二次創作小説(紙ほか)

第十九話:狙われた街 ( No.62 )
日時: 2013/12/07 13:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

  カルム達が5番道路で集合していた頃。

「・・・・・・。」

 男の服装は、青い下着に白衣を着ていた。懐中時計を手に握り、いかにも紳士といった顔立ち。しかし、その白いスーツには赤いライン。そして、炎を模したマークがついていた。彼は、竜----------------精霊ポケモンのフライゴンに立ち乗りしていた。フライゴンは、トンボのようにスレンダーな体を持つポケモンだ。目は、砂漠で生活するために赤いゴーグルのような器官で覆われていた。
 そして、バックには蝙蝠ポケモン、ゴルバットに掴まった、フレア団の下っ端たち。

「定刻・・・・・・通りですね。」

 そう、彼が呟いた瞬間-----------------------爆発音とともに、コボクタウンに火の手が上がった。

「さて、あとは直々に取りに行くだけ・・・・・・。」





 その数分前、テイルとマロンは情報収集のために、コボクタウンのショボンヌ城にいた。聞いた話、ここにはメガストーンこそ無いが、ある秘宝があったという。その名も--------------------”純金のコアルヒー”らしい。

「って、しょぼいじゃねーか!!(m´・ω・`)mだよ、ショボーンだ!!思わず普段絶対使わねえ顔文字使っちまった!!」
「先輩!何言ってるんですか、じゅんきんですよ、じゅ・ん・き・ん、純金。」
「お・も・て・な・し、おもてなし。みたいに言ってんじゃねえ!!確かに純金だよ!!てか、てめぇは次の五輪の・・・・・・(割愛)それ以前に純金でコアルヒーとか税金の無駄遣いだバカヤロー!!金の無駄遣いだバカヤロー!!」

 どうやら、それは時価30億円の高価格。よく、泥棒が盗りに来ていたらしい。が、重すぎて運び出す前に捕まるのが関の山。城主とそんな話を交わしながら、テイルは言った。

「でも、危ないじゃないですか。そんなもの。」
「いいえ、それがもうないのよ。」
「ないんすか?」
「ええ。ポケモンの笛も純金のコアルヒーも、皆借金を返すために売ってしまったんです。」

 いろいろ大変だな、と同情してる間に、この男の口調と服装の違和感など吹っ飛んでしまった。ちなみに、城主は空手王の姿をしたオカマ口調の男だった。激しく違和感。その時だった。突然の爆発音。

「な、なんだなんだ!!」
「外で何か起こったのかしら!?」

 3人は、城を出て駆けつければ、街の家々に火の手が上がり、人やポケモンは逃げ惑っている。そして-------------------そのポケモン達を、見覚えのあるスーツ姿の男たちが、黒いモンスターボールを投げて捕獲していた。

「フ、フレア団!!」

 テイルは、怒りの形相で駆け出した。マロンもそれについていく。

「ま、待ってください先輩!」



「へへへ、大漁大漁!」

「おーまーえーらぁー!!」
「!?」

 テイルのシビルドンが、下っ端たちを殴り飛ばした。逃げ惑う下っ端たち。悪役はどっちだ。

「一体、誰が指揮を執ってやがる!!」

「おやおや、これは・・・・・・。」

 そこには、フライゴンに乗ったスーツ姿の男の姿。テイルは怒りで顔が歪みそうになる感覚を覚えた。

「へっ、お前がリーダーか!」
「いかにも。私、フレア団”七炎魔将”。名はオペラと申します。お見知りおきを。尚、異名は『炎魔龍王(アジ・ダハーカ)』です。」
「アジ・・・・・・何て!?なんでお前らの異名、そんなのばっかなの!?」

 オペラは咳払いをすると、野外用の机を取り出す。紅茶を注いで言った。

「定刻。故に、お茶にしましょう。」
「ってざっけんじゃねえ!!何でナチュラルな流れで紅茶の時間にしてんの!?」
「私、時間には少々うるさい性分で・・・・・・。」

「せんぱいっ、数が多すぎます!援護頼みます!」

 マロンは、ノズパスとバオッキーでフレア団下っ端の相手をしていた。

音波ポケモン、オンバット。
鉤爪ポケモン、ニューラ。
ダークポケモン、デルビル。
岩蛇ポケモン、イワーク。

 どれもこれも進化前で能力値の低い雑魚のはずだ。しかし、流石にこの多さでは苦戦は必至。

「ノズパス、岩石封じです!バオッキー、アクロバットです!」

 ノズパスは岩を降らせてデルビルとオンバットを押し潰し、バオッキーは素早い動きでイワークの顔面にキック、からの急降下でニューラに一撃を叩き込んだ。
 しかし、テイルは下っ端に構っている暇はない。オペラと対峙していたのだった。

