二次創作小説(紙ほか)

第二十八話:リュウヤ ( No.86 )
日時: 2013/12/25 08:29
名前: タク♯delyuru (ID: 0.DI8Vns)

 カルム達4人が、研究所を出たころ・・・・・・。同時刻、輝きの洞窟前。黄色のセミショートの少年が、洞窟の前に立っていた。洞窟の入り口付近には、赤いスーツの男女が2人。しかし、それを気にも留めずに少年は洞窟へ歩を進める。それを、男女が呼び止めた。

「おい、貴様。今ここは立ち入り禁止だ。」
「大人しく立ち退きな!」

「1つ聞きたいことがある。コボクタウンで大勢の人からポケモンを奪ったのは、貴様らの仕業か?」

 立ち止まり、男女に問いかける少年。しかし、男女は少年の肩を掴む。

「貴様、余計なことは聞いても無駄だぞ?」
「大人の世界に勝手に足突っ込むんじゃないよ!!」

 少年は、フッと息を漏らした。「そうだな、」と息を吐いた後、続けた。


「聞いても無駄だったか。」

 
 直後。男女2人は頭を掴まれた感覚を覚えた。目を後ろにやれば、全身が岩石で包まれ、ドリル状の角が鼻の辺りについたポケモン------------------ドリルポケモン、ドサイドンだった。次の瞬間、メキッと音が男女の頭からした。男女2人は少年の肩を掴んでいた手を離す。そして、項垂れたように倒れた。土煙が辺りに少し舞う。

「気絶させただけだ。行くぞ、ドサイドン。」

 淡々と抑揚のない声---------------いや、まるで怒りを押し殺したかのような声で、少年は奥へ突き進むのだった。





 しばらく進んだだろうか。分かれ道を、左に進んでいく。立ちはだかる下っ端共を薙ぎ倒して行き、辿り着いた先には---------------------岩石が沢山転がった部屋だった。

「何だ、ここは・・・・・・。」

 と、岩に手を触れた。岩のどくどくのごつごつとした感触。そのときだった。冷たい感覚が、首筋に押し当てられた。ひんやりとした、金属の冷たい感触・・・・・・。

「動くな。首なし小僧に成りたいか。」

 目を少し後ろにやった。女-----------------刀を持った女だ。

「私の名は、フレア団”七炎魔将”、バーミリオン。異名は、【炎魔恐慌(アンラ・マンユ)】だ。貴様、名を名乗れ。敵の間者か?それとも、単騎で乗り込んできた命知らずか。」

 鋭い目つきで威圧するバーミリオン。少年は仕方なく、両手を挙げる。

「自分から名乗るとは、なかなかの心構えじゃねえか。俺はどちらかというと、後者だな。」
「そうか--------------------ならば、死ね。」

 直後、刀が振り下ろされた。少年は、とっさに左へ避けて首と胴が離れるようなことはなかった。

「なかなかの瞬発力だ。もう少しでここがころりともげていたわ。さてどちらか選べ。死か、絶望か。さあ、行くがいい。切り裂け、ガブリアス!!」

「おいおい、いきなりポケモンを出すのかよ。何なら、こっちもだ!行け、ドサイドン!!」

 少年は、ドサイドンを繰り出した。一方のバーミリオンはガブリアスを繰り出す。マッハポケモン、ガブリアス。プラターヌ研究所にもいたが、その固体より凶暴さが増している。というか、あからさまな敵意をむき出しにしている。

「ガブリアス、ドラゴンクロー!」
「受け止めろ。ドサイドン!!」

 ガブリアスの鋭い爪を、岩石に覆われた体で受け止めるドサイドン。しかし、僅かながらもヒビが入る。
 --------------何なんだ、あのガブリアスの馬鹿力は!!そして、あの女の無機物でも見るような目は!!

 少年は、バーミリオンの瞳の奥にある冷たいものを感じてゾッとした。

------------------人を傷つけるのを何とも感じない目だ!!

