二次創作小説(紙ほか)
- 第三十二話:終戦 ( No.96 )
- 日時: 2014/01/03 09:49
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「私を倒す?笑わせるなッ!!」
バーミリオンは再び剣を突き出した。そして、叫ぶ。
「ガブリアス、ドラゴンクロー!!」
ガブリアスは鋭い刃のごとき爪を使ってモココへ振り下ろす。しかし、
「戻れ、モココ!」
惜しくもその攻撃は通らなかった。テイルは直前でモココをボールに戻してしまったからだ。
「おい、何故戻した?」
「馬鹿、こいつは不意打ち用!幾らなんでもガチのぶつかり合いでガブリアスに勝てるわけがない。いいか、野郎みたいなでっかいやつとぶつかったとき、真っ向勝負で戦いを挑むな。何せ俺のポケモンはな、俺が昔、北の地方を旅していたとき、皆地面タイプが効かない編成にしてたんだ!今は違うが、今でも使ってるこいつなら、野郎と対等(サシ)で戦える!行け、シビルドン!」
御託を並べたが、出てきたのは彼のエース的存在でもあるシビルドンだった。シビルドンの特性は浮遊。ガブリアスの相手をするには持って来いだろう。
「一気にぶっ潰してやるぜ!」
「なら見せてみろ、貴様達の実力を!出て来い、キリキザン!奴を徹底的に切り刻め!!」
バーミリオンがさらに繰り出したのは、刀人ポケモン・キリキザン。スマートな体型が特徴で、全身にプロテクター状の鎧が装着されている。
「さあ、キリキザン!辻斬り!ガブリアス、ドラゴンクロー!」
「シビルドン、キリキザンに瓦割り!」
「ボーマンダ、ガブリアスにドラゴンクロー!!」
ガブリアスは一閃をボーマンダに浴びせるが、負けじとボーマンダもガブリアスへ一撃を与えた。一方、シビルドンは勢いをつけた手刀でキリキザンの脳天を叩きつける。しかし、それは腕によって受け止められて、防がれた。
(強い・・・・・・バーミリオンのポケモンの基礎能力が高いのもある。だけどそれ以上に---------------------それ以上にバーミリオンの指示が無くとも動ける自立性!奴にどれ程鍛えられているか、考えたくも無いぜ・・・・・・!)
敵ながら認めざるを得ない。
「しっかしな!俺はお前にリベンジする!シビルドン、ガブリアスにドラゴンテール!」
「切り刻んでやる・・・・・・、お前も、お前のポケモン、そしてお前ら全員の魂までもな!ガブリアス、ドラゴンクロー!!キリキザン、辻斬り!」
「フォローに回れ!ボーマンダ、大文字!!」
大の字の炎がキリキザンを直撃した。身を焼かれてそのまま倒れる。そして、ガブリアスにシビルドンの尻尾が炸裂。悲鳴を上げる。
まだ、彼女は負けてこそ居なかったが、これ以上の戦いに意味が見出せなくなったのか、
「くっ---------------!!覚えてろ、どうせオペラがいるんだ、今の私が居なくても十分だ!!この-------------七炎魔序列2位の私をこんな目に合わせたんだ!!覚えてろ!!」
そう興奮した様子で叫ぶと、1本のロープを手に持った。直後、バーミリオンの体が消えた。
「穴抜けの紐!?」
どうやら、道具を使われて逃げられたらしい。
「オペラ・・・・・・まさか、分かれ道のもう一方にカルム達が!?」
「あんたの仲間か?」
「ああ、急がないと・・・・・・。」
「うーん・・・・・・。」
声。男の声が聞こえた。奥のほうから聞こえる。2人は思わず身構えた。
「オペラ様!!今、助けに向かいます!!」
部下が何人か、こちらへ向かってきた。
「慌てるな。それより、アレは見つかったんですか?見つかり次第、クローム君にご報告を?」
部下は顔を見合わせると、引いていった。どうやら、オペラは部下にもあまり好かれているわけではないらしい。
「上辺だけの忠誠なんてね。ククク。クハハハハハハハ!!」
突如、オペラは笑い声を上げた。そして、カルムをすっと見据えた。
「私には余裕があります。」
「るっせ。その首ごと弾き飛ばしてやろうか!」
「オペラ様、例のモノが見つかりました!!」
部下の1人が報告に来る。オペラは後ろの部下に向かって叫ぶ。
「クローム君に伝えなさい!すぐに、迎えに来いとね!」
「な、仲間を呼ぶつもり!?」
セレナが言った。オペラは頷く。間もなくして。オペラの背後に少女の姿が現れた。まるで、今までそこにいたかのように、突然。
「クローム君、出迎えご苦労。」
カルム達は身構えた。恐らく、この女も七炎魔将の1人-------------!!
