。何ってポケモンバトルに決まっていた。オペラはバーミリオンの修練に無理矢理つき合わされていたのである。
 別に今、特にすることも無い。
 向かい合うはオペラのサザンドラとバーミリオンのガブリアス。
 そして2匹が技を撃ち合う---------

「サザンドラ、ドラゴンダイブ」
「ガブリアス、ドラゴンクロー!」

 ガキィィィン、と2体の体がぶつかった。反動で吹っ飛ばされたのが解る。

「流石の攻撃力---------サザンドラは特殊攻撃力に優れているだけであって、やはり物理攻撃力も低くない」
「ええ。飛び道具一辺倒だけなど面白くないですし」

 ピキン、と2人の視線がカチ合った。
 咆哮する2匹の龍。

「ならば、これで再起不能にしてやる! ガブリアス、逆鱗!」

 ガブリアスは怒りのままに走り出した。
 目の前の標的1体を視界から定めて腕を振り上げる。

「では、これを掻い潜って来れますかね? サザンドラ、流星群!」

 しかし、オペラも負けては居ない。直後、上空から大量の隕石が降り注ぐ。森林を焼き、そしてガブリアスの頭上へ------------


後書き:ORASで相棒のボマー(ボーマンダ)でたくましさコンテストマスターランク優勝したぜ、ドンドコドン。コンテストでもメガシンカできるシステム作った人、あんたはノーベル賞貰って良い。どうも、久々の更新のタクです。相棒のボーマンダが好きすぎて変なことになってます。メガシンカを経て更にかっこよく……ダサい!? 何でや、戦闘機みたいでかっこいいやん! とまあ字数稼ぎのこんなのは置いておき、とうとう登場しました、セルリアンのメガシンカポケモン・メガスピアー。対戦でも先制技を持たない敵に対してはかなり強い……はず! 作中でも使っていた”守る”はメガスピアーを使う上ではシングルでも必須な技なので絶対覚えさせてください。さもなきゃ死にます。何がってメガスピアーが。理由は作中でも言ったとおりです。
そして久々登場の七炎魔将上級コンビ。この2人は作者の中でも好きなほうではあるんですよね。
そして、セレナとカルムのニャオニクスがそれぞれ倒されるシーンですが、作中でもポケモンに対して明確な流血描写を使うのは多分初めてです。ですが、それだけメガスピアーの攻撃力が高いということで。
多分、必要あらば今後も流血描写は使うかもしれません。ですが、ご理解を。
それでは、また。