二次創作小説(紙ほか)
- 第二十九話:龍王 ( No.87 )
- 日時: 2013/12/26 01:45
- 名前: タク♯delyuru (ID: 0.DI8Vns)
「行くぜ、ゲコガシラ!」
「ハリボーグ、出てきて!」
「頼んだです、バオッキー!」
3人は、各々のポケモンを繰り出した。オペラはそれらを見据えると、表情を変えずに淡々と言う。
「先攻は私がいただきます故・・・・・・。モノズ、竜の怒り。」
オペラの指示と同時に、モノズは口から紫色の光線を吐き出す。咄嗟に避ける3匹。
「くっ、セレナ!合体技行くぞ。」
「そうか、合体技を使えば何とか成るかも。」
「その間、あたしが足止めしておくです!バオッキー、弾ける炎です!」
炎が吐き出された。しかし、軽快な動きでモノズはそれを避ける。
今のは失敗したとはいえ、マロンがモノズを引き付け、そこをゲコガシラとハリボーグの誓いの技で一気に打ち勝つ戦法にした。しかし、オペラは計算済みだといわんばかりに、言う。
「つまりませんね。まぁ、いいでしょう。モノズ、岩雪崩!!」
モノズが尻尾で地面をたたいた。次の瞬間、天井が崩れて岩が降る。それをモロに食らったバオッキーは倒れた。
「くっ、戻るです!バオッキー!」
「だけど今ので、ばっちり時間は稼げたぜ!!ゲコガシラ、水の誓い!」
「ハリボーグ、草の誓い!!」
オペラは身構える。2つの波長が合わさり、湿原地帯が広がった。そして降りかかるシャワー状のエネルギー体にモノズは身を焼かれた。
そして---------------そこに崩れ落ちた。
「何て威力だ。それに引き換え---------------------。」
倒れているモノズに目をやると、オペラは足を振り上げた。そして、一気に振り下ろす。モノズは力なく悲鳴を上げた。
「なっ、お前--------------------!!」
「どうしたんですか?使えないゴミを処分しているんです。」
「し、信じられない!自分のポケモンを蹴るなんて!!しかも、目の前で弱っているのよ!!」
「トレーナー失格です!!」
セレナとマロンの言葉に、オペラはきょとんとした様子で答えた。
「はい?何を言っているのかさっぱりですね。それよりも、”ゴミの活用法”を見出してやったと言ってほしい。人聞きの悪い連中だ。このモノズはですねぇ--------------------------」
そういうと、オペラはモノズの腹を踏む足に力を込めた。モノズの悲鳴が一層大きくなる。
「育ててみたのはいいものの、全く使えない!!能力は低く、性格も私の好みじゃない。よって育てるのを諦めたんですよ。悪いで------------」
「好い加減にしやがれよ!!」
切れた。カルムの中で、何かが吹っ切れる。そして気づけば、拳はオペラの鳩尾に伸びていた。しっかりと自分の拳は刺さっている。彼の腹に。しかし、オペラは呻きもしなければ、全く何も感じていないように見えた。
「はて?何をしたんですか?」
「こいつ--------------------------!!」
次の瞬間、自分の拳が逆に掴まれた。そして、一気に投げ飛ばされる。岩壁に頭を打って、カルムは呻き声を上げた。ものすごい力だ。まるで、人じゃないような。
「カルム!!」
「だ、だいじょうぶですか!?」
2人が駆け寄る。
-----------------何だよ、こいつ!!
まるで、感情というものを一切持ち合わせていないようだった。何も感じないのだ。殴られても、自分のポケモンを痛めつけても。そして、痛めつけるのに飽きたのか、オペラはモノズを隅へ蹴っ飛ばした。とても強い力だ。
「良いトレーナーは、良いポケモンを使う。故に、弱い固体を淘汰します。そんなポケモンはいくらでもいるんですよ?1年間にトレーナーによって捨てられるポケモン、淘汰されるポケモン。何匹いると思っているんですか?当たり前のことなんですよ。捕まえられたと思ったら、一生ボールの中で腐っていくポケモンが何匹いると思っているんですか?だから、私がこんなことをやっても全くおかしくありません。要するに。このゴミは、その過程で私が使えないと判断したもの。それでも、役には立ちましたよ?壁として。」
カルムは血の味がするほど唇をかみ締めた。オペラの言っていることは明らかに間違っている。しかし、彼の口ぶりからは、他にも世の中にはこんなトレーナーがいるということだ。悔しくて成らなかった。拳1つすら届かない人間がこの世にいるなんて。悔しくて成らなかった。他にも、身勝手な人間によって捨てられるポケモンがいるなんて。
オペラはずれた眼鏡をかけ直すと、もう一度言った。
「そのゴミは、殺すなり引き取るなり、勝手にしてください。弱すぎて、私が手を下すことすら躊躇う位だ。それに-----------------サザンドラは、こいつだけで十分です故に。行け、サザンドラ!!」
オペラはボールを投げた。中からは、3つ首の黒い竜が姿を表す。凶暴ポケモン、サザンドラ。非常に獰猛で尚且つ凶悪。粗暴で食べることばかり考えている。手に当たる部分の先には、顔がついていた。
おそらく、このサザンドラは彼の眼鏡に合っていたのか、相当かわいがられていたようだ。さっきのモノズとは真逆に。
「歪んでる・・・・・・あんたおかしいよ・・・・・・何で平気でそんなことが言えるんだよ!!命を何だと思っているんだよ!!」
「貴方、サイテーよ!!人でなし!!・・・・・・カルム、私はモノズの手当てを!!」
そういって、セレナはモノズに駆け寄って、手当てを始めた。
「”いずれ消去される”モノに情けを掛けても仕方ないのですよ。」
-----------------いずれ消去される!?
オペラの言葉が引っかかったが、カルムは迷わず立ち上がった。
「てめぇ・・・・・・もう許さねえぞ!!」
そう、怒りを込めて怒鳴る。
「覚悟しな!俺は・・・・・・、てめぇをぶっ潰さねえと、気が済みそうにねえぞ!!」
カルムの1人称が「俺」に変わった。そして同時に、セレナは見た。カルムの瞳の奥にある、「野獣」を。まるで、今まで押し殺してきたものが沸いてくるような。同時に、ゲコガシラもそれに答えるかのように鳴く。
「貴方とは、どうやら反りが合わないようだ。」
「同感だ。俺は良かったぜ。あんたみたいな下衆野郎に生まれなくてな。」
カルムは一度、マロンとセレナの方を向いた。
「マロンさん、セレナ。下がってな。俺はこうなったらもう、止まりそうにねえ。この外道をぶっ潰すまでは!!」
後書き:パソコン変えたばかりで、トリップがうまくいっていないみたいです。間違えたみたいですね。まぁ、気にしないでください。さて、本編解説ですが、オペラは、かなりの外道だということが発覚しましたね。書いてて自分でもあまり気分がいいものじゃありませんが、こういう感じの悪役は、嫌いというわけでもないです。BWのゲーチスみたいな感じの。ポケモンにしては、重い感じでしたがいかがでしたか?さて次回ですが、怒りに目覚めたカルムの実力はいかに?オペラのサザンドラにも注目ですね。それでは、また。