二次創作小説(紙ほか)
- Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.19 )
- 日時: 2013/12/20 07:06
- 名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)
雨夢>>19
ふぇえ……うえぅ…
微かな子供の泣き声は俺の眠りを
覚ます小さな原因となる。
「………ん、ここ…は…」
辺りを見渡す限り、何処かの豪邸の一室の様だった。
大きな窓1つとバルコニーだけの部屋
どうしてこんな所に居るのだろうと
微かに痛む頭をフル活動してみるが、全く見当もつかない。
どうやら この部屋は子供部屋らしく
辺りには 縫いぐるみ、絵本や積み木などが無尽蔵に放置されていた。
「そーとーの金持ちだな。」
おままごとで使うらしいコップの
裏を見て、驚き…いや呆れてしまう
(前ジュビアが、高かったとか言ってたメーカーじゃねぇか…)
前に同ギルドの仲間…ジュビアが嬉々と俺に見せていたブレスレット
を思い出す。
確かブレスレット1つで1万少ししたとかも言っていた。
しかも このメーカーはアクセサリー専門店の筈…と言う事はオーダーメイドか。
(金持ちは金の使い道を見直すべきだと思うぜ)
コップを元に戻し、グルリと見直すと、ふと目に止まる物があった。
(…青い、イヤリング?)
青い宝石の輝きを邪魔しない程度の品の良い装飾が施されているイヤリングは、俺から見て数十万…数百万はすると思う。
どちらにせよ子供の玩具としては
群を抜いて不向きだと思う。
(…ま、いっか。)
イヤリングを机に戻し、ふぅと溜息をつく。
(マジでココは何処なんだ?)
不安になるが、その不安原因の1番が自分が知らない場所に放置されていた。と言うよりも、エルザと会ってからの記憶が無い。と言うのが情けない。
んー。と考えていると、いつの間に止まっていた微かな泣き声がまた聞こえ出した。
音を探ると、縫いぐるみの山の奥かららしい。
無駄にデカい縫いぐるみを幾つか退かすと、扉が合った。
少しだけ開いて中を疑う。
(…なっ!?)
中には、12歳位のドレスを着た金髪の少女…ルーシィが肩を震わせ泣いていた。
腕の中に身覚えの有る人形を抱いて
(…いやいやいや!似てるってだけで
本人じゃねぇっ!)
しかし少女の髪の色も声も。そして横顔を良く似ていた。似過ぎていた。
声を掛けようか。そう思いドアノブに力を入れた時、コンコンとノックする音が聞こえる。
「……………どうぞ」
少女が目元を素早く拭い、何回か深呼吸して…幼きながらも凛とした顔付きを作り、部屋内へ人を促す。
「失礼します。お嬢様、旦那様が書斎にてお待ちです」
どうやら訪問者はメイドの様だ。
姿は見えないが、バルゴ風だと勝手に思う。
ルーシィJr.(勝手に命名)は、はい。と小さく答え、メイドと一緒に部屋を出る。
「……………ん、で。結局解決してねぇじゃねぇか…」
何故自分は 屋敷の御嬢様の子供部屋に隔離(?)されて居るのだろうか?
そもそもエルザはどうしたのだろうか?
あのルーシィ似の少女は?
(わっかんねぇ〜)
謎が更に謎を呼び、頭がパンクする
取り敢えず外に出るか。
バルコニーに出る為、窓を開く。
途端に気持ち良い微風が部屋に入る
「ねぇっみぃー」
風が頬に当た眠りを誘う。
ふぁあっと一発大きい欠伸をして、
こりゃどっかで昼寝してぇな。と場違いな考えを持ちながらも、バルコニーに出る。
…正しくは出ようとした。
出ようとした瞬間、両頬に鋭い鈍痛が襲ったので、その場を離れる。
しかし離れても痛みは引かない。
更に悪化している。
頬だけではなく体全身に痛みが走る
「………っが、っぅあ!…っ!!」
呻き声を殺そうとしても殺しきれない。激しい鈍痛が数十秒続いた後、
トドメとも言わんばかりの最上級の痛みが腹にヒットする。
「っぁ!」
ついに体を支える術がなく、崩れ落ちる。
(あれは…?)
ベット下の手紙の様な物を見た途端に俺の意識は刈り取られた。
((手紙の封は花を象った、シールの様な物だった))