二次創作小説(紙ほか)
- 第十八話:VSティエルノ ( No.61 )
- 日時: 2013/12/07 09:30
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
13:00。5番道路に全員集合。
「さーて、どうするよ。」
「私は、ショウヨウシティに向かおうと思う。ここから進んだら、コウジンタウンを経由して進めると思うわ。」
セレナはそう言った。サナも、「さーんせーい!」と答えた。さて、トロバは「僕はもう少しこのあたりで、図鑑を埋めることにします。」と言った。
「おいおい大丈夫か、昨日みたいな目に遭わないように気をつけなよ?」
「大丈夫です!」
その時、ティエルノも喋り始めた。
「なぁ、カルやん。面白いムーブの技って無い?バトルで見せて!」
「バ、バトル?」
カルムにそう言った。バトルの誘いを断る理由など、さらさらない。という訳で、とっととやることにした。だが、許諾した理由はそれだけではない。
「良いじゃない。私たちは観てることにするわ。」
「そうだよ!2人とも頑張って!」
サナとセレナも後を押した。
(そういや、ティエルノとバトルするのって、初めてだな。)
そして、カルムは彼の実力を知りたいのもあったのだった。
「勝負は、1対1のシングル!良いな!」
勝負内容は、カルムが決めた。やはり、ポケモンバトルでもっともシンプルかつ強弱の明暗が分かりやすいバトルといえば、これだろう。と、解説する必要もない。
「じゃあ、ステージオン、ヘイガニ!」
「やっぱり出てきたな・・・・・・!」
破落戸ポケモン、ヘイガニ。何度か、彼の手持ちとして見てきたが、こうやって対峙するのは初めてだ。
「じゃあ、僕は・・・・・・いけケロマツ!」
それを見ていたサナは声を上げた。
「えっ、なんでケロマツ!?プラスルの方が電気>水で相性はいいよ!?」
「いえ、相性だけがバトルじゃないわ。」
セレナは否定してみせた。トロバは、言葉を繋いだ。
「プラスルの補助戦法は確かに強い。だけど、ヘイガニの強さはハクダンの森の一件で証明されている。はっきり言えば、彼の------------------------彼のヘイガニは、今の僕の手持ち2体を同時に相手取るほどの実力を持っていますから。彼はそれを知らないと思いますけど、どの道様子見として繰り出したんじゃないですか?」
「1対1のシングルで様子見?複数対複数のシングルなら有り得るけど、それは多分ないわ。彼だったらもっと深いところに着目してるんじゃないかしら。」
それを聞いていたカルムは、「マジかよ・・・・・・。」と思った。実を言うと、カルムは特に深い意味もなくケロマツを繰り出しただけだったのだ。だが、本当に何も考えていないわけではなかった。
(捕まえたばかりのプラスルは、ヘイガニに対して相性がいいとは言え、まだ僕がプラスルの使い勝手を理解していない以上、繰り出すのは危険だ。取り敢えず、セレナ達の会話からやつのヘイガニが強いのは分かった。ケロマツを繰り出したのは、正解だったな。)
-------------------------使い慣れたポケモンこそ、無難なポケモンはない。プラスルは確かに強いが、補助技を中心に攻めていくタイプ故に、癖がある。あと、ニャスパーを繰り出さなかったのは、ケロマツならば相手の水技の威力も軽減できるというメリットがあること、そしてケロマツは幸い水以外の攻撃技-----------------電光石火を持っていたことだった。
(クラブハンマーは相性が良かったとは言え、バオップを一撃でなぎ倒していたほどだ。)
それを無対策で相手取るのは、少し怖い。彼の中では最善の判断だったと言えるだろう。
「じゃあ、先攻は僕がもらった!ケロマツ、電光石火!」
「ヘイガニ、右へターンステップ2回!」
「はっ!?」と、カルムは一瞬混乱した。右へターンステップ!?こいつはダンスでもしているのか!?と。しかし、それはあながち間違いではなかった。
次の瞬間、”舞い踊るように”ヘイガニは電光石火を避けた。そして、すれ違いざまに--------------------
「ヘイガニ、剣の舞の後にクラブハンマー!!」
ダンスの如き素早さ・・・・・・否、技と技を繰り出す間が0に等しいのである。そのせいで、まるで連結するように技同士をコンボさせて行った。つまり、今の場合「攻撃力を上げてそのままクラブハンマー」と言った芸当が、本当に実現したのである。
地面に叩き込まれてめり込むケロマツ。
「ヘイガニの基礎的能力が高いのもあります。ダンスとバトルを組み合わせているのも、1つの強み。だけど、本当に強いのは・・・・・・。」
