二次創作小説(紙ほか)
- 第十一話:レッツ共同戦線 ( No.47 )
- 日時: 2013/11/28 18:31
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: wJNgr93.)
4番道路、パルテール街道。ここには、色とりどりの花が満ち溢れていた。・・・・・・かつては。
「確かに、ひどいっすね・・・・・・。」
カルムは呟いた。先ほど、朝食を済ませ、パンジーにお礼を言い、ハクダンを出たカルム。しかし、そこにあったのは、花畑・・・・・・いや、正確に言えば”葉がない”花畑だった。何と、全ての花の葉が食い荒らされているのである。
そして、庭師のおじさんが泣いていたのを見かねて、カルムが話しかけたところ、おじさんも「こんなことは初めて」と言っていた。
「葉っぱがなくなったら、花は生きていけないだよ〜!何とかして、原因を突き止めないと、今度はパルテール街道の別の花畑がやられるっぺ!」
おじさんの初見の判断は、これだった。カルムも、花は好きな方だ。放っておけば、今度は別の花畑がやられるかもしれない。
「僕、協力します!」
そう元気よく言い、「虫退治」に協力することにしたのだ。
「はわわ〜!ている先輩、どこ行っちゃったですか〜!」
だぼだぼの白衣を着た女性・・・・・・いや、少女は慌てた様子でうろついていた。綺麗なピンク色をした長髪は、手入れしてないのかボサボサ。可愛らしい顔立ちにも関わらず、所謂”ぐりぐりメガネ”で台無し。要するに、残念な少女だった。
踏み出したいつものパルテール街道。花で満ち溢れている。しかし、次に足を踏み入れた途端、彼女は”異変”に気付いた。
「なにこれ・・・・・・皆枯れちゃってるです〜!」
「おーう、”マロン”!おせーぞ!」
低く、凛々しい声がする。見ると、黄色の髪の男、テイルだった。
「ているせんぱーい!先行っちゃダメって、何回言ったらわかるですか!」
「わりぃわりぃ、だけどよ。花畑が一夜で枯れるなんて現象、今までにあったか?」
テイルは、この現象の解明のために動いていた。そして、花を一つ一つ見ながら、ポケモンの大量発生が原因である、と判断した。
「マロン、葉っぱ喰う虫ポケモン。お前の頭の中から、”捜して”くれないか?」
「了解です!」
元気よく答えると、マロンは目をつぶった。そして、次の瞬間、
「あった、ありました!」
「そうか!流石、”歩くポケモン白書。”」
テイルは、そう言ってマロンを褒める。マロンは、照れたように頬を赤くした。テイルは、彼女が仲間になってよかったと頭で繰り返す。プラターヌ博士の言葉を思い出した。
「君は、絶対記憶能力って知ってるかい?」
1か月前。プラターヌ博士は、麦茶を飲んで休憩しているテイルに向かって、そう切り出した。
「絶対記憶能力・・・・・・っすか。一度覚えたものを絶対に忘れない体質のことっすよね。」
「そう。今度入る新人研究員は、正しく”それ”なんだ。」
「へぇ。」
「それだけじゃない。彼女は、見たものから得れる視覚情報から分かる要素・・・・・・例えば身長なんかを、無意識に頭が計算してしまうんだよ。そして、結果を暗記してしまう。ポケモン図鑑も、その能力を参考にして、さらにパワーアップさせたんだ。」
テイルは驚いた。入ってくる人間は、恐らく相当の天才なんだと期待していた。しかし、入ってきたのはドジばかりの天然っ娘だった。最初こそ、期待はずれだったテイルだが、今では自分のエモンガの次に頼れる相棒である。
「んじゃあ、何がヒットした?」
テイルは聞いた。
「せ、先輩・・・・・・。」
マロンは、答えを言う前に指差した。テイルは、「俺の顔になんかついてる?」と聞いたが、彼女は首を振る。テイルは思わず、振り返った。次の瞬間-------------------------そこにあったのは、”敷布団”と”掛け布団”だった。
「ぬわぁ〜にぃ〜!?なぜに布団!?誰か寝てやがるのか!?寝てんのか!?」
そう叫んでダッシュ。そして、敷布団を引っ剥がす。当然、上に乗っていた”何か”は、転げ落ちた。
その正体は-------------------------
「カ、カルム・・・・・・。」
見覚えのありまくる少年だった。
「あ、おはようっすテイルさん。もう、夜中の12時にはなりましたか?」
「まだ、昼にもなってねーよ馬鹿!何やってた!」
テイルは思いっきり突っ込んだ。カルムは寝ぼけた様子で答える。
