二次創作小説(紙ほか)
- 第三十一話:逆転(リバーシ) ( No.95 )
- 日時: 2014/01/03 09:45
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
まずいことになった。強いて言うならば、追い詰められた、か。袋のピカチュウ、いやラッタのほうが正しいか・・・・・・なんてアホみたいな推測は置いておいて。ようするに、アレだ。セレナ達にはポケモンがもう一匹も残っていない。さっきマロンが出したオオタチも、ボスゴドラのグロウパンチで一撃で沈む始末。
しかも、カルムはポケモンとともにノックダウンしている。何故だか知らないが、あの下衆科学者(オペラ)曰く「能力(チカラ)」、カルム曰く「呪い」らしいが。
さてまずいことになった。こちらは、モノズとカルム、2つの手負いを背負っている以上、下手な動きは禁物。というかやばい。一方、オペラはフライゴンとメガシンカしたボスゴドラ(以下メガボスゴドラ)を従えてしまっている。
「というか、メガボスゴドラって長いんですよね。今度から略してM・Bで良いんじゃないんですかね。」
「あんたはメタ発言までやるんかぁー!!」
オペラのさらっとしたメタ発言に、セレナは普段の冷静さを失って突っ込んだ。
「ああ、そうでしたか。これだと映画”大怪獣・メカバンギラス(通称M・B)”の強襲とかぶっていますね。」
「どこの話!?」
「しかし------------」オペラの目が冷たく光った。マロンが手当てしているモノズに目をやる。
「そんなゴミを負って、まだ戦うつもりですか。ほとほと呆れさせますね。」
「本当にゴミなのはどっちだ、鬼畜生が・・・・・・!!」
カルムが起き上がる。首を回し、帽子の向きを直した後-------------------缶コーヒーを一杯、飲み干した。
「ほう、まだ起き上がれたのですか。」
「たりめーだ・・・・・・こんぐらいで再起不能に成るほど、ヤワじゃねえぜ!!」
「ちょっと、動いて大丈夫なの!?」
セレナが腕をつかむが、「大丈夫だ。」と払いのけた。そして叫ぶ。
「これは俺の戦いだ!!野郎をぶっ潰さない限り、俺は何回でも立ち上がってやる!!」
その目に宿っていたのは、最早”闘志”等という綺麗なものではなかった。執念だ。一度宿れば二度と離れない、汚れた執念だった。しかし、それこそが彼にも彼のポケモンにも力を与えた。
「お前もまだやれるよな、ゲコガシラ!!!」
次の瞬間、メガボスゴドラの足元の地面が割れた。中から間欠泉が噴出す。
「まさか・・・・・・!!」
オペラは、すぐさまゲコガシラの方に目をやった。息も切れ切れに立ち上がっているゲコガシラの姿。
「おかしいですね・・・・・・。ボスゴドラのアレを食らって今まで立ち上がってきたポケモンは今までいませんでしたが・・・・・・なーるほど。”命を活性化させる”とはこのことですか。」
さらに、メガボスゴドラの重みに耐え切れなくなったのか、足元が崩れた。地盤沈下だ。メガボスゴドラは足をとられて動けなくなる。
「ゲコガシラ、フライゴンに煙幕!!」
「避けなさい、電光石火!!」
素早いスピードで、避けるフライゴン。しかし、煙球は爆発し、煙幕が辺りを覆いつくす。そして--------------------煙が晴れた。
「-----------------!!」
オペラは固まった。自分の喉下にニャスパーの爪が当てられている。
「い、いつの間に・・・・・・!!」
しかも動けない。念力で固定されているからだろう。
「俺達の勝ちだ。ポケモン全員ぶっ倒すだけがバトルじゃない。」
一方、リュウヤと攻防を繰り広げていたバーミリオン。ドサイドンがやられ、今はドラゴンポケモン・ボーマンダを繰り出して戦っていた。
