二次創作小説(紙ほか)
- 21話 セカンド・バトル ( No.110 )
- 日時: 2013/12/09 23:19
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「ハリマロン、ミサイル針!」
ハリマロンは頭部からミサイルの如く無数の針を射出する。
「躱せテールナー!」
襲い掛かる針の群れを、テールナーは転がるように躱し、ついでに地面に落ちた枝を拾い上げ、
「サイケ光線!」
そのまま念力の光線を発射する。
「ハリマロン、かわしなさい!」
しかしハリマロンもテールナーの攻撃を回避する。的が小さい分、どうしても攻撃が当たり難い。しかも向こうは小柄なので小回りも利き、こちらの攻撃を躱すのはそう難しくないだろう。
だから、レストは違う手法でハリマロンに攻撃を当てる。
「やっぱあの枝を持たれると面倒ね……いっそ奪ちゃえ。ハリマロン、蔓の鞭!」
ハリマロンは腕から細長い蔓を伸ばし、しならせながらテールナーの木の枝に巻きつける。
「よしっ、そのまま奪い取って!」
そして蔓をグイッと引っ張るが、木の枝は動かない。
「馬鹿かお前、んなこと口走ったらやることばればれだろうが」
呆れたように息を吐くレスト。だが、すぐに目つきを鋭くする。
「ま、つってもお前が遠からず蔓の鞭で枝を奪いに来ることは読めてたから、蔓の鞭を指示した時点でテールナーの枝を狙ってくるだろうことは予測できた。こっちはグロウパンチで攻撃力上げてんだ、綱引きでは負けねえよ」
という、レストの言葉通りだった。
「テールナー、ハリマロンを引き寄せろ!」
テールナーは蔓の巻きついた枝を思い切り引っ張り返し、強引にハリマロンを引き寄せる。テールナーより軽いハリマロンは簡単に宙を舞う。ハリマロンは絡みつかせた蔓を逆に利用される形となってしまった。
「グロウパンチ!」
そしてテールナーは一旦枝を手放し、拳を構え、ハリマロンの顔面を殴りつけて吹っ飛ばす。
「まだだ! テールナー、炎の渦!」
さらにテールナーは跳躍し、空中の枝をつかみ取ると、そのまま渦巻く炎を放ち、ハリマロンを拘束する。
「っ、しまった!」
炎の渦に飲み込まれてしまったハリマロン。効果抜群ということもあり、ダメージは大きいだろう。
そして、
「決めろテールナー! ニトロチャージ!」
テールナーは全身に炎を纏うと、その炎を推進力に加速し、ハリマロンへと突撃。
炎の渦に閉じ込められたハリマロンは、なす術もなく吹っ飛ばされた。
「ハリマロン!」
効果抜群の一撃、さらにテールナーはグロウパンチで攻撃力を強化している。ハリマロンがこの攻撃を耐えきることはできないだろう。
そう、ハリマロンでは。
突如、吹っ飛ばされたハリマロンが眩い光に包まれる。
「えっ……これは……?」
「進化の光……!」
それは、レストがついさっきジム戦で見た、フォッコがテールナーへと進化する時と同じ光であった。
ハリマロンは光の中で姿を変えていく。頭部を覆っていた殻は体全体へと広がり、全体的に大きくずんぐりしており、丸みを帯びた体型となる。
棘鎧ポケモン、ハリボーグ。
「ハリマロンが、進化した……!」
ラルカもポケモンの進化を初めて見たのだろう。その声と表情には感嘆の念が含まれていた。
「このタイミングで進化とは……ついてない。だが、進化してもタイプではこっちの方が有利だ。テールナー、ニトロチャージ!」
テールナーは炎を纏い、加速しながらハリボーグへと突っ込む。先ほどの攻撃で素早さが上がっているので、かなりのスピードだ。
しかし、
「ハリボーグ、受け止めて!」
突っ込んでくるテールナーを、ハリボーグは真正面から受け止めてしまう。
「っ、なんだと……!」
驚きを禁じ得ないレスト。攻撃と素早さが強化されたテールナーのニトロチャージが、技も使わずに受け止められてしまったのだから無理はない。