「そりゃあ、今日は徹夜で害虫退治するから、今のうちに寝ておこうと思ってですね。」
「お前も、害虫退治か・・・・・・。」
テイルは呆れたように言った。
「え?ところで、そこの女の子は?先輩の彼女っすか?先輩、ロリコンなんすか?」
「しばくぞ馬鹿。後輩だ。」
一応言っておくが、テイルは18歳。もう、立派な青年である。
「こいつはマロン。こないだ、研究所に新たに配属された、研究員だ。」
「はわわ〜!とれーなーさん、よろしくです!」
カルムは布団を片付けながらマロンを見る。確かに、テイルが犯罪者になってしまいそうな体格の少女だ。全体的に華奢で、幼い。
「ちえっ、もうちょいでロリテイルになるところだったのに。」
「俺はロリコンじゃねえぞ!!いっとくけど、お前より背が少し低いだけで、こいつは16だ。おめーの背が高すぎんだよ。」
驚いた。まさか、16歳とは。ちなみに、カルムの身長は165cmメート程。13歳では、結構高い。
「んじゃ、2人が結婚してもテイルさんは犯罪者にはならないんですね。合法なんスね。」
「いい加減にしろ馬鹿。」
カルムの冷やかしに、怒りを見せるテイル。「さて-------------」と無理やり本題に入った。
「この辺の害虫、いつ出てくるか分からん。はっきり言って、こいつは昼夜両方で出てくるかもしれんぞ。」
「せーんーぱーい!多分、この葉っぱ食べたのって、レディバじゃないでしょうか!」
七星ポケモン、レディバ。成る程、それならやりかねないとテイルは思った。考えれば、最近ポケモンの異常発生が多すぎる。
「レディバか。なんなら、話は早いぜ!出てくるまで、待機だ。」
と、言うとテイルは電子ゲームを取り出し、ピコピコ鳴らし始めた。こんな時にゲームかよ、と突っ込みそうなカルムだったが、また彼の機嫌を損ねかねないので、あきらめた。
「あのー、テイルさん。」
カルムがテイルの服を引っ張る。
「るっせーな、今ドラゴンファンタジー8やってんだよ、今ラスボスなんだよ、騒がしい。」
「いや、そうじゃなくて・・・・・・。」
気付けば、自分たちは正しく”それ”-------------------------レディバに囲まれていた。
「しまったぁー!!今何時だ!!」
「夕方の4時です〜!はわわぁ〜!テイルさん、どんだけゲームやってるんですか!」
----------------時は数時間前にさかぼる。テイルはゲームをしていて動かない。仕方なく、カルムとマロンは昼食を食べに行った。結構、話が合い、意気投合していた2人は、テイルを放ったまま早4時になっていたことに気づく。そして様子を見れば、案の定テイルは、まだゲームをしていた。止めさせようと、20分経過。そして、いつの間にか、レディバの群れに囲まれていたのだ。----------そして、現在に至る。
「テイルさん、数が多すぎます!僕たちの逃げ場はないっすよ!」
「やべぇ、肩こった。首いてえ。」
「ゲームのし過ぎだよ、アンタ!!」
レディバは、てんとう虫のようなポケモンだ。硬い羽と薄い羽の二段構成でできた、4枚羽根で飛び回り、小さな虫や葉を食べる。しかし、テントウムシに益虫と害虫がいるように、レディバにも食べる物に好みが分かれる。この場合、害虫だったというわけだ。
「害虫の駆逐!それ、最優先事項っしょ!行け、ケロマツ!」
「俺もだ、行けエモンガ!!」
モモンガポケモン、エモンガ。テイルは2匹所持しているが、そのうちの1匹を繰り出す。マロンもボールを投げる。
「あ、あたしもですっ!行くです、ノズパス!」
コンパスポケモン、ノズパス。鼻が、磁石の役割をしている、岩タイプのポケモンだ。
「これで、こっちは3匹。とっとと、害虫駆除と行きましょうか!」
「言われるまでもねえ。ぶっつぶす!」
3人は、身構える。
「ケロマツ、水の波動!」
「エモンガ、エレキボール!」
「ノズパス、岩石封じですっ!」
こうして、レディバ退治は、3人がレディバを全滅させることで、終焉したのだった。
後書き:今回、またまた新キャラ登場しました。新人研究者のマロンです。言動も、容姿も幼いのですが、16歳です。彼女の手持ちをノズパスにしたのは、特に意味はありません。ただ、なんとなくです。テイルがゲーマーという設定も、なんとなくです。はい。ちなみに、カルムも13歳にしては背が高いという設定です。それでは、次回をお楽しみに。
・・・・・・にしても、レディバの扱いが酷いことに今更気づく。