ボーマンダは、まさしく正統派の龍を表したような姿をしているポケモンだ。気象は非常に荒く、手なずけるのは初心者トレーナーは論外、上級者トレーナーでも手こずるほど。しかし、このボーマンダはリュウヤによく懐いているのか、指示を守って戦っていた。しかし、そろそろ限界が来ていた。
「最初の勢いはどうした?」
「く・・・・・・そっ・・・・・・!!」
「おいてめえ、刀女ごるァァァァァァァァァァ!!!!」
ハイテンションな怒鳴り声とともに、リュウヤ達の足元に電撃が走った。
「ぜぇぜぇ、はぁはぁ・・・・・・!!」
「何だ。貴様か。」
バーミリオンは、淡々とした口調で電撃の発生源を見た。茶髪に黄色の瞳を持つ少年、テイルだった。そばには、綿毛ポケモン・モココを連れていた。
「また斬られに来たか。」
「へっ、何言ってやがる。俺は、研究所での借りを100倍にして返しに来たんだよ!」
どうやらテイルは、カルム達の方に来るつもりがバーミリオンのいるこちらに来てしまったようだった。しかし、彼にとっては好都合。
「てめぇをここでぶっつぶ・・・・・・」
「おいアンタ。何邪魔してやがる。」
すごい形相で睨まれた。テイルはいつもの軽い笑みで返して見せた。
「おー、少年!苦戦してるっぽいな。」
「・・・・・・善戦という訳ではないな。」
「手ェ貸してやろうか?」
「何ィ!?」
リュウヤの表情は更に歪んだ。------------------戦いに水を指された上に、手を貸して貰う!?そんなことは、彼のプライドが許さなかった。
「ま、お前がどう答えようが・・・・・・俺はこいつを叩きのめすだけだ!!」
「物分りの無い餓鬼だ・・・・・・差し詰め、触ったら茨の棘の如く突き刺さる----------------------薔薇餓鬼(バラガキ)とでも呼んでやろうか?」
「へっ、生憎--------------------」
直後、モココは素早いスピードでガブリアスの懐に潜り込む。
-------------早い!!
バーミリオンでさえも反応ができない。ガブリアスでさえも。そして、拳が叩き込まれた。気合パンチ。ここに来たときから、力をためていたのだろうか。
「俺は薔薇餓鬼(バラガキ)じゃねえ、強いて言うなら触ったら静電気の如くビリビリする、ビリ餓鬼とでも呼んで貰おうか!!」
テイルは得意気な笑みを浮かべて言ってのけた。その笑みからも想像できたように、彼からは絶対的な自信が感じられた。自身への自信。それは時に過信ともなりうるが、テイルはそれを武器に今まで戦ってきた。
「おい少年、2つの中から選べ。」
テイルはリュウヤに向けていった。リュウヤは何も言わずにテイルを睨んでいる。
「俺と協力してこの女を倒すか、それともこの俺、テイルにあの女ごと倒されるか。言っておくが、俺はバトルにおいて絶対の自信がある!」
「・・・・・・まぁ、良い・・・・・・勝手にしろ。」
リュウヤはぶっきらぼうに答えると、バーミリオンのほうを向いた。そして、テイルも並ぶ。
「名前は?」
「・・・・・・リュウヤだ。」
リュウヤはそう答えて彼の目を見据えた。やる気と希望に満ちた目だった。
「覚悟しな、七炎魔将・バーミリオン!ここでてめぇは叩き潰す!!」
逆転に次ぐ、逆転。両サイドの戦いは、さらに激化する-----------------------------!!
後書き:薔薇餓鬼(バラガキ)というのは、かの有名な新撰組副長・土方歳三の幼少期の仇名から流用したものですね。さて、それはさておき次のジムまでやはりといいますか、やたらと長い!書いてるこっちが疲れてきます。地つなぎの洞穴も飛ばしても安定のだらだら・・・・・・。まあ、フレア団との戦いは次回で終戦ですね、お楽しみに。