二次創作小説(紙ほか)
- 第二十六話:VSヴァン ( No.80 )
- 日時: 2014/10/04 09:36
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
「出ておいで、カメテテ!!」
ヴァンが投げたボールからは、やはりカメテテが現れた。さっきのように、”気づかれずに技を繰り出す”という芸当をカメテテはやってのけてしまう以上、こちらも警戒しなければならない。
---------------全力でぶつかるだけだ!!
「行くぞ、ゲコガシラ!!」
カルムはゲコガシラを繰り出した。ここは、速攻技で決めていくしかない。まずは、やつの技の射程圏から消えなければ!
「飛び跳ねる!!」
遥か上空へと、地面を一蹴して飛び上がるゲコガシラ。このまま落下すれば、大ダメージは必須だろう。
------------万に1つ避けられたとして、水技でさらに繋げていけば良い。
「実に面白い!君はどうやら、さっきのバトルでカメテテが放った地均しに気づいていたみたいだね。」
「何なんだ。世界を一緒に変えるとか。訳の分かんねえ事……ほざいてんじゃねえ!!」
カルムにスイッチが入った。口調が強くなり、歯を噛み締めた。完全にバトルモードである。
観戦していたサナはふと呟いた。
「どうしてだろう……カルタロって、たまに怖い……」
と。バトルの際にヒートアップするのは、誰しも同じだが、カルムの場合はまるで----------------------もう1人の人格が現れたようなのだ。さっきの自分とのバトルも、途中から口調が荒くなったようなきがする。
---------------き、気のせいだよね。
サナは頭の中で打ち消した。一方、ヴァンはカルムに向かって得意げに語りを始めていた。
「直にわかるさ。カメテテ、撃ち落とす!!」
直後、カメテテの眼前に小石が収束して岩となる。それが撃ち飛ばされて、上空のゲコガシラ目掛けて飛んでいった。
「電光石火で急降下!!」
ゲコガシラは、ものすごいスピードで、急降下の姿勢に入った。
スピードで突進するゆえ、誰にも避けられない。それを空中で使ったのだ。ゲコガシラは、飛んできた岩を素早く躱してカメテテの真上から飛びかかった。(というより落下した。)腕を振り下ろし、カメテテを叩きつけた。
「良い!! 良いよ!! 最高だ!!カメテテ、ブレイククロー!!」
「いちいちうるせえって、言ってんだろぉ……がッ!!ゲコガシラ、煙幕! からの水の誓い!!」
カメテテは、一方の手を足がわりに伸ばして接近を図った。もう一方の手でゲコガシラを切り裂かんとばかりに躍りかかる。
しかし、ゲコガシラは黒い煙を投げつけて、カメテテの視界をふさいだ。さらに、地面に腕を振り下ろして地割れを起こす。地面から、間欠泉が吹き出した。
「ファンタスティック!!最高だ!!」
「これでも---------------------食らってろォー!!ゲコガシラ、電光石火!!」
「カメテテ、もう一度ブレイククロー!!」
今度は、マジックハンドのようにカメテテの手首が一気に伸びる。突撃してきたゲコガシラを迎え撃つかのように。案の定、ゲコガシラの体は大きく吹っ飛ばされた。
『おぉーと、大丈夫かゲコガシラ!!今のはとても痛かったぞ!!』
『ヴァン選手は、完全にカルム選手と互角・・・・・・いや、それ以上と言っていいでしょう!』
----------互角!?冗談じゃねえぞ!!