「てかっ、紅茶飲んでないでてめぇも戦えッ!!シビルドン、やつに向かって馬鹿力ッ!」
「フライゴン、相手をしなさい。ドラゴンクロー!」

 2匹の技がぶつかり合う。

「おっと、定刻です。白い悪魔を作るとしましょう。」
「し、白い悪魔だとッ・・・・・・!?」

 一瞬、たじろいだテイル。しかし、次の瞬間。オペラが取り出したのは-----------------------完全にどこぞのロボットのプラモの箱だった。


「白い悪魔ってそれぇぇぇぇえぇ!?完全に違うヤツだよね!?プラモ作って遊んでるだけじゃねえか!!」
「違います。遊んでいるんじゃありません。こうやって、プラモを組み立てることにより、兵器開発と研究に貢献・・・・・・」
「どこがだぁー!!」
「あと、”量産型ザコック2”もありますよ、どうですか?」
「いらねえから!!完全にパクリだから!!」
「せーんぱーい、プラモって面白・・・・・・」
「てめぇも災難に便乗するなァー!!」

 マロンを注意し、ため息をつくテイル。仕方がない、こうなったら・・・・・・と、シビルドンに指示を出す。

「シビルドン、胃液!!」

 ベチョッ、とフライゴンの顔面に液体が付着した。そして、フライゴンは飛べなくなる。地面を蹴ろうとしても、絶対に離れることができないのである。同時に、胃液がオペラの作っていたプラモに付着し、溶かした。シビルドンの胃液は、強酸性なのだ。プラモデルなど、簡単に溶かしてしまう。

「くっ、よくも・・・・・・よくも私の白い悪魔をォォォォォォ!!」
「えーっ!?キレた!?」
「フライゴン、流星群!!」

 直後、無数の流星がシビルドンに襲いかかった。爆音と共に煙が上がる。そして、煙が晴れ------------------シビルドンは倒れて目を回していた。

「くっ、戻れシビルドン!」
「今日のところは見逃してやりましょう。ですが、次に私のティータイムとプラモタイムを邪魔したら、本気で潰します。」
「マジ!?まさか、このまま撤退するの!?」
「トレーナーの育てたポケモンの方が、強いですからね。奪ってやったんですよ。」

 ドライな顔で言うオペラ。しかし、フライゴンはもう空を飛べないはず。その時だった。

「おっと・・・・・・やっと来ましたね、クロームくん。」

 オペラは、そう言って上空を見上げた。すると、そこにはフードを被った少年が、空中浮遊しているではないか。

「う、浮いてんのか!?」
「違います。”彼女”のポケモン、フーディンの念力で浮いているのです。」
「は、今なんて・・・・・・。」

 見れば、狐のようなポケモンが、そこにはいた。両手にスプーンを握っており、頭はとても大きい。念力ポケモン、フーディン。ユンゲラーの進化系だ。

「オペラ、ボスから命令。今すぐ撤退。」
「了解しました。」

 次の瞬間、オペラをはじめとする、すべてのフレア団が姿を消した。どうやら、テレポートしてしまったらしい。

「くそっ、逃げられたかッ・・・・・・!」




「ごめんなさいねぇ、お客さん。今日はいっぱい迷惑かけちゃって。」
「いいんです!だいじょうぶですよ!」
「ええ。あのフレア団とか言う組織・・・・・・本当に怪しいわね。」

 城主は口を歪めていう。やはり、彼らが町の人に行なったことは許せることではない。

「俺がッ!絶対に取り返してみせます!!」

 テイルは決意したように言った。街の人のポケモンは、何が何でも奪還しなければならないだろう。

「ええ、そうね。頼んだわ。」

 城主は、期待するように言った。そして、2人はコボクタウンを去っていったのであった。



 2人が7番道路を抜け、橋を渡った後。ズシーン、ズシーンと大きな音と共に、巨大な影が、橋に寝っ転がったのは、まだ誰も知らない。



後書き:今回、テイル回でした。新たな七炎魔将、オペラですが、プラモに紅茶など、趣味が広い龍王ですね。完全に。異名に龍王とか付いてる割に、性格は穏やかで冷静です。バーミリオンも含め、七炎魔将の名前は色の名前を元にしています。そして、異名は全てゾロアスター教の悪魔の名から取ったもの、またはもじったものですね。
 そして、こんな感じでカルムとは別視点で冒険を進めていきます。まあ、たまにやる番外編みたいな感じですね。本編の話数には含めますけど。後、今回は結構ネタを入れています。
 という訳で次回、カルムもコボクタウンを訪れます。お楽しみに。