二次創作小説(紙ほか)

第六話:テイル ( No.23 )
日時: 2013/11/15 23:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「全員集合ォー!」

 サナが、元気よく飛び跳ねた。ハクダンの森を抜けた先には、林に囲まれた美しい3番道路があった。カルムは、スピアーに刺された傷がまだ傷んではいたものの、それでも順調に回復していた。ポケモンたちも、サナの余った回復道具も使って、全快だ。

「ねーねー皆これからどうするの?」

 すると、トロバは

「僕はもちろん、ポケモン探しです。博士に頼まれたことですから。それに、ポケモンはそれぞれ好きな場所がありますからね。」

 と続ける。

「言い換えれば、森とは違うポケモンに出会えるチャンスです!」
「違うポケモンなら、きっと新しい技を使うよね。」

 ティエルノが割って入った。トロバは、「そうですね。」と言う。

「色々なムーブを見たいねえ。」
「ふーん、セレナはどうするの?」

 サナに聞かれたセレナは、自信満々に答えた。

「私は、ハクダンシティのジムリーダーに挑戦ね。ポケモントレーナーは、ジムリーダーに挑戦することで、自分の実力を確かめるの。」
「詳しいね、セレナ!」
「ええ、パパやママにいろいろ教わっているもの。」

 そう、セレナは続けた。

「というわけで、私は早速行ってくるわね。」

 そう言うと、セレナは駆けていってしまった。

「じゃ、あたしはフォッコちゃんと、じっくり向き合ってみる♪」

 ・・・・・・ということで、ほかの面々も、各々のやりたいことをやるために、行ってしまった。

「僕はどうしようか。とりあえず、ハクダンシティに向かってジムに挑戦するか。な、ニャスパー。」

 同調するように鳴くニャスパー。よし、決まった。しかし、

「でも、腹減ったな・・・・・・。」

 ということだ。仕方なく、ポケモンフーズと軽食をカバンから取り出して、ここでひとまずランチにした。






「んじゃあ、いくか!」

 腹はとりあえず、満たされた。気付けば、もうハクダンシティは目の前。さて行こうと、街へ足を踏み出した途端だった。何かが落ちてくる。というか、顔に降ってきた。突然の出来事に、肌が粟立つ。

「ぼふっ!?」

 思わず、引き剥がすと、それは背中から耳にかけて黒い体毛に覆われ、皮膜を腕と体の間に張っているポケモンだった。そして、ハクダンの森にいたピカチュウと同じように、頬に電気袋がある。

「何だこいつ・・・・・・!?」

「あー、すまねえすまねえ!」

 声が聞こえた。振り向けば、そこには茶髪に黄色の瞳の青年がいた。パーカーに青いジーパン。そして、黒いチョーカーを首に巻いている。

「エモンガ、戻ってこい。」

 青年がそう言うと、エモンガと呼ばれたそのポケモンは、Uターンして返ってきた。

「滑空のトレーニングやってたら、風向きが変わって調子狂ったみてーなんだ。驚かせたな。」
「い、いえ、大丈夫ですよ。」

 フレンドリーで気さくな人だと、カルムは思った。にしても、背が結構高い。カルムも、高い方ではあるが、バスケットボール選手並はある。

「あっ、そうそう自己紹介が遅れたな。俺はテイル!プラターヌ博士のとこでバイトしてる、トレーナー兼研究員ってとこだな。」
「プ、プラターヌ博士!?」

 まさか、そうだとは思わなかった。

「あ、これ?この服装は私服だから。まー、所見で俺が研究員とは思わないだろうな、ハハハ!あー、そうだ。お前は?」
「は、はい!僕はカルムって言います!よろしくお願いします!」
「おう!ところでさ、俺は今、博士から図鑑もらったトレーナーにバッジケース届けに来てさ。んでもって、今しがた1人渡したんだけど。あと3人には渡せてねーんだよ。多分、ハクダンに来るはずだからここでエモンガ飛ばしながら待ってたんだけど・・・・・・。」

 来ないのも無理はない。ほかの面々は、私用で各々の向かい先々に行ってしまったのだ。それを話すと、テイルは

「あー、そうなのかぁ!んじゃあ、ここでエモンガ飛ばして待ってるのは時間の無駄だったか。ん?でも、なんでお前がそんなことを知ってるんだ?」
「いや、知ってるも何も、僕も博士から図鑑を託されたトレーナーですし。」

 そう言って、図鑑を見せた。すると、テイルは「あー、それで納得したぜ。」と頷き、モンスターボールを取り出す。

「そんじゃあ、ポケモンバトルだ!!」
「ちょ、待ってください!!」

 慌てて静止した。テイルは、「へ?」と困ったような表情を浮かべる。

「どっからその流れに!?今の流れで、どうやってバトルになるんですか!?」
「だから、その通りだよ。俺はな、博士からこうも伝えてもらった。バトルの腕試しがてら、図鑑渡した初心者トレーナーに、1対1のバトルしろってな!」

 そういうことか。納得こそいかないが、それならば致し方ない。モンスターボールを構えるカルム。すると、テイルは「あー、そうそう言い忘れてた。」と加える。

「俺に負けたら、その時点でポケモン図鑑は没収だ。」

「----------------------------------!!」

 軽いノリで言ったが、それはまずい。つまり、この戦闘に負けることは、図鑑を没収------------------つまり、博士から実力を見放されることになるのだ。

「さっきの、女の子は俺のエモンガを倒していっちまったからな。まぁ、こいつで大丈夫だろ。俺が使うのはッ-----------------------------こいつだ!!」

 そう叫んで、ボールを投げるテイル。中から、一匹の小柄なポケモンが現れた。それは、オレンジ色の体色にネズミのような容姿のポケモン。ピカチュウにも似ているが、より丸っこく、より小さかった。そして、最大の相違点は、頬の電気袋にアンテナ型の細いヒゲが2対、ついていることである。

「あいつは・・・・・・アンテナポケモン、デデンネ!電気と、フェアリータイプのポケモンか!」

 図鑑を即座に開いて確認するカルム。テイルは、ケラケラ笑いながら、

「おっ、図鑑使いこなしてるじゃん。俺の専門は、電気!それも、エモンガやデデンネみたいなスピード重視の奴がな!」
「なんなら、僕だって!電気にケロマツは分が悪いけど、ニャスパーならいける!行け、ニャスパー!」

 そう言って、カルムはニャスパーを繰り出した。

「覚えてるよな?負けたら図鑑は没収。良いな!」
「はい、全力でいきます!!」

 負けられない戦い。カルムとテイルのバトルが始まった。



後書き:はい、今回新キャラが登場しました。電気タイプの使い手、テイルですね。この小説、初のオリジナルキャラです。電気タイプの使い手といえば、既にジムリーダーでカロスにはいますが、テイルは主に小型のポケモンを使うということで、差別化と書き分けはできるでしょう。はい。それでは、次回はカルム対テイルです。お楽しみに。

打ち間違いお詫び:テイルは、ジムバッジを届けに来たと書いていましたが、正確には”バッジケース”を届けに来た、です。読者の皆様に混乱を与え、申し訳ありませんでした。既に、訂正しております。