二次創作小説(紙ほか)
- 第十六話:フレア団・狙われたメガストーン ( No.56 )
- 日時: 2013/12/05 19:14
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「ガブリアスが、もう一段階進化・・・・・・!?」
「そう。進化といっても、一時的なパワーアップのようなものだよ。そして、これらの現象をメガシンカと、僕たちは呼んでいる。」
「メガシンカ、ですか。」
カルムは頭の中で反芻した。このような現象が、本当に起こり得るのか。
「それらは、トレーナーの持つキーストーンと、ポケモンが自身に対応するメガストーンの2つが共鳴することで、初めて起こるんだ。
「やべぇ、脳が理解することを拒絶している・・・・・・。」
「頭悪いわね。」
「冗談に決まってるだろ!!」
再び睨み合う、セレナとカルム。
「バトルは弱い、頭も弱い。」
「んだとこらぁ!?もっかい言ってみろ!」
今にも掴みかかりそうな雰囲気の2人。完全に険悪ムードである。
「で、そのメガシンカも、博士が言っていた、螺旋状の2つのエネルギーが関係しているんですか?」
「してる・・・・・・かは分からない。話を戻すけど、条件は2つ。まず、ポケモンがそのポケモンに対応するメガストーンを持っていること。例えば、トロバ君が持っている、プテラナイト。そして、カルム君が持っているバシャーモナイトも、それだね。」
「あ、これってバシャーモナイトって言うんですね。」
カルムは照明の光に石をかざした。とても綺麗な石だ。
「さてと。もう1つの条件は、トレーナーがキーストーンを持っていること。これは、シャラシティのマスタータワーに行けば分かるかもしれないね。」
「シャラシティのマスタータワー、ですか。」
すると、博士は立ち上がった。そして、テイルに話しかける。
「それじゃあ、テイルくん。皆に見せたいから、この間手に入れたメガストーンを取ってきてくれないかい?」
「あ、はい。分かりました!」
テイルはエレベーターを経由して、いそいそと下へ降りていった。
「他にも、いろんな種類があるんだ。それを、テイル君が取りに行ったから、後で見に行こうか。」
サナ達は、それを聞くとはしゃぎだした。それを見ながら、カルムはくすくすと笑っていた。そして、頭の上のプラスルを撫でると、嬉しそうな鳴き声を出して甘えてくる。そして、ボールを投げた。
「ニャスパー、お前も見てみるか?」
ニャスパーも、ボール越しにさっきの話を聞いていたのか、「ニャー」と嬉しそうに鳴いた。
「おっ、ここだここ。この鍵を使えば。」
1階の金庫の鍵を開け、石を取り出すテイル。この金庫は、厳重な警備をしており、電子ロックが2重に敷かれている。が、態々こんなところへメガストーンを取りに来る連中もいないから、ほぼこれがある意味は皆無。と、テイルは思っていた。
「皆喜ぶだろうな。とっとと博士んとこに戻るか・・・・・・」
と、次の瞬間だった。突然の爆破音。テイルは手を止めた。巻き起こる煙。同時に背後へ、何者かの気配。振り向けば、そこには赤いスーツの男女2人がいた。赤いグラサンを掛けており、マフィアのようだった。見れば、電子錠をかけていたドアは完全に破壊されている。
「な、何だあんたら!!」
テイルは叫んだ。男女は答える。
「我々は、泣く子も黙るオシャレチーム、フレア団!」
「メガストーンを頂戴しに来たぜ!」
「もしもし?警察ですか?何か妙な格好をした、おかしな男女がおかしなことを言って、うちの研究所に侵入して・・・・・・。」
「「通報ヤメテ!!」」
男女は叫んだ。確かに、ここで通報されたら、元も子もないが。
「いや、あんたら完全に不法侵入だし。」
的確にえぐいところを突いていくテイル。男女は慌てふためき始める。