「大丈夫かゲコガシラ!!」
「くくっ、君は優しいんだね。バトルの途中でも自分のポケモンに気を遣える。イイことだよ。でも、そろそろ終わりにしよう。」
そう呟くと、ヴァンは口角を一気に広げた。
「カメテテ、原始の力!!」
岩が空中を踊っている。それが一気にゲコガシラへ降りかかった。
「よ、避けろゲコガシラ!!」
空中から、降りかかってくる岩を次々に避けるゲコガシラ。しかし。直後、黒い何かが首へ伸びた。カメテテの手だ。
「グロウ---------------パンチ!!」
ゲコガシラの体が吹っ飛んだ。地面にゴシャッと叩きつけられる。
「君のポケモンは強い。だけど故に君はポケモンに頼りすぎてしまっている。さあ、これで僕のか-------------------」
「まだ、終わっていない!!」
カルムは叫んだ。どうやら、ゲコガシラは気合で持ちこたえていたらしい。立ち上がってみせた。
「そのしぶとさ・・・・・・訂正しよう。やっぱり君は最高だった!」
「ポコポコ評価変えてんじゃねえぞ!!ゲコガシラ、アクアジェット!!」
水の塊がさらにゲコガシラの周りにまとわりついた。特性、激流によってさらにパワーアップしている。勢いよくカメテテに突っ込んで弾き飛ばした。カメテテはものすごい勢いで飛んでいった。気持ちがいい程に。
「カメテテ、グロウパンチ!!」
「ゲコガシラ、アクアジェット!!」
両者の技がぶつかり合う。すれ違いざまに、技を繰り出した2匹。しかし、先に崩れ落ちたのは-------------------------------
「ゲ、ゲコガシラ!!」
カルムのゲコガシラだった。
『ユアー、キングオブ・ヴィクトリィー!!優勝は、ヴァン選手だァー!!』
とてもすごいやつだった、そうカルムは改めて感じた。周りからは、歓声が上がっており、バトルをたたえる声が口々に出ている。
『ヴァン選手には、商品のポケモンの笛が贈られます!!さらに、副賞でポケモンフーズ1年分がついてきます!どうぞ!!』
ポケモンの笛を歓声とともに受け取るヴァン。だが、次の瞬間だった。
「いらないよ、こんなもの。」
そう言って、笛をカルムへ投げ渡した。
「なっ、どういうつもりだ!!」
疑心の念をカルムはヴァンへぶつけてみせた。
「簡単だよ。これは僕には必要ない。じゃあね、カルムくん。またどこかで会おう。」
そう言うと、ヴァンはどこかへ消えていくように、去っていった。カルムの手には、ポケモンの笛。釈然とはしなかったが、手に入れることはできた。ついでだが、ポケモンフーズ1年分も譲り受けた。
「気に食わない・・・・・・。」
不機嫌な様子で、屋上に上がっていたカルムは呟いた。清々しい風が、むしろ彼の感情を逆撫でしていた。
「カルタロ!一緒いい?」
サナだった。カルムの隣に居たいというのか。
「ああ、良いよ。」
カルムは2つ返事でOKを出す。「ほんっと、気に食わねえ・・・・・・。」と、カルムはもう一度こぼした。
「でもさ、楽しかったじゃん!」
「そうだけど・・・・・・。」
すると、ヒュルルルルルルル・・・・・・と音がした。花火が打ち上がる音だ。大きな轟音とともに、パーンと華やかな光が夜空に咲く。
「花火ね・・・・・・ちょいと季節外れじゃねえか?大金持ち様の考えることはやっぱりよくわかんねえよ。」
「ねえ、カルタロ。すごいよ!あれ、ピカチュウだ!!」
今度は、ピカチュウの顔を模した花火が上がった。その後も、ポケモンの花火や、オーソドックスな花火を見ながら、カルムは「まあいいか」と頭の中でつぶやき、全部良しにしたのだった。
後日、7番道路。
「試合見てたわよ!何はともあれ、笛を取り返してくれてありがとう!この恩は一生忘れませんわ!」
「まあ、そうですね。」
カビゴンが寝ている橋の前に立つ4人。城主は、笛を持って言う。
「んじゃあ、吹くわよ?」
次の瞬間-------------------------頭が割れるような感覚をカルムは覚えた。音程は滅茶苦茶、音はお世辞にも良いとは言えず、耳に毒だった。
「んぎゃあああああああああ!!」
思わず、サナもカルムも耳を押さえる。お付きの男も、同じだった。いや、確かにこんな音を鳴らしたら、カビゴンでも起きるだろう。現に今、起き上がっている。
のそのそと立ち上がったカビゴンは、カルムが引っ張ってきたポケモンフーズ1年分を目に止めると、ずしーんずしーんと大きな音を立てて近づき、ポケモンフーズを食べ始めた。そして、あっという間に平らげたかと思うと、そのまま森の中に帰ってしまった。
「・・・・・・僕のポケモンフーズ1年分がァー!!!!!!!!!」
しかし、虚しくもカルムの声だけが森へこだましたのだった。さあここで、質問だ。彼が大会で勝ち取ったものとは、なんだったのか。それは、読者のあなたが考えて欲しい。
「無理やり良い感じに終わらすな、チクショォー!!」
結局、カルムとサナは橋を渡り、次の目的地-----------------ショウヨウシティへ向かうのだった。
後書き:今回、ようやく大会編が完結しました。結局、カビゴンは手に入りませんでしたね。この大会でカルムが得たものは何か?それは達成感と経験です。(キリッ)それでは、次回はコウジンタウンにとっとと到着させます。そしてまた、連中が出てきます。まあ、ここで語ることはあまりないので、次回を楽しみにしていてください。それでは、また。
追記:ゲコガシラ、アクアジェット覚えないみたいです。修正しておきました。