二次創作小説(紙ほか)
- 第二十四話:ヴァン ( No.77 )
- 日時: 2013/12/21 01:43
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
『遂に始まりました、パルファム宮殿バトル大会・準決勝!!まず、この準決勝まで生き残ってきた、4人の猛者を紹介します!!』
闘技場のバトルフィールドに立つ4人の人影。そこには、当然だがカルムの姿もあった。
(やべぇ・・・・・・ここまで勝ち残れるなんて・・・・・・。)
大勢の前に立たされている所為か、緊張でがくがく足が震えていた。コバルトは、「それでは-----------」と準決勝進出者の発表を始めた。
『まず、フォッコの圧倒的攻撃力で勝ち上がってきた、バッジは一個。でも期待のダークホースの1人!サナ選手!!』
観客に向かってサナが手を振る。芸能人にでもなった気分で居るのだろう。しかし、彼女の試合模様を見ていたカルムは、彼女を相手にするのがかなり不安だった。
(力押しだったとはいえ、勝ててこれたのは純粋にフォッコが強いからだ。炎技の火力・・・・・・ミアレで戦ったときよりも上がっていないか?この3日間で、相当腕を上げたな。)
コボクタウンに来てから大会が始まるまで、丸3日あった。その間に、明らかに彼女は実力を上げていた。しかも、力押しの。レベルを上げて物理で押せ、とはまさにこのことだろうな。とカルムは付くずく思ったのだった。事実彼女、フォッコにニトロチャージばかり使わせていた。
『そして、頭脳明晰完全データ派トレーナー、バッジは2個!リク選手!!』
リクと呼ばれたトレーナーは、眼鏡を指で押すとお辞儀をした。しかし、コイツは余り強くないな、とカルムは思っていた。
(自分よりバッジ持ってる相手に言う言葉じゃないけど、頭脳明晰とか名打ってはいる割に脅威に成る程の強さ、ではなかったな。)
『その次は、バトル中のまさかの進化!?バッジは1個、輝き続ける可能性、カルム選手!!』
(大袈裟な・・・・・・。)
自分を励んでいるつもりで実況は言ったのだろうが、プレッシャーばかりが募っていく。
(勝たなきゃ恥ずかしくて死ぬ・・・・・。)
煽られた以上、負けるわけにはいかないと誓うカルムだった。
『最後に、今大会の在る意味注目の的!!運も実力の内か!?バッジ無し、しかし幸運を引き寄せる力は人一倍か!?ヴァン選手!!』
観客の注目を集めたのは、フードを深く被り、黒を基に赤のラインが迸ったデザインのパーカーを着こなした少年だった。
実況・コバルトの言うとおり、ヴァンという少年は今までの試合をまるで幸運にでもつきまとわれているかのように勝っていた。1試合目は、相手のポケモンが攻撃をはずしまくって、そのまま押し切られてKO。その次は、相手のポケモンが自分の放った岩雪崩に押しつぶされてラッキー勝ち。
---------------このように、観客や他の選手には恰も彼がラッキーのみで勝ってきたかのように見えたのだった。彼はフードの下から意味深な笑みを浮かべると、棒キャンディーを口にくわえた。時と場所をわきまえない行為だが、別に誰もとがめはしなかった。
『対戦表が決定しました!!これです!!』
巨大モニターに、トーナメント表が映し出された。そこに、カルム達4人の顔写真が張られたカードがシャッフルされ、裏向きで配置される。そして、展開された。カルムの対戦相手は------------------
「サ、サナ!?」
対戦順からすると、二番目らしい。その前に、さっきの眼鏡少年と
「ヴァンとか言うラッキーボーイが闘り合う訳だな。」
だった。まぁ、あのヴァンという少年の戦いにも興味がある。2つの試合が並行して行われるわけではないので、休憩室でゆっくり観戦することにした。
『準決勝、第一試合!!東、完全データ派の頭脳少年!リク選手!!』
「この世にラッキーとか言う不確定的要素は必要ない。必要なのは、絶対的法則に従った秩序という名の方程式のみ!!」