「いや、そうだけど!!こ、こうなったら・・・・・・!いけ、アサナン!」
「いけ、ユンゲラー!」
そう言って、2人はポケモンを繰り出した。念力ポケモン、ユンゲラーと、瞑想ポケモンのアサナンの2匹。しかし、テイルも見計らったようにポケモンを繰り出すのであった。
「こんな狭いところでポケモン出しやがって・・・・・・速攻で決めてやる!!頼んだぜっ、エモンガ!!」
そう言って、相棒のモモンガポケモン、エモンガを繰り出したのだった。
「アサナン、めざめるパワー!!」
「ユンゲラー、念力!!」
2体は飛び道具を使って、攻撃を仕掛けてきた。しかし、こんなところで暴れられたら、メガストーンがただでは済まない。
「エモンガ、電磁波ッ!!」
テイルは咄嗟に指示を出し、2匹が技を繰り出す前に、動きを止めにかかる。案の定、エモンガが放った2筋の電撃は、2体のポケモンを貫き、そのまま動けなくした。
「麻痺の状態異常だ。これで動けねえだろ。」
「く、くそっ!お前ら、戻れ!つ、次のポケモンさえ出せば・・・・・・!」
「いーや、無駄だ!いけ、シビルドン!」
テイルは次に、電気魚ポケモンのシビルドンを繰り出す。ヤツメウナギのような体を持ち、太い腕の怪力は計り知れない。男女は、身の丈、いや、それ以上の大きさを持つシビルドンを前にして、怯えきっている。
「そのまま、あの無礼な侵入者どもに、ちーと痛い目見せてやりな!」
直後。両腕で頭を掴まれた2人の頭が、そのまま近づいて衝突した。そのまま2人は伸びてしまう。
「よし、今のうちに・・・・・・。」
テイルはそう言って、ポケモン2匹を戻す。そして、まだ立ち上る煙の中を、メガストーンの入った袋を抱えて走り出したのだった。
「逃すわけがなかろう。」
低く唸るような女の声。次の瞬間だった。テイルは腹部に激痛を感じ、そのまま意識を手放した。
「心配するな。”柄”で突いただけだ。」
女の声が聞こえる。直後、テイルは意識を手放した。女はそれを見ると、表情を1つも変えずにメガストーンの入った袋をテイルの腕からひったくる。そしてレーダー装置のようなものを見ると、呟いた。
「ふっ。あと、”2つ”-----------------------------3階にあるな。」
「おっせぇなー、テイルさん。」
カルムは、ため息をついた。プラターヌ博士も首をかしげる。
「確かに。少し遅いな。様子を見に----------------------」
そのとき、博士が言い終わらないうちにエレベーターのドアが開いた。いや、確かに開いたのだが、なにか違った。普通、横に開くドアが縦に開くのは、明らかにおかしかった。
「・・・・・・。」
その場にいた全員は絶句した。次の瞬間、ドア(だったもの)が蹴飛ばされ、バラバラと落ちる。
「嘘だろォー!?斬った!?まさかエレベーターぶった切ったのか!?」
「騒がしい・・・・・・。」
エレベーターから現れたのは、男物の和服とスーツを組み合わせたような、和洋折衷の衣装を着た女だった。常に鋭く開いている瞳孔。裂けたような目。その眼差しは、とても冷たかった。髪もまるで人形のように綺麗な黒。それをポニーテールにしている。その目は、何かを探すかのように追っている。そして、1つのものに目を留めた。
一方のカルムは辛うじて声を絞り出す。
「あ、あんたは一体・・・・・・!!」
「拙者の名は、バーミリオン。フレア団、”七炎魔将”の1人。異名は『炎魔恐慌(アンラ・マンユ)』だ。」
”フレア団”や”七炎魔将”、そして”『炎魔恐慌(アンラ・マンユ)』など、よくわからないワードが出てきて、混乱しかけたカルム。ふと、カルムはバーミリオンが腰に差している”棒”、に目を留めた。だが、よく見ればそれは棒ではない。正しく、”刀”だった。それに気づいた瞬間、全員の背筋に悪寒が走った。
