二次創作小説(紙ほか)

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.2 )
日時: 2013/11/28 19:42
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)


第一章・守護者

>>3

ルーシィside

静かなギルド。
…………数時間前までは騒がしかったけど。

床を見れば知り合いが酒に溺れているまま寝ている。きっとカナ以外は二日酔い直行ルートだろう。
そう思いながら、隅の席に座る私はオレンジジュースを一口飲み、窓から空を見上げた。

残念ながら雲が厚く星は見えないが、月は淡い光を放っていた。

(……………………好き、たまらなく)

誰に向かって思った訳でも無く、なんとなくそう思う。
いや、それは正確な表現では無い。
時々月を見ていると 無性に思うのだから、…月に対してだろうか?

カランと氷をコップ内で転がす。

(酒飲んでないけど、酒気にでも当てられたのかな…)

残り少ないジュースを一気飲みし、席を立つ。
(帰ろ…)

ここで寝てしまっても良いのだが柔らかいベッドに入りたい。

7年ぶりのベットに、ね。

ギィッと音を立てる床を踏みながら
皆を起こさない様に歩く。
途中グレイが相変わらずの半裸で寝ていたので隣に有った彼の服を上に被せる。…風邪は引かないと思うけど。バカだし氷男だから。

私はギルドを後に…月を後ろにして歩く。

街の街灯が闇の中で私を案内してくれる。7年の間に取り付けられているらしく、かなり明るい。お陰で転ばなくて済む。

「きゃっ」

そう油断したのが私の悪いクセだ。
案の定、足を躓かせフラリと体が斜め前へと傾く。

不運な事に咄嗟過ぎて手が前に出ない。(やっぱり酒気に…)

ぶつかるスレスレ、目を閉じる。…が、いくら待っても覚悟した衝撃は来ず、反対に温かい温もりが体を包む。
その温もりが心地が良くて、無意識の内に意識を手離す時フッと微笑む音と

「そろそろ目を開けては如何?」

知らない声が耳に入る。
驚きで無理矢理 目を開ける。

目に飛び込んで来たのは夜中だと言うのにまるで 其処だけ朝が来た様な青い目と対照的な夜にお似合いの月光に良く似る金髪をした青年だった

羞恥でカァアと体に熱を帯びる。

「あ、あああ、あのっ…」

頭も舌も上手く回らない。
しかも、そのミスに体が更に熱を出す。
青年が どんな解釈をしたのかは分からないが、微笑むと「立てる?」と聞いてきてくれた。

「はい、え、と… すみません」

カッコ悪い所をコレ以上、見せたくなくて直ぐに立つ。
幸運な事に何処も挫いていない。

「ありがとうございましたっ」

それだけ言い頭を少し下げ、その後は家まで全力ダッシュする。
先程の事が有ったからだろうか、酒気も消え何処か爽快感が有る。
熱も少しずつ消えてきた。

しかし心の中には何とも言えないモヤモヤが覆い被さっていた。

(ああ〜名前位聞けば良かったぁあ)

後悔後に立たず、とは この事だ。
しかし もう会うことは無いでしょう。と迷いを切り 更に速度を上げた

早く寝てしまう為に。