二次創作小説(紙ほか)
- 第二十話:欲求不満 ( No.68 )
- 日時: 2013/12/11 17:25
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: wJNgr93.)
5番道路を抜けた先にあるのは、コボクタウンという街だった。しかし、民家は所々が焼けており、まるで戦争にでもあったかのようだった。
「ひどいな、これは・・・・・・。」
「ニャー」
「一緒に言うな。」
腕に抱えているニャスパーも、同調したかのように鳴く。頭の上のプラスルも不安そうに、怯えた顔をしていた。
「・・・・・・てか、お前ら・・・・・・重いわァー!!」
と、カルムはいきなり腕に抱えているニャスパーとプラスルを振り落とした。2匹は華麗に地面に着地。
「僕が何も言わなかったら、ずっと居るつもりだったのか!?いい加減腕は痺れて、首は凝って来たんだけど!!」
カルムはそう言いながら首を回して見せた。ゴキゴキと首が鳴る。2匹は、「ニャーニャー!」と「プラプラー!」と抗議の声を上げたが、カルムに通じるはずがなく、
「戻れお前ら!」
と、あっさりボールの光線を当てられ、ボールの中に戻されるのであった。
「ったく、大人しいケロマツの方が、よっぽど良いっての!あれ?そう言えばケロマツ出てきてないな、ちょっと出て来い!」
そう言って、ケロマツを出した。が、ケロマツは--------------------------寝ていた。
「寝てんのかよ!!」
思わず突っ込む。しかし、その声でケロマツは飛び起きた。そして、怒った顔をして水を吹く。
「冷てえ!!分かった、悪かったって!戻れ!・・・・・・はぁ。」
カルムはため息をつき、そのまま街を見て回った。しかし、ひどい有様だった。
ポケモンセンターでポケモンを回復し終わったあと、受付のお姉さん------------------通称、ジョーイさんにこんな事を言われた。
「バトルで戦わせてあげるのも良いんですけど、たまには甘えさせてあげていますか?」
「何でそんなことを?」
「ええ・・・・・・何か、ポケモンが少し怒っていたような・・・・・・。」
「怒ってた?まぁ、直に治るんじゃないすか?それじゃ、ありがとうございました!」
と、スルーしてとっとと去------------------らなかった。
「って、その前に聞きたいことがあるんすけど。この街、一体どうしたんですか?何があったんですか?何か・・・・・・家はあちこちが焼けたり、所々の施設が壊れたりしてるんですけど・・・・・・。」
疑問をぶつけてみるカルム。すると、ジョーイさんはこう答えた。
「それが、先ほど・・・・・・フレア団と名乗るスーツを着た人たちが、爆撃を行って、街の人のポケモンを取ってしまったんです。」
「な------------------フレア団が!?」
「ええ、詳しいことはショボンヌ城の城主に、聞いてみたら如何でしょうか?」
と、言うことだったのでショボンヌ城に行ってみた。
ショボンヌ城は、結構小さな城だった。しかし、それでも風情があり見栄えはある城だった。ただ、違和感を感じたのは、城主の格好と、意外な来訪者だった。
「あ、カルタロ!来てたんだ!」
-----------何でこいつがいやがるんだ!?
と、言いたくなったが、それ以上にもっと言いたいことがあったので、喉に勝手に引っ込んでしまった。
「あら、いらっしゃい。今日はお客さんが妙に来るわね。」
激しく違和感。城主の格好は、空手服にハチマキ。まず、城の雰囲気に釣り合わない。そして何より、オカマ口調だった。
「・・・・・・何コレエエエエエエエ!!」
思わず、叫んだカルムであった。
「はい、オレンジジュースとコーヒーよ。何もないけど、ゆっくりしていってくださいね。」
3階の部屋は、思いの外広かった。何もない、というのが一番の要因だろうが。コーヒーをご馳走してもらい、眠気は吹っ飛んだカルム。まず、疑問を、目の前の少女にぶつけることにした。
「サナ・・・・・・何でお前がここにいるんだ!?」
「えー、だってここが観光名所だって聞いたから、来てたんだよ?」
「成る程、観光名所ねえ。」
「この城は、とても長い歴史があるんだよ?この城にものがほとんど物がないのは、その歴史の中で色んな人にあげちゃったからだって。」
「それ、借金の代わりに献上しただけじゃね?」
貧乏臭い城主の格好で、大体見当は付いた。冷めた様子でカルムはコーヒーを啜る。一方、ストローでオレンジジュースを吸っていたサナは、彼の冷めた反応も気にせず、切り出した。
「あ、そうだそうだ!ポケモン見せてよ!」
「は?まぁ、いいけどよ。あ、城主さん。ここでポケモン出して良いっすか?」
「ええ、いいわよ。」
城主は2つ返事でOKを出した。カルムは3つのボールを投げる。中から、自分の手持ち3匹が現れる。
「うわぁー、ケロマツもニャスパーもプラスルも可愛いね!」
「あ、そう?」
「うん!でもなんか・・・・・・機嫌悪いみたいだよ?何か、拗ねてる感じ・・・・・。」
ニャスパーとプラスル、そしてケロマツの表情を見て、サナは言った。
「ね!カルタロ、ポケモンたちと遊んでる?」
「うーん、あんまりそういう時間は取らねえつーか、何ていうか・・・・・・。」
「そりゃさ、戦わせたり、トレーニングするのも大事だけど、ちゃんと休む時間も上げないと!」
「ボールに戻してる間は?」
悪びれもせず、カルムは言った。
「そーいう意味じゃなくて、トレーナーと触れ合う時間をもっと増やせって言ってるの!後・・・・・・やっぱりー!!ほら、よく見てよ!ニャスパーも、プラスルもケロマツも、体が汚れてるじゃん!ニャスパーの毛並みも乱れてるよ!」
「え?だからどうしたんだよ。バトルに関係な----------------」
「大アリだよ!体が汚れたままだと、当然ストレスは溜まるよ!つまり、バトルでもいつか影響が出るよ!ブラッシングや、体は拭いてあげないと!」
「て言うか・・・・・・。」と、サナはケロマツ達に自前のブラシをかけながら言った。
「カルタロって、バトルのことしか考えてないの!?」
「え、いや・・・・・・その・・・・・・。」
「サイテー!ポケモンだって生き物なんだよ!?」
痛いところを突かれた。確かに、そういった事は----------------例えば、家にいたころのニャスパーの世話だが、餌やりこそしていたものの、毛並みの手入れは母に任せることが多かった。
「わ、悪かったって!今度からがんば-------------------------」
「旦那ァー!!大変だよ!!」
階段を駆け登ってくる音。見れば、金髪の男だった。思わず、振り向く3人。男は息を切らせて言った。
「またッ・・・・・・、また”あいつ”が現れたよ!!」
後書き:今回、ショボンヌ城にカルム達が到着しました。現時点では、まだ言うことは何もありません。取り敢えず、続きをお楽しみに。
”あいつ”とは、あいつのことです。前回のラストに出てきた・・・・・・。