だがハリボーグはハリマロンと比べて体重が三倍以上で、テールナーの二倍ある。進化して防御性能も格段に上がっているため、止められない攻撃ではないのだ。
「ニードルアーム!」
ハリボーグは腕に鋭い棘を生やすと、力任せにテールナーを殴り飛ばした。効果いまひとつだが、完全に無防備だったテールナーの受けたダメージは小さくないだろう。
「まだよ、マッドショット!」
「ちぃ、躱して炎の渦!」
テールナーはなんとか受け身を取り、追撃のマッドショットを回避。さらに渦巻く炎を放って反撃するが、
「転がる!」
ハリボーグは体を丸めて地面を転がり、炎の渦を突き破って特攻してくる。
「スピードも上がってるのか、これは避けきれない……グロウパンチ!」
枝を尻尾に差し直したテールナーは、突っ込んでくるハリボーグに合わせて拳を突き出すが、重い上に攻撃力も上がっているハリボーグは止められず、弾かれてしまった。
「追撃よ、ミサイル針!」
「炎の渦だ!」
そのまま無数の針を射出するハリボーグだが、ミサイル針はテールナーの炎の渦に焼き払われ、反撃の火の手が迫る。
「来るよハリボーグ、ニードルアームで土を抉って!」
対するハリボーグは刺々しい腕を地面に突き込み、掘り返すように抉る。その際に巻き上がった砂塵と砂礫を盾にして、炎の渦をシャットアウトした。
「行ける……! ハリボーグ、マッドショット!」
「突っ切れ! テールナー、ニトロチャージだ!」
ハリボーグは泥の塊を連続で放つが、テールナーはそれらを躱さず、むしろ真正面から突っ込んでいく。炎を纏っているとはいえ効果抜群の攻撃に自ら飛び込み、ダメージを受けるが、気にせずハリボーグへと突貫していく。
「ハリボーグ、構えて。受け止めなさい!」
ハリボーグは両手を広げ、見るからにテールナーの攻撃を受け止める態勢に入る。
だが、同じ轍を踏むほどレストも単純ではない。
「その手は食わねえよ! テールナー、ターンだ!」
テールナーはハリボーグに突っ込む直前で右足を軸にして回転、ハリボーグの側面に回った。
「な……!」
「今だ、ニトロチャージ!」
そしてそのまま体当たりし、ハリボーグを攻撃。吹っ飛ばすまではいかないが、ハリボーグがぐらつく。
「もう一発かましてやる、グロウパンチ!」
続けて拳を突き出し、ハリボーグを殴る。流石に三回使用した後のグロウパンチの威力はそれなりに高く、ハリボーグはその一撃で完全に崩れてしまった。
「そこだ! サイケ光線!」
さらにテールナーは木の枝の先端をハリボーグに押し付け、光線を発射。体の軸がぶれているハリボーグは、その一撃で吹っ飛ばされる。
「あ、う……ハリボーグ、立て直して! ミサイル針!」
「遅いっての! 炎の渦!」
ハリボーグが起き上がるより早く、テールナーの炎の渦がハリボーグを飲み込む。
「テールナー、ニトロチャージ!」
そして炎を纏い突貫。ハリボーグは再び後方へと吹っ飛ばされた。
「っ、まだ、ハリボーグ——」
テールナーの怒涛の連続攻撃で満身創痍のハリボーグ、体力もほぼ限界だが、なんとか立ち上がろうとする——が、それはできなかった。
「無駄だ」
ハリボーグが顔を上げると、そこにはテールナーが立っており、枝の先端をハリボーグの顔面に突きつけている。
あと一撃もまともに攻撃を喰らえば、ハリボーグは戦闘不能となるだろう。従ってこの状況は、ハリボーグの、そしてラルカの実質的な敗北を意味していた。
「勝負あったな。俺の勝ちだ、ラルカ」
はい、ラルカ戦終了です。ついでにハリマロンはハリボーグへと進化しました。白黒はハリマロンとその最終進化形まではそこそこ好きなんですけど、ハリボーグはちょっと……なんかチャオブーみたいで好きになれないんですよね。なんか海外でも叩かれてるみたいですし。それはともかく、ラルカのハリマロンは進化してテールナー相手に善戦しましたが、最終的には力及ばずです。では次回、ラルカとの因縁をとりあえず終わらせましょう。そこでソンサクシティ編も終了となるはずです。それでは次回もお楽しみに。