「子供達が3人・・・・・・。」
「あんたは一体・・・・・・!!」
少女は、隣にフーディンというポケモンを連れていた。フードを深くかぶって、表情は全くわからない。白の地に赤いラインの入ったパーカーだった。
「私、クローム。七炎魔将、下級1位。」
「下級・・・・・・?」
「そう。七炎魔は序列によって、3つの階級に分けられてる。上級、中級、下級に。」
クロームは抑揚の無い声で言った。まるで、感情が無いような。
「この猫・・・・・・邪魔。」
オペラの首元を狙っていたニャスパーを見ると、クロームは言った。
「フーディン、サイコキネシス。」
同時に、ニャスパーの体が浮き上がった。そして、地面に叩きつけられる。咄嗟にボールへ戻すカルム。
「くっ・・・・・・!!」
「七炎魔は私達下級に2人、中級に2人、上級に3人が振り分けられてる。そこに沢山の先鋭の部下。私は序列は6位。だけど、下級じゃ最強。だから、沢山の部下持ってる。私が連絡をつければ沢山の部下出てくる。そこを動くな。私達に敵意はない。」
片言だが、言いたいことは分かった。要するに、戦うなと言っているのだろう。彼女の影響力が、七炎魔でも強いことがわかった。
「・・・・・・分かればいい。撤退。」
そういった瞬間、フレア団全員が跡形も無く消える。
「てれぽーと・・・・・・でも使ったんでしょうか・・・・・・?」
マロンが力なく言った。「敗北」、その2文字。自分達は負けたのだ。
「おーい、お前らぁー!」
テイルの声がした。見れば、研究員と思われる男と一緒に居る。こちらへ駆けてきた。肩で息をする。
「テイルさん、遅いですよ!」
カルムが非難すると、テイルは「わりー、わりー、」と軽い調子で返した。
「ちょいとバーミリオンと戦っていてな。何とか追っ払うことは出来た。そこで戦っていたトレーナーが居たから助けてやったのさ。そいつは、”この借りはいつか返す。”とか言ってすぐに出て行っちまいやがった。」
「バーミリオン!?」
「ああ、その際だが・・・・・・ジョシュ君を発見した。どうやら、フレア団とかかわってはいないらしい。」
「ええ、私はずっと化石を掘っていたもので・・・・・。」
『ずっと気づいていなかったの!?』
全員で突っ込んだ。「あ、そうだ!」と、カルムは急いで切り出した。
「テイルさん!このモノズを診てください!!」
「あ?おいおい、俺は携帯獣医(ポケモンの医者)じゃねえんだぞ?って---------------何だコイツ!!相当衰弱してるじゃねえか!!何があったんだ!!」
カルムが抱えて見せたモノズの様子を見て、テイルの顔は青くなった。
「訳は後です!!早くポケモンセンターへ!!」
「あ、ああ!研究所へは、マロンが連絡入れとけ!行くぞ!!」
場に、切羽詰った空気が流れた。テイルはモノズを抱える。一気に駆け出す一同。と、その時だった。カルムは、自分の意思とは逆に足が動いていないことに気づいた。足だけではない、自分の体が思うように動かないのである。そして、一気に疲労感と眠気が襲ってきた。気付けば体は既に倒れていた。そして、自分の名を呼ぶ声がした後、彼は意識を手放した。
「カ、カルム-----------------!!」
洞窟の中、ただただ彼の名を呼ぶ仲間の声だけが響いていった。
後書き:あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。タクです。今回、フレア団との戦いは終わりましたが、衰弱状態のモノズ、そしてカルム。この1匹と1人の命運は!?というわけで次回、更なる激動の展開です。今回、あんまり語ることはありません。それでは、また。