二次創作小説(紙ほか)

第三十話:メガシンカ ( No.90 )
日時: 2014/10/04 09:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

「ゲコガシラ、電光石火!!」

 ゲコガシラは、目にも留まらぬ速さで突撃した。
 -----------速い!!
 同じような技を、ここにくるまでに何度も見たセレナだが、ゲコガシラのスピードは、それをはるかに上回っていた。

「サザンドラ、かわして気合球!!」

 サザンドラは身を翻してかわすと、右腕の口から気合を込めた玉を放とうとする。次の瞬間、サザンドラの右腕に、ヒビが入ったように傷が走った。

「なっ・・・・・・?!」

 完全に避けきったと思われていた電光石火、しかし掠っていたのだろうか。

「おかしい・・・・・・私のデータが正しければ、今の一撃は完全に避けきっているはず・・・・・・何ですかあの動きは!?」

 ギリッと歯を噛み締めるオペラ。
 --------------今までとは全く違う。
 そう、感じていたのだろうか。

「ゲコガシラ、ケロムースで野郎の口を塞げ!!」

 ゲコガシラの首周りについたケロムースは、投げられてサザンドラの右腕の口に入り、塞いだ。気合玉のエネルギー波が逆流し、爆発する。粉塵が舞って、小石が転がった。
 -------------まるで、先を読まれている!?
 連続した動き・・・・・・まるで、こちらの動きを先に知っているかのようだった。

「ここは温存です。戻れ、サザンドラ。実験第二段階・・・・・・行きなさい、ボスゴドラ!」

 鉄鎧ポケモン、ボスゴドラ。サザンドラに代わって現れたのは、巨大な体躯を持つポケモンだった。

「貴方の能力・・・・・・なかなかのモノです。」
「うるせぇ、放っとけ!」
「おや?貴方自身、自分の能力のことを知っているようですね。」
「黙ってろ・・・・・・!!」

 --------------これを使うのは、今日で最後だ!!

「ボスゴドラだか、何だか関係ねえ!!叩き潰す、それだけだ!!ゲコガシラ、煙幕!!」

「良いでしょう・・・・・・たとえ、先が読めても”未来が変わらない”ということだけは教えてあげます。」

 次の瞬間、オペラは自分の右腕に嵌めていた腕輪に手をかざした。ボスゴドラは眩い光に包み込まれ、煙幕を弾き飛ばす。

「!!」

 その時だった。思わぬ光景に、カルムとマロン、セレナの3人は目を見張った。


「ボスゴドラ、メガシンカ!!」


 ボスゴドラは、卵のような物体に包み込まれた。そして、次第に大きくなる光。卵のような物体が弾け飛ぶ。次の瞬間、そこにあったのはボスゴドラではなかった。全く違う存在へと姿を変えていたのである。

「これが、メガシンカ・・・・・・!?博士が言っていたのは、こういうことだったのか!?」
「さっきとは姿がぜんぜん違う・・・・・・!!」

「博士・・・・・・?成るほど、Mr・プラターヌのことですか。それで全て合点が行きました。ポケモン図鑑は博士から託されたものですね。」
「・・・・・・それが・・・・・・どうした!!」

 食って掛かるように、カルムは言い返した。

「貴方が選ばれたのは、他でもない。その能力のおかげでしょう。」
「こんなの、能力(チカラ)じゃねえ!!呪いだ!!」
「生憎、科学者は呪い、といった類は信じないことにしているのです。
勿論、絆-----------------とか言う馬鹿げたモノもね!!ボスゴドラ、ヘヴィボンバー!!」

 次の瞬間、メガボスゴドラの周りに鉄の塊が纏わりついた。

「やれ!!」

 そのまま、飛び上がってゲコガシラへ圧し掛かる。

「アクアジェットで避けろ!!」
「無駄です。行け、フライゴン!!」

 2対1。完全に囲まれる。

「く、くそぉ!!」

「まだよ!ハリボーグ、ニードルアーム!!」

 セレナのハリボーグが、棘をまとった腕でフライゴンを殴りつけた。

「サ、サンキュ!セレナ!」
「って------------------どうしたのよ!!汗でぐしょぐしょじゃない!!」

 カルムは全身が汗でぬれ、顔は真っ赤。

「こんなの・・・・・・!!ゲコガ・・・・・・シラ・・・・・・!」

 そういいかけて、カルムはふらっと倒れこむ。思わずセレナは支えた。

「ど、どうしたっていうのよ!!」
「ヘヴィボンバー。」

 カルムが倒れたのと同時に、ゲコガシラの動きも僅かながら鈍った。そして-----------メガボスゴドラに押し潰された。次の瞬間、カルムに激痛が走る。

「ぐっ、ぐあああああああ!!」
「やはり、そうでしたか。これはなかなか、良い研究対象になりそうだ--------------------------!!」

 オペラはそう言うと、

「フライゴン!その邪魔なハリボーグに、大文字!!」

 大きな大の字の炎によって、身を焼かれたハリボーグ。全身が炎に包まれ、丸焦げになった後、倒れた。

「ハ、ハリボーグ、戻って!!」

 カルムが倒れた今、自分が何とかするしかないのか。

「お願い、アブソル!!」

 次にセレナが繰り出したのは、白い毛を身にまとった獣のようなポケモン、災いポケモンのアブソルだった。

「ノズパス、でてくるです!」

 マロンはノズパスを繰り出す。しかし。

「では、フライゴン。大地の力!!メガボスゴドラ、グロウパンチ!」

 弱点を突かれ、一撃で両方とも沈んだ。

「舐めないでいただきたい。これでも私は、魔将の中でも上級2位に値するので。」





「なかなかの腕前だな、少年。だが私の前では全て無力!!ガブリアス!!」

 ガブリアスに呼びかけたバーミリオンは、目の前の標的--------------------リュウヤのドサイドンを見据えると、叫んだ。自分の刀の柄についた石に手をかざす。

「メガシンカ、ガブリアス!!」
「なっ、何だと!?」

 目の前で、ガブリアスが全く違う存在へと生まれ変わろうとしているのだ。卵のようなものに包まれ、眩い光とともにその姿は露見した。
 メガガブリアスの姿は、メガシンカ前とは打って変わり、全身の筋肉が膨張し、両腕が大きな刃となるほか、手足にあったとげが胴体にまで増えており、より攻撃的な外見となった。

「見ろ、この両腕の刃という点がポイントだ。刀使いのこの私とはまさしく運命で結ばれているのだ!!」

「どーぉでも良いわァー!!!!!!!」

 ドサイドンのグロウパンチが、メガガブリアスに炸裂した。メガシンカしたことで、多少鈍足になってしまっているようである。しかし---------------

「ぜ、全然効いていない!?」
「ガブリアス、ドラゴンクロー!!」

 鋭い刃のような爪が、ドサイドンの脳天を直撃した。気を失って倒れるドサイドン。

「くっ、戻れドサイドン!!」




 かくして----------------激戦化する両サイドの激突。勝つのはトレーナーたちか、それとも炎魔将か!?



後書き:今回、かなり重要な回です。カルムの能力は、彼の過去に大きく起因しています。まあ、今回語ることは余りありませんね。強いて言うなら、オペラの手持ちがもうほとんど明らかになってしまっていることですかね。ボスゴドラは、登場と同時にメガシンカしましたし。バーミリオンも、ガブリアスがメガシンカしていますが、両サイドの戦いがどうなるかはお楽しみに。それでは、また。