「か、か、か、刀ァー!?」
「貴様ら。この、”聖剣エクスカリバーZ”の餌食にされたくなければ、大人しくメガストーンを渡せ。プテラナイトとバシャーモナイトが、ここにあるのは分かっている。嫌なら斬るぞ。」
「それ、刀に付ける名前じゃないよね!?名刀ムラマサとか、そんなのつけない!?」
「今、どうでもいいんだけど!!」
カルムのツッコミに、セレナがさらに盛大に突っ込む。すると、今度はバーミリオンが下げている袋にプラターヌ博士が気づいた。
「そ、その袋は・・・・・・メガストーンが入っている・・・・・・!」
「ガキが1人。金庫にいたが、気絶させてやった。それで奪ってきてやったのだ。だが、私は基本。邪魔するものは全員斬る。そういう考えだ。さあ、渡せ。さもなければ、1人づつ斬っていくぞ!!」
凄みのある声で迫るバーミリオン。博士のガブリアスも、成す術なし、と言った状態だった。サナに至っては、半泣きだった。さらに、次の瞬間。照明が消えた。つまり、停電が起こったのだ。それでも、外がまだ明るいので、部屋が見えなくなることはなかった。それを見て、バーミリオンは、少し微笑んだ。
「発電所の方も、上手くやってくれたか。」
一方の、カルム達は停電どころではなかった。博士が、カルムに問う。
「ど、どうするんだい、カルム君!」
「メ、メガストーンをすぐに渡すなんて、私は嫌よ!!」
セレナは言った。断固、戦おうということだ。しかし、
「・・・・・・簡単じゃないすか。トロバ、それ貸せ。」
トロバが返事を出さないうちに、メガストーンをひったくる。そして、2つともバーミリオンに投げ渡した。
「な、なんで!!」
「セレナ。メガストーンがどんなに大事なものかは、分かる。だけど、今本当に大事なのは皆の命だ。」
「懸命な判断だ。」
そう言うと、バーミリオンは口笛を吹いた。次の瞬間、ポケモンがこっちに突っ込んでくる。それは、鋼色の体をした鎧鳥ポケモン、エアームドだった。窓ガラスを盛大に割り、部屋へ降り立った。
「さらばだ。」
そう言うと、バーミリオンはエアームドに跨って開いた穴から空へ飛び立っていった。
その後。警察から事情聴取を受けたカルム達。しかし、結局あのバーミリオンとかいう女の居所は掴めなかった。その後、テイルは案の定気絶していた。少し吐血していたものの、少し入院するだけで、命に別条はないという。次の日、カルム達は研究所を去った。その際に、5人で集まった。
「えぇー!?ジム開いてないのか!?」
「どうやら、昨日の停電の影響で、ここサウスサイドの復旧は終わったらしいの。だけど、ほかの被害が思ったよりも大きくて、ジムリーダーが手を離せなくなったかららしいわ。」
セレナに聞いたら、そういうことだった。そして、今度は再び5番道路で落ち合おうという話になった。しかし、その際にセレナが言った。
「ねえ、お隣さん。」
「ん?何だよ。」
思わず聞き返すカルム。すると、セレナは続けた。
「ちょっと、カフェ・ソレイユに後で来てくれないかな?」
後書き:今回、フレア団が初めて出てきました。ゲームではまだ後ですね。そして現れた幹部格、七炎魔将の1人である女。バーミリオンが登場しました。今作で登場するオリジナル幹部の1人です。侍女という設定は、結構なさそうであったりするのですが、今回は専ら冷たい悪人ということで落ち着きました。刀の名前がズレているのは、思いつきです。ただ、突っ込ませたかっただけです。そういう意味では、少し抜けている人物だったりします。あと、テイルが毎度毎度ひどい目にあっていたりしますね。次回は、いよいよミアレシティ編も最後です。この次からは、結構ゲームでのイベントが長いので、すっ飛ばしたりしていきます。それでは、また。
というか、次のジムがある街への道のりが異様に長いんだよな・・・・・・。