二次創作小説(紙ほか)
- 5話 リョフの林道・ラクライ ( No.24 )
- 日時: 2013/11/30 12:44
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
リョフシティとカンウシティを繋ぐ、木々の立ち並んだ一本道は、リョフの林道と言われている。
脇に逸れなければ直線なので迷うことはなく、道も整備されている。野生のポケモンの種類も豊富で、危険なポケモンや獰猛なポケモンもいないため、駆け出しのポケモントレーナーがよく訪れる場所の一つだ。
そんな林道の途中に、レストとリコリスはいた。しかし片方、リコリスはげんなりとしている。
「えーっと、ここまでで捕まえたのは、コフキムシ、ポッポ、ヤヤコマ、ビードル、コクーン、シシコ、コフーライ、ノコッチ、ホルビーか……結構捕まえたな」
「捕まえすぎだよ……いつまでここにいるつもりなの……」
「別にいいだろ、ポケモンを捕まえるくらい。トレーナーとして当然だ」
レストにとってはポケモンと出会うことすらも新鮮。それで舞い上がってか、出て来るポケモンを次々と捕獲していっているのだ。
「でも、もう三時間はここにいるよ。本当ならこんな一本道、一時間もあれば抜けられるのに……」
「まあ、もうボールも一つしか残ってねえし、これを使い切ったら進むか。さて、なんかいいポケモンはいないか……?」
残ったボールを手に、キョロキョロと辺りを見回すレスト。その挙動に嘆息しながらも、リコリスはその後を追う。
「いねえなぁ」
「あれだけ捕まえればそうもなるよ。もう諦めて先に進もうよ、その途中にいいポケモンいるかもよ」
「いや、まだこの辺にいそうな気が……お?」
レストが視線を巡らせていると、前方の草むらが揺れる。そして、そこから一匹のポケモンが飛び出した。
緑色の犬のようなポケモンで、尻尾や耳、鼻先が黄色くなっている。
「何だ、あのポケモン?」
「ラクライだよ。電気タイプのポケモンだね」
稲妻ポケモン、ラクライ。
まだ見たことのないポケモン。さらに鋭い眼差しや牙、尖った尻尾といった意匠が、レストの琴線に触れた。
「なかなかいかしたポケモンじゃねえか。よし、最後のターゲットはあいつに決定だ。行くぞフォッコ!」
「あ、ちょっと待って!」
素早くフォッコを出してラクライに駆け出すレストにリコリスは叫ぶ。
「もう、忙しないなぁ……これ!」
叫んでもレストは止まりそうになかったので、代わりにポケットから何か取り出し、それを投げつける。レストも自分に向かって飛んで来るものの気配には気づいたのか、振り返ってキャッチした。
「? 何だ、これ?」
手触りからして、木の実のようだった。青く球形で、実は硬い。
「オレンの実。ポケモンを回復させる木の実だよ。フォッコだって連戦で疲れてるんだから、ちゃんと体力を回復させてあげないと」
「そうか……ありがとな、リコリス。よし、今度こそ行くぞ、フォッコ!」
フォッコにオレンの実を食べさせ、今度こそラクライに接近する。
「先手必勝! 火の粉だ!」
フォッコは不意打ち気味にラクライに火の粉を浴びせる。無防備なところを狙ったので、ダメージは結構ある。
だが同時にラクライもこちらの存在に気づき、牙を剥く。
「来るぞ。躱してひっかく!」
ラクライの特攻を躱し、フォッコは爪を振るう。
「もう一度ひっかくだ!」
続けて爪を振るうが、今度はラクライに躱されてしまう。
「追撃だ、火の粉!」
バックステップで躱されたので距離は開いたが、まだ向かい合った状態だ。すぐさま火の粉を放ち追撃をかけるが、ラクライも対抗する。
バチバチと電気を帯びたかと思うと、ラクライは波状の電撃を放ち、火の粉を突き破った。
「! フォッコ避けろ!」
直進する電撃をフォッコは横に跳んで躱そうとするが、電撃はフォッコを追いかけるように曲がった。
「なっ……フォッコ!」
電撃の直撃を喰らい、フォッコは吹っ飛ぶ。火の粉で威力は減衰されていたが、なかなかの威力だ。
「な、何なんだ今の技は。フォッコを追いかけた……?」
「今のは電撃波だよ。必中技っていって、相手に命中するまで追いかけてくる技なんだ」
「てことは、回避不可能ってことかよ。厄介だな……でも」
