二次創作小説(紙ほか)
- 第八話:夢 ( No.41 )
- 日時: 2013/11/17 00:16
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「着いたわ。ここよ。」
案内された先は、立派な建物があった。中に案内されると、大広間。そこには色々な虫ポケモンの写真が並べてあった。そして、その奥には1人の女性の姿。
「あら、姉さん。予定通りね。」
その女性は、パンジーに声を掛けた。
「ね、姉さん?」
「ええ、そうよ。彼女------------------ハクダンジムリーダー、ビオラは私の妹よ。」
なるほど、そういうことか。と、カルムは思った。彼女はタンクトップに多数のポケットが付いたズボン、と姉のパンジー同様動きやすそうだった。そして、カメラを首からぶら下げていた。
そして、ジャーナリストがジムリーダーの妹を取材しにくることもあるんだな、と感じる。
(そんなこともあるんだな・・・・・・。)
「あら?姉さん。その子は挑戦者?」
「ええ、そうよ。彼はカルム君。ポケモントレーナーよ。ねえ、カルム君。私、さっきも言ったように、妹に取材があるから、しばらく写真でも見ながら時間をつぶしていてくれないかな?」
「あ、はい。良いですよ。」
そう言うと、パンジーはビオラと共に奥の部屋へ入っていった。さて、写真を眺めているが、いつの間にか強烈な睡魔が襲ってくる。
(やっべ・・・・・・カフェイン切れた・・・・・・。)
-----------------------何だコレは・・・・・・!?
カルムの体は宙に浮いている。そして、1つの光景を見た。ここは、土壁に塗られた、遺跡のような場所。奥には王座が見え、誰かが座っていた。
-----------------------王か、何かか?
そして、家来と思われる人物がカルムへ向かってくる。それは、カルムをすり抜けた。
-----------------------僕を、すり抜けた?
にしても、やたらリアルな夢だとカルムは感じた。すると、家来が杉で削ったような長方形の箱を王(と思われる人物)に渡した。その中身を、王(かもしれない人物)が覗く。
-----------------------あれは・・・・・・ポケモン?
カルムも近づいて、中身を見た。どうせ、向こうがこちらを見たり触れたりすることはできない。と、思って覗くと、そこには小さなポケモンが、枯れた花を抱えたまま息絶えている。トロバが使っていたフラベベに似たポケモンだった。
----------------------フラベベ・・・・・・じゃないな。その進化系か何かか?
すると、それを見た王と思われる男は、その亡骸を優しく手に包み込み、すすり泣きを始めた。
----------------------自分のポケモン、だったのかな。
ふと、カルムは昨日見た夢を思い出した。戦争の光景、そして悪魔の光。あの夢と、何かしらの関連があるのか?
頭に映し出されるのは、ポケモンや人間同士が血で血を洗う残酷な戦いを繰り広げているシーン。夢にしては、はっきりと、鮮明にそのシーンが映し出されていた。今思い出すだけでも、気分が悪い。そして、何故こうも何度も、この後味の悪い夢を見せられるのだろうか。睡眠の邪魔ったら在りはしない。
と、カルムはカルムらしい思いを頭の中で呟いていたのだった。だが、自分のポケモンを失った、この男には共感できたし、自分も、もしニャスパーを、いや、それだけではない。自分のポケモンを失ったら、どんな気持ちになるのだろうか。そうも、考えていた。
次の瞬間、カルムは目の前の光を失った。
「カルム君、カルム君!?」
パンジーの声が聞こえた。目をとっさに開く。やば、寝ていたのか。
「す、すみません。寝ちゃって・・・・・・。」
「ユ、ユニークな子ね、姉さん。」
ビオラが苦笑いを浮かべた。
「それじゃあ、バトル始めましょうかしら。」
ああ、そうだ。自分はジム戦しに来たんだと、カルムは思い出した。
缶コーヒーをグビッと一気飲みし、
「はい!」
と、元気よく返事した。
「バトルフィールドは・・・・・・ここよ!」
奥の部屋へ突き進むと、そこは蜘蛛の巣のように張られたロープ。隙間は小さく、落ちることはないだろうが、弾力性があり、乗れば跳ねそうだ。
「な、何ですかここは・・・・・・!」
「このフィールドでは、普通のポケモンが乗ればトランポリンの要領で跳ねるようになってるの。」
成る程。普通のバトルのようには行かないのだろう。
「それじゃあ、私の一番手はこの子よ!」
そう言って、ビオラはボールを投げた。中から現れたのは、アメンボのようなポケモン、その見た目の通りあめんぼポケモンのアメタマだった。アメタマは、ツーッと滑るようにロープを動き回っている。
(つまり、フィールドの影響を受けるのは、一方的にこちらのみ!)
ならば、こちらは機動力の高いポケモンで攻めに行くまでだ。
「行け、ケロマツ!!」
カルムが一番手に繰り出したのは、ケロマツだった。
「ここ一番の勝負、勝ち取るぞ!」
カルムが叫ぶと、ケロマツも同調するように力強く鳴いた。
「それじゃあ、行くわよ。シャッターチャンスを狙うように、勝利を狙っていくんだから!」
ビオラ:ハクダンシティジムリーダー
『笑顔を見逃さないカメラガール』
後書き:はい、今回は前回と比べると短めです。とりあえず、特殊なバトルフィールドですが、多分、今作のジム戦では、こういった特殊な状況での戦いになることが多いので、自分でも書いていて面白くなってきます。それでは、次回からハクダンシティジム戦ですが、お楽しみに。