彼のことをよく知っているトロバは、言葉を後に続けようとした。しかし、その前に局面が動いた。
「ケロマツ、電光石火!!」
素早く飛びかかるケロマツ。その時だった。ティエルノとヘイガニは目を閉じる。それは、耳を研ぎ澄ませて音を聞いているかのようだった。
「・・・・・・これだッ!ヘイガニ、”リズムはもう覚えたかい?”」
ヘイガニは力強く頷くと次の瞬間、彼の指示なしでケロマツの電光石火を避けた。
「この世の全ての動作、音は全てリズムで出来ているんだ。例え、それが一見乱雑だったとしても、必ず規則性はある。今のは、それを利用した戦法だよ。もう、ケロマツは電光石火をヘイガニに当てることはできない!」
「だからどうしたッ!!」
「!?」
カルムは口元を歪めて言った。
「それはあくまでも、君の”過去の経験を元にした推測”に過ぎないだろ!見てろ、今のリズムが完全に読まれたんなら、僕は違うリズムで攻撃するまでだ!ケロマツ、電光石火!!」
再び、素早く駆け抜けてジャンプ、その直後に回転して上空からヘイガニに飛びかかるケロマツ。しかし、
「さっきいっただろ?”動作”もリズムなんだ!」
そう言って、ヘイガニに指示を出す。
「ヘイガニ、ムーンサルトの後にクラブハンマーで叩き落せ!」
ヘイガニは飛び上がって空中回転を決めたあと、そのままハサミを振り上げて再びクラブハンマーを決めにかかる。まさに、それは華麗という言葉が似合う程だった。
しかし、次の瞬間だった。
「ケロマツ、ケロムースでヘイガニを引っ付けろ!!」
粘着性のある泡、ケロムースをヘイガニに飛ばしたケロマツ。直後、ヘイガニは地面にくっつけられて身動きさえ取れなくなる。
「そのまま、電光石火!!」
そして、頭上から飛び上がってキックをお見舞いしてみせた。
「ようやく攻撃を当てることができたッ・・・・・・!」
と、思ったその時だった。
「ヘイガニ、バブル光線!!」
直後、ハサミから飛び出す無数の泡。いや、正確に言えば水のエネルギーでできた、泡のような何か、だ。ケロマツは顔面からそれを食らってしまい、仰け反った。そして、ヘイガニはハサミを振り回すと、ケロムースを弾き飛ばしてみせた。
物理技のみを使うと思っていたが、まさかここで飛び道具で攻撃してくるとは。
「くそっ、こいつ特殊技も使えたのかよ!!」
最早、体力を消耗して息を切らせているケロマツ。
「とどめのクラブハンマー!!」
(仕方ない-----------------------!!一か八かだが・・・・・・!)
相性こそ悪いが、ここでぶつければ何とかなるか。
「ケロマツ、水の誓い!!」
次の瞬間、間欠泉が吹き出して、ヘイガニを吹き飛ばした。吹き上がる水に足を取られて動けないヘイガニ。元々、ヘイガニは水タイプの中でも陸上で生活するポケモンだ。泳ぐのが得意なケロマツとは違い、より陸上戦に特化していた。だからこそ--------------それがアダになった。ケロマツは飛び上がってヘイガニに接近する。
「いくらなんでも、躱せない状況に持ち込まれたら、リズムも何もないだろ!そこから、電光石火で突き落とせ!!」
ケロマツは、最大の力でヘイガニへ突っ込んだ。2匹は、勢いよく落下する。だが、2匹とも空中で揉み合い、何回も上下が逆転する。
そのまま、2匹は地面に叩きつけられたように--------------------見えた。しかし、ヘイガニは下敷きになっており、目を回していた。一方のケロマツは、無事だった。
「うわっ・・・・・・僕の負けだよ、カルやん・・・・・・おつかれ、ヘイガニ。」
そう言って、ティエルノは少し残念そうに笑ってヘイガニを戻した。
「すごかったよ、カルやん。また、バトルしようよ!」
「あ、ああ!」
カルムは、快くそう答えた。そして、2人で拳を交わしあったのであた。その後、全員は解散し、カルムはショウヨウへ向かうことになった。
数時間前。9:30、5番道路を抜けた先にある、コボクタウン。テイルとマロンは、ここからショウヨウシティへ向かうことにした。
「せんぱいっ!ジムには挑戦しないんですか?」
「するつもりはないな。興味ないし。だが、まずは昔みたいに純粋に修行の旅をな。んでもって、博士からメガストーン回収の依頼も受けているからな。」
テイルは言った。だが、奪われた物も含めて、カロス地方のメガストーン回収はテイルが自分から申し出たものだった。
後書き:取り敢えず、今回はティエルノ戦でした。書いているうちに思った以上の強キャラになってきました、ティエルノが。まあ、これでいいとは思ってはいますが。そしてテイル編は、ストーリーと同時進行でいきます。基本、テイルはカルムよりも先に街を出ているため、多分出会うことはないかと思われます。それでは、また。