二次創作小説(紙ほか)

36話 レスト対トイロ・優位 ( No.130 )
日時: 2013/12/31 23:00
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「チュリネ、マジカルリーフ!」
「ポリゴン、電撃波」
 チュリネは念力を帯びた葉っぱを飛ばし、ポリゴンも波状の電撃を放って相殺を試みる。
 しかし成長で強化されているマジカルリーフは、いくらタイプ一致になったとはいえ、ポリゴンの火力では相殺しきれない。残った葉っぱがポリゴンを切り裂く。
「もう一発! マジカルリーフ!」
「……高速移動」
 再びマジカルリーフを射出するチュリネ。それに対しポリゴンは、超高速で動き回るが、勿論マジカルリーフはポリゴンを追跡する。
「サイケ光線、だよ」
「当たるか! 躱して成長!」
 高速でチュリネに接近したポリゴンだが、直線軌道のサイケ光線はチュリネには当たらず、むしろ成長させる隙を与えてしまった。
「自然の力!」
 チュリネは自然の力を借り、煌めく宝石を無数に浮かべ、それらをポリゴンへと放つ。
「ポリゴン……電撃波」
 少し悩んで、ポリゴンは波状の電撃で目の前の宝石を相殺しようとするが、成長で火力が上がってしまったため突き破られてしまう。さらにその直後、ポリゴンを追跡していた葉っぱがポリゴンに襲い掛かる。
「テクスチャーで火力を上げて来るなんて驚いたが、所詮はタイプ一致になっただけだ。能力が変化したわけじゃない」
 レストの言う通り、ポリゴンの火力が上がったのは、あくまでも疑似的にだ。タイプ一致で威力が高くなっただけで、決して火力が増強されたわけではない。そのため、チュリネに特攻を上げられて対抗されると、それ以上技の威力が上がらないポリゴンは不利になってしまうのだ。
「チュリネ、マジカルリーフ!」
「ポリゴン、高速移動」
 チュリネのマジカルリーフを、ポリゴンは高速移動で回避。そしてそのままチュリネへと接近。
「サイケ光線」
「させるか! 居合切り!」
 ポリゴンが念力を凝縮した光線を発射しようとするその瞬間に、チュリネはポリゴンへと突っ込み、頭部の葉っぱで切り裂いた。
「あ……」
 まさか突っ込んで来るとは思わなかったのだろう。ポリゴンはチュリネの動きに対応できず、切り裂かれて戦闘不能となった。
「……戻って、ポリゴン」
 表情なくポリゴンをボールに戻すトイロ。先勝できたレストは胸中でガッツポーズを取るが、表情で彼の心情はばればれだ。
「……じゃあ、次はこのポケモン、だよ。オンバット」
 少し思案してからトイロが繰り出すのは、スピーカーのように大きな耳を持つ、蝙蝠に似たポケモンだ。
 音波ポケモン、オンバット。
(オンバット……飛行とドラゴンタイプか。タイプ的に草タイプのチュリネは不利。だが自然の力はパワージェムだし、成長で火力も上がってるからこのままでもいいが……)
 レストはボールを二つ取り出した、
「戻れ、チュリネ」
 そしてチュリネをボールに戻し、もう片方のボールを構える。
「バタイジムではお前の出番はなかったしな。折角だ、ここで特訓の成果を披露するぞ! ラクライ!」
 チュリネと交代させるのはラクライだ。オンバットはドラゴンと複合しているので電気技は等倍になってしまうが、しかしネロ対策に覚えさせた技が非常に有効だ。
「行くぞ、まずは電光石火!」
 ラクライは地面を蹴り、超高速でオンバットへと突っ込む。
「オンバット、龍の息吹」
 突っ込んで来るラクライに、オンバットは龍の力が込められた息吹を吹き付ける。しかしラクライの動きはそんな単調ではない。軽く跳躍して躱され、そのまま頭突きを受ける。
「電撃波だ!」
 さらにラクライは波状の電撃を放ち、オンバットを追撃。等倍だが、直撃なのでダメージはそれなりに大きいだろう。
「オンバット、エアカッター」
「当たらねえよ! 電光石火!」
 オンバットが放つ空気の刃を電光石火で躱し、ラクライは側面からオンバットに突撃し、吹っ飛ばす。
「追撃だ! 弾ける炎!」
 ラクライは口腔より、やっとものになった弾ける炎を撃ち出してオンバットに追撃をかける。効果はいまひとつだが、それでも追撃としては十分だ。
「龍の息吹」
「躱して弾ける炎!」
 空中で体勢を立て直し、龍の息吹を吹き付けるオンバットだが、技の出が遅い。ラクライは横に逸れて息吹を躱すと、すぐさま火炎弾を放ってオンバットを狙い撃つ。
 もっとすばしっこいかと思っていたが、このオンバット、ドラゴンタイプの割に能力が低い。これならばラクライの敵ではない。
「このまま突っ切らせてもらうぜ! 電光石火!」
「なら、これはどう、かな? オンバット、超音波」
 真正面から突っ込むラクライに、オンバットは人間の聴覚では聞き取ることの難しい超音波を発する。
「っ、ラクライ、横に逸れろ!」
 咄嗟に危険を感じたレストの指示で、ラクライは横へと逸れる。耳の内側でキーンと鳴っていた音は消え、ラクライに異常もない。
 だが、
「オンバット、鋼の翼」
 直後、ラクライに接近していたオンバットが鋼のように硬化した翼を叩き込む。
「しまった……ラクライ!」
 効果いまひとつだが、完全に虚を突かれた。派手に吹っ飛ばされ、楽リアは地面を転がる。
「続けて。龍の息吹、だよ」
 そこにオンバットは、龍の息吹を吹き付ける。そのまま地面を転がって躱そうとするラクライだが、簡単に先を読まれ、龍の息吹を喰らってしまう。
「電気タイプだから、麻痺状態にならないのが、ちょっと残念、かな……? オンバット、エアカッター」
 今度は空気の刃を飛ばし、ラクライを切り裂く。
「龍の息吹」
「いつまでも攻撃してられると思うなよ! ラクライ、跳べ!」
 連続で繰り出されるオンバットの攻撃から抜け出すべく、ラクライは大きく真上に跳躍した。
「電撃波だ!」
 そして波状の電撃を放つ。
「……龍の息吹」
 オンバットは襲い掛かる電撃に息吹をぶつけ、相殺を試みる。
 しかしどちらもタイプ一致だとしても、ラクライの方が特攻は高い。電撃が息吹を打ち破り、そのままオンバットに襲い掛かる。
「そこだ! 弾ける炎!」
 さらにラクライは、火の粉を散らす炎を発射し、オンバットを攻撃。のけ反るオンバットに、さらなる追撃をかけようとするが、
「オンバット、超音波」
 オンバットも黙っていない。オンバットはスピーカーのような耳から超高音の音波を放つ。
「やばっ……避けろ!」
 超音波は、喰らえば混乱状態にされてしまう技。混乱状態になると指示が通らなくなり、動きも滅茶苦茶、自分自身を傷つけてしまうことすらあるため、絶対に避けたい。
 しかしそこに、オンバットの追撃が繰り出される。
「鋼の翼」
 オンバットは小さな翼を鋼の如く硬化させ、ラクライへと突っ込む。回避行動を取った直後のラクライでは、またすぐに回避行動に移ることはできない。かといって、電撃波では溜めの時間がかかり、電光石火も追いつかない。地に足をつけて止まったまま、迎え撃てるような技でなければオンバットを止められないだろう。絶妙すぎるタイミングだ。
 だが、ラクライはその絶妙なタイミングに割り込むことが、できないわけではなかった。