思わず、レストは口元に笑みを零す。
「そんな凄い奴なら、ますますゲットしたくなってくるじゃねえか。フォッコ、ひっかく!」
フォッコは起き上がり、爪を振りかざしてラクライへと飛び掛かる。対するラクライは牙を剥き、その爪を受け止めた。
「だったらもう片方の爪でひっかくだ!」
フォッコは空いている左手の爪を横薙ぎに振り、ラクライを引っ掻いた。
「火の粉!」
さらにすぐさま火の粉を吹きつけて追撃。ラクライの体力もかなり減ってきただろう。
だがその時、ラクライは波状の電撃を放つ。
「電撃波か! あれは躱せないから、フォッコ、連続で火の粉だ!」
フォッコは何度も火の粉を吹き付けて電撃波を打ち消そうとするが、電撃波は止まらず、フォッコを吹っ飛ばす。
「フォッコ!」
さらにラクライは、凄まじいスピードでフォッコに突撃。お返しと言わんばかりに追撃をかける。
「速い……! とりあえず、ラクライの動きを止めるか」
そのためには、ひとまずラクライをフォッコから引き剥がさなければならない。
「フォッコ、ひっかく!」
フォッコは素早く起き上がって爪を振るうが、ラクライに躱され、牙を突き立てられる。
「っ、引き剥がせ! ひっかく!」
フォッコは爪でラクライをひっかこうとするが、右手ごと噛みつかれてしまっているので、自由の利く左手ではリーチが足らず、ラクライを引き剥がせない。
「だったら……フォッコ、思い切り火の粉を吹き付けてやれ!」
フォッコは大きく息を吸い込む。そしてすぐ近くのラクライ目がけて、思い切り体内の熱気を火種にして吹き出した。
「よし、いいぞフォッコ!」
ラクライは至近距離からの火の粉を喰らい、吹っ飛ばされる。体勢も崩れてしまい、度重なるダメージもありすぐには起き上がれない。
「そこだ! 炎の渦!」
そうしてもたついているラクライに、フォッコは線状の炎を放つ。炎はぐるぐると渦巻きながらラクライの周囲を旋回し、やがてラクライを渦の中に閉じ込めてしまう。
「ラクライの動きが止まった……今だよ!」
「分かってる! フォッコ、ニトロチャージ!」
フォッコはラクライへと駆ける。走りながら、全身に炎を纏い、その炎を推進力に加速。そしてその勢いのまま、炎の渦に閉じ込められたラクライを突き飛ばした。
ラクライは地面を転がり、倒れる。まだ戦闘不能ではないようだが、体を震わせており、起き上がれないでいる。
「よし、今だ! モンスターボール!」
レストは最後の一つのモンスターボールをラクライへと投げつける。ラクライはボールの中に吸い込まれていき、捕獲のカウントダウンが始まった。
「どうだ……?」
カチッ、カチッとボールが揺れ動き、ポケモンが最後の抵抗を見せる。しかし、
カチンッ
一際大きな音が鳴ると、それっきりボールは動かなくなる。つまり、捕獲に成功したのだ。
「よし。ラクライ、ゲットだ」
ラクライの入ったボールを拾いながら、レストは小さくガッツポーズを取る。そこにリコリスも、安心したように駆け寄ってくる。
「まったく、ちょっと冷や冷やしたよ。フォッコの体力を回復させてなかったら、二回目の電撃波でやられてたよ?」
「悪いな。でも、お陰でラクライもゲットできた。さーて、それじゃあ行くか、カンウシティに」
「まったく、やれやれだよ。やっと先に進める……あたしもうくだびれちゃった」
かくしてラクライをゲットしたレスト。彼は一つ目のジムがあるカンウシティへの道を、リコリスと共に再び歩き出した。
なんか前回カンウシティに到着とか言った気がしますが、レストの手持ちがまだ一体しかいないことに気づき、急遽今回を挟みました。恒例の新ポケをゲットする回です。ただレストが今までの主人公と最も違う点が、気に入ったとかそんな基準でポケモンを選ばず、とにかくポケモンを捕まえまくっているところです。なので手持ちは常にオール六体と言っても過言ではありません。まあそれでも、主力は絞りますけどね。ちなみに今回レストが捕まえたラクライですが、こいつの進化形のそのまたメガシンカが白黒は大好きです。この前もフリー対戦で大活躍でした。なので選んだ理由は、言ってしまえば白黒の好みですね。さてでは次回、やっとカンウシティに到着します。お楽しみに。