「ガブリアス、瓦割り!!」
「くっ、ドサイドン、グロウパンチ!!」

 互いの技がぶつかり合う。火花が散った。

「諦めろ。切腹するなら、許してやってもいいがな。」
「どっちにしろ、死ねってか!!だけど俺は・・・・・・お前らみたいな悪事を働く連中が気に食わない、それだけだぁー!!!!」

 ドサイドンの体と、ガブリアスの体が反発する。

「そうだ、俺はまだ名乗ってなかったな。俺の名はリュウヤだ。その腐った心に刻み込んどけ、悪党が!!」






 そのころ、カルム達は9番道路を経由して洞窟の前まで進んだ。しかし、そこにはフレア団の下っ端が2人、倒れているではないか!!

「おい、どうなっているんだ?どうしてここに連中が?」
「知りませんよ。」

 テイルの疑問にカルムは返した。だが、連中が絡んでいる以上、ジョシュ君に危険が及んでいるかもしれない。

「急ごう、ジョシュ君が危ない目にあっているかも知れねえ。俺はとにかく、研究所の所長さんに連絡を入れる!ついでにこいつら簀巻きにしておくから、先に言ってな!マロン、お前がしっかり引率しろよ!」
「は、はいです!!」

 マロンは一瞬と惑ったようだが、すぐにカルムとセレナを連れて洞窟の奥へ向かったのだった。





 その後、同様に倒れている下っ端達を発見したカルム達。ポケモンもぼろぼろだった。

「ひ、ひどいですね・・・・・・。他の誰かが洞窟に入ってるのでしょうか?」
「マロンさん、あれ!」

 カルムが指差した。見れば、分かれ道がある。

「どちらにするです?」
「右だ、右にしましょう。」

 カルムが答えた。訝しげな目で、セレナはカルムを見る。

「何で右なのよ。」
「僕の利き手が右手だからだ。」
「どんな理由!?」

 しかし、他にあてがあるわけでもなく、3人とも右へ向かったのだった。そのころ、テイルはマロンに向かわせたのを、失敗に思っているのだった。
 しばらく進んだだろうか。奥で、カツーンカツーンと音がする。誰かが向かってくるようだった。男の独り言が聞こえる。

「いやぁ、大量大量。まったく、化石がこんなに取れるとは。」

 その声を聞いた3人は身構えた。特にマロンは見覚えがあった。

「オ・・・・・・オペラ!?」

 姿を現したオペラ。オペラは、舐めるように3人を見るとマロンに目を留める。

「おや、あのときの。そして、見知らぬ子供が2人・・・・・・。」

「あ、あんたフレア団か!?」

 カルムは、オペラの特徴的な服装からそういった。オペラは丁寧にうなずくと、続けた。

「ええ、そのとおりです。私、フレア団”七炎魔将”。【炎魔龍王(アジ・ダハーカ)】の異名を持つ、オペラと申し上げます故、以後お見知りおきを。」

「やっぱりフレア団か!!」

 ここの指揮を執っているのか、背後には大人数の部下の姿が見えた。

「貴方達は下がってなさい。子供のしつけは私がします。」
「お、おい!!あんたらの目的は何なんだ!!」
「貴方達に言う義理はありません。」

 そう静かに言うと、オペラはボールを投げた。

「行け、モノズ。」

 中からは、黒い体毛に覆われた四速歩行の小龍が飛び出してきた。しかし、心なしかおびえているように見える。粗暴ポケモン、モノズ。あくタイプをかね併せ持つドラゴンタイプのポケモンだ。

「3対1で構いません。私、この程度の一対多戦闘は慣れております故・・・・・・。」

 表情を一切変えずに言うオペラ。しかし、この顔には恐ろしい裏が隠されていることなど、誰も知る由が無かったのである。

後書き:今回、竜さんのオリキャラ、リュウヤを登場させました。キャラ崩壊等があれば、お願いします。
前回のコメディチックな一面とは一転、バーミリオンとオペラのフレア団としての一面を描きました。とにかく、バーミリオンは気に入らない相手は容赦なく斬りにかかりますが、これには訳があります。オペラも、過去に深いものを負っていますが、それは追々明かすとして。そして、次回、2つのバトルを描いていこうと思います。お楽しみに。