「今だラクライ! 氷の牙!」

 突っ込んで来るオンバットに、ラクライは氷結した牙を突き立てる。オンバットは甲高い悲鳴を上げると、その一撃でぐったりとしてしまった。
「え、あ……オンバット……」
 驚いているのか、上手く言葉が紡げないでいるトイロ。
 この氷の牙はネロにリベンジするために一週間特訓した結果として、ラクライが習得した技だ。ネロ戦では吠えるでラクライに強制交代させられたら、ネロが罵るのを見越して氷の牙で反撃し、鼻を明かす予定だったが、残念ながらそれは達成できなかった。
 しかしその氷の牙は、オンバットにも通用する。飛行とドラゴンを併せ持つオンバットに、氷技は四倍のダメージを与える。割と粘っていたオンバットだが、最後に痛烈な一撃を喰らってしまい、あえなく戦闘不能となってしまった。
「……戻って、オンバット」
 これでトイロのポケモンは残り一体。対するレストはまだ三体、しかもうち一体はノーダメージだ。
 この非常に優位な状態に、レストもほぼ勝利を確信していた。
 しかしレストはまだ知らなかったのだ、トイロの本当の力を。
「……これで、最後」
 ぽつりと呟きながら、トイロは次のボールを構える。
 そして、

「出て来て——ゲコガシラ」



お久しぶりです、もうあと一時間ちょっとで新年を迎えますね。久々の更新になりましたが、トイロとのバトルは現在レストが非常に有利です。しかし相手はトイロ、一筋縄ではいかないでしょう。次回はトイロ戦、恐らく決着です。みなさん、よいお年を、そして次回もお楽しみに。