リクはそう豪語して、じっと相手を見据えた。
『そして一方、幸運を今度も引き寄せるのか!?ラッキースター、ヴァン選手!!』
「互いに良い勝負にしよう。だけど--------------------」
ヴァンはそこで一旦言葉を止めた。そして、にっこりと口角を上げたかと思うと、柔らかい口調でこういった。
「君、つまんない奴だね。」
「何だと?」
笑顔。まるで、周りが色あせてしまうほどの笑顔だった。しかし、口から発せられた言葉からは、戦慄すら感じられた。
-------------一体、何なんだ。
その模様を見ていただけのカルムでさえ、背筋にフシデが2匹走るような感覚を覚えたほどだった。
『それでは、試合開始!!』
そんなことも知らずに脳天気に実況を始めたコバルト。両者はポケモンを繰り出す。
「ふん、勝てば良いんだよ!行け、コイル!!」
磁石ポケモンコイル。球形に1つ目玉の付いた本体に、左右1対のU字型磁石のユニットが付いているポケモンだ。
一方のヴァンもククッと喉で笑いながらボールを放った。
「出ておいで、カメテテ!」
ボールから飛び出したのは、いや--------------正確に言えば落ちてきたのは、岩に目の付いた手が2本生えている、奇形のポケモンだった。二手ポケモン、カメテテ。図鑑にはそう書いてあった。
バトルが始まる。先手は、コイルが取っていた。
「コイル、マグネットボム!!」
吸い付くように磁石の塊がカメテテに飛んでいき、爆発した。鋼タイプの技は、岩・水タイプのカメテテに対して効果は抜群。コイルが体力差でアドバンテージを取ったと思われた。が、次の瞬間だった。
-------------カメテテは確かにダメージを受けていた。しかし、異常はカメテテではなく、コイルにあったのだ。コイルは、マグネットボムを放った直後、フラフラと旋回したかと思うと、落下してしまった。
『おぉーっと!!何が起こった!?コイル、ダウンーッ!!』
会場からはどよめきの声が上がった。回復マシンに異常があったのかと思われたが、カルムだけは違った。
(あいつ・・・・・・誰にも気づかれずに地均しを放ったって言うのか!!)
地均し。平均的な威力を持つ地面タイプの技。自分の居る周囲を揺らして衝撃によってダメージを与えるのだ。
微弱ではあったが、カルムにはコイルの下の地盤が揺れているように感じられた。コイルは一見浮遊しているように見えるが、技の”電磁浮遊”とは違い、所詮見せかけに浮いているにすぎないため、地面技を喰らってしまう。しかも、電気・鋼タイプという、地面タイプに対して最悪な相性持ちのため、一撃で沈んでしまったのだろう。
(こいつ、手強いぞ!!)
今までのラッキーと思われた所行も全て、彼の---------------ヴァンの計算裏に行われたことだとすれば、納得がいった。世の中にこんなポケモンの使い方をするトレーナーが居るとは!そんな人間と戦えると思っただけで、彼の中の闘争本能は滾って仕方がなかったのだった。
『それでは第二回戦を始めます!!西、常に進化するトレーナー、カルム選手!!東、レベルを上げて物理で押せ!サナ選手!!両者、スタンバイ!!』
「カルタロ、絶対負けないからね!」
「その台詞、一時一文全部返してやる!僕が勝つよ!」
サナとカルム、2人の目に闘争心が迸った。実況・コバルトが戦いの始まりを告げる。
『試合開始!!』
後書き:結局有限無実になってしまったタクです。PCがエラーを起こしてしまって(言い訳)。今回、新キャラのヴァンが登場しました。結構重要な立ち位置になるかと思われます。運と思われていた現象が実は計算通り。これ、現実ならば怖いですね。それでは次回、VSサナ(二回目)開始します。お楽しみに。
リクは出オチですかね。噛ませというか遊戯王で言うエルフの剣士というか、デュエマで言うゾロスターさんというか・・・・・・おっと誰か来たようだ。