二次創作小説(紙ほか)

27話 バタイシティ・バタイジム ( No.119 )
日時: 2013/12/14 10:47
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 砂漠を抜けたレストとリコリスは、バタイシティに到着した。だがその時にはもう日も暮れていたため、ポケモンセンターで一泊してからバタイジムに向かうことにした。
 そしてその夜。
「バタイジムのジムリーダーは、地面タイプの使い手だよ」
 リコリスはテールナーにブラシをかけながら、レストに助言する。
「地面タイプ? うわ、きついな……テールナーは相性悪いし、ラクライに至っては電撃波が通じないのか……」
「そだね。レスト君の手持ちで特に強いのはテールナーとラクライだから、その二匹が出しづらい相手となると、これまで以上に繊細な立ち回りが要求されることになると思うよ」
「今までずっとテールナーに頼ってきたが、今回はそうはいかないんだな……どうすっか」
 弱ったように呻くレスト。それに対し、テールナーも申し訳なさそうに鳴く。
 そんなテールナーに、リコリスは慰めるように穏やかな声と手つきで、テールナーを撫でる。
「大丈夫だよテールナー。地面タイプに炎技は等倍だし、地面タイプは防御力は高いけど特殊攻撃、特殊防御、素早さとかは低めだから」
「そうか。なら特殊攻撃も出来て、ニトロチャージで素早さを上げられるテールナーは、まだ戦える方か。じゃあとりあえずテールナーは連れて行くとして、他はどいつがいいか……」
 今まで捕まえたポケモンもリストするレストだったが、しかしいまいちこれといったポケモンはいない。弱点を突くだけではジムリーダーには勝てない、主戦力とするにはそれなりの力を備えたポケモンでなければならない。まだ二回しかジム戦経験のないレストでも、そのくらいは理解していた。
「はぁ……それにしても、バタイジムかぁ」
「何でお前が溜息吐いてんだよ。こっちは悩みすぎて呼吸困難になりそうだってのに」
「その状況もよく分からないけど……バタイジムはなぁ……」
 どこか遠くを見つめているリコリス。バタイジムに行くことに乗り気ではないように見えるが、そんなことレストには関係ない。リコリスがどう思おうが、レストは明日、ジムに挑戦するつもりなのだ。



 翌日。
 バタイシティは、山脈の一部を切り崩してできた街で、規模は小さい。また街には坂が多い、というより、街そのものが巨大な坂の上にある。
 そのせいなのか、バタイシティの道はあまり整備されておらず、自然のままとなっていた。岩肌が剥き出しになったような坂道には石どころか岩もゴロゴロ転がっており(たまにポケモンもいる。イシツブテやダンゴロというらしい)非常に歩きづらい。だからか、リコリスは黄色いTシャツに白いショートパンツ、黒のレギンスにスニーカーという、かなり動きやすい恰好をしていた。
 結局、昨日の夜のうちではレストの納得できるメンバーは出来上がらなかった。連れてきたのも、テールナーやラクライを筆頭としたメンバーで、ただ弱点が突けるから、という理由だけで連れてきたポケモンも多い。リコリスはジムリーダーのポケモンの構成などまでは言わないので(そもそも知らないのかもしれない)あまり変な構成だと危険だということもあるが。
 そんな不安を抱えてやってきたバタイジムは石造りで、どこか古代的な雰囲気を醸し出していた。
「……ねぇ、本当に行くの?」
「はぁ? 当たり前だろ、ここまで来て帰る手はねえ」
 昨日の夜からだが、リコリスの様子が少しおかしい。どうもバタイジムに行きたがらない様子だ。
 しかしそんなことを考慮するレストではない。レストは帰りたそうなリコリスを一蹴し、重い石の扉を押し開ける。すると、
「よろしくお願いします!」
「うっせぇ」
 怒られた。
「んなデカい声出さなくても聞こえるっての。つーか、ジムに入って来た時点で分かる。いちいち叫ぶんじゃねぇよ」
 土ではなく砂利を敷き詰めたフィールドを挟んだジムの奥、椅子に座って本を読んでいた男は、その本を閉じて立ち上がり、苛立ったように視線をレストに向ける。
 レストもあまり人のことは言えないが、それにしても目つきが悪い。焦げ茶色の髪の切れ目から覗いているせいでよりいっそう鋭さが際立っているが、服装自体はシンプルだ。ベージュのジーンズと白いTシャツ、その上にポケットが多く付いたオリーブカラーのジャケットを羽織っている。
 男はレストを一瞥した後、レストの背に隠れるようにして入ってきたリコリスに視線を向ける。
「……おい」
「ひっ」
 ドスの利いた男の声に、小さく悲鳴を上げるリコリス。明らかに男に対して怯えていた。
 男はそんなリコリスのことなど意に介さず、険しい口調のまま続ける。
「何でてめぇがここにいんだよ」
「い、いや、その……ちょっと、いろいろありまして……」
 恐怖のあまり男を直視できないのか、リコリスは視線を泳がせながらはっきりしない物言いで口ごもる。
 それが気に障ったのか、それとも素か、男は苛立ったような声で凄む。
「あぁ?」
「ひぅっ……と、とにかく今日のあたしはただの観客なので、おとなしく観戦してますっ。が、頑張ってね、レスト君」
 凄む男にまた身を震わせ、リコリスは逃げるようにして観客席へとダッシュした。そこでも身を縮ませているあたり、どうやらこの男が怖いからジムに来たがらなかったようだ。
「ちっ、ジムの規定だから設置してるが、ジム戦は見世物じゃねぇんだぞ」
 そんなリコリスを見て愚痴るように吐き捨てる男は、今度はまっすぐにレストを見遣る。
「で、てめぇが挑戦者だろ」
「は、はい……」
「俺はネロ。言うまでもないが、このバタイジムのジムリーダーだ」
「お、俺はレスト、です。今日は、よろしくお願いします……」
 思わずレストも姿勢を正してしまうほど、ネロは威圧的であった。レストはよくリコリスから田舎の不良呼ばわりされるが、それになぞらえて言うなら、ネロは裏社会などで生きていそうな、その手の人物といった感じの雰囲気がある。
(俺もいろいろ言われるが、この人も大概だな。俺から見てもヤク——いや、これは心の中でも失礼か。まがりなりにもジムリーダーなわけだし)
 などと思うレストをよそに、ネロはフィールドに立つ。
「おい、早くしろ」
「は、はいっ、すいません……」
 ネロに急かされ、レストも委縮したように返しながらフィールドに立った。
「ルールは三対三、入れ替えは挑戦者のみ可能だ。さっさと始めるぞ」

『バタイシティジム
   ジムリーダー ネロ
     グランド・バンデット・ガン・バレット』

 そんな険しいネロの声で、レストの三つ目のジムバッジを賭けたジム戦が、始まるのだった。



やっとこさ三番目のジムです。なんかここまで随分長かった気がしますが、錯覚ですね。バタイジムのジムリーダーは、レストすらビビる、不良どころではない厳つさのネロです。肩書がやたら長いですが、グランドは地面、バンデットが盗賊などの戦闘員、ガンは銃でバレットが弾丸という意味なので、地面タイプ使いの鉄砲玉、みたいな意味になりますかね。鉄砲玉は殺し屋的な意味がありますが、流石にそれはポケモンとしてどうかなと思うので、切り込み隊長といった風に捉えてください。……うぅむ、まだ文字数があまってますね。では、ネロの名前の由来もまとめて書いちゃいましょう。ネロの名前はナス科トウガラシ属のハバネロから取っています。誰もが知っている激辛の食べ物ですね、白黒は食べたことないですけど。では、流石に長くなってきたのであとがきもこの辺にしましょう。結局3000字ちょっとにしかなりませんでしたけど。では次回、バタイジム戦が始まります。お楽しみに。