二次創作小説(紙ほか)

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.3 )
日時: 2013/11/29 19:13
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)

昨晩の正体>>4

ルーシィside

朝ギルドに行く前、昨晩青年と出会った場所に足を運ばせた。
が、勿論其処には あの青年は居ない

(折角御礼言おうと思ったのに…)

肩を落とし、渋々とギルドに行く。
今月も例の如く家賃がヤバい。
またお願いして仕事を手伝って貰おう。そう考えながらギルド前に着くと何時も以上の騒ぎ

(一体何なの?)

中に入ると、異様な光景が有った
グレイとナツ…良く知る2人だが、その2人が私と目が合った瞬間に頭を下げたのだ。

「す、すまねぇ!!ルーシィ!」
「俺も 謝る、すまない!!」

「えぇと…?」
2人に謝られる事をされただろうか?
訳が分からないと眉を寄せていると奥からクスクス笑いながらミラさんが登場した。

「ルーシィちゃん昨日オレンジジュース飲んでいたでしょ?」

何のことやら分からないまま頷く。

「実はアレ、薬入りだったの」

「へぇー、って、えぇっぇえ!!」
語尾にハートマークが付きそうな程のほんのりさに騙される所だったが薬とは危なくない!?
流れを読むと2人が私に呑まそうとしたのは分かる。
あのグレイとナツの事だから変身薬とかだろう。

「何の薬ですか? もう病院空いてますよね!??」

今にも駆け出しそうな私の手首をミラさんは呆気なく捕まえる。

「薬の正体は惚れ薬よ。効果は半日弱。…もう切れてるわ」

「はぁ?」
一瞬聞き間違いだと思ったが、周りを見てー2人は顔を逸らしギルド内は大爆笑からして本当だろう。

「何でまた私に、そんなのを…?」

2人に問い掛けても謝罪が返ってくるのみ。
なのでミラさんに聞くと、次は2人らしい回答が返ってくる。

「ロシアンルーレットですって。
ギルド内全員で」

「私そんなの参加していません!」

キッパリ言うと、グイッと肩を引かれガツッと頭が何かに当たる。

「まぁまぁ良いでは無いか」

鎧を着た緋色の美女ーエルザは「うむうむ」と頷く。

(いやいや、自分には 良くないんですけれど…?)
エルザの鎧に打ち付けられ頭が微かにジンジンと痛む。

「………分かりました、けど…何でグレイとナツが?」

「言い出しっぺだから?」
首を傾げ疑問風に言うミラさん。
それは遠巻きに「で、どうだった?」と聞いている。

見れば周囲も後ろめたさよりも、好奇心の方が大きい様で、中にはナツ達にグットをしているバカ者までいる。
まだ鎧に私を付けているエルザも同様に何処か楽しんでる様だ。

「あ、あるわけないじゃん!
不良品だよ、きっと!」

あははっと誤魔化す。
昨晩の事を思い出したから。
そこで皆残念そうな顔をし口々に何かを言い合っている。

そして酒を又 飲み始めーーーたら本当に良かったのに。

ミラさんが指を立て、軽く私の鼻に触れる。
「嘘よね?アレ強力な奴だし、しかも一気に呑んだから」

(ああ、本当にミラさんには叶わないな…)

グレイとナツは、いつも通りに喧嘩を始めていた。それを横目で見、今日何回目かの溜息をつく。

「…昨日、帰ろうとした時…その人に助けられて………」

「まぁっ!」「ほほう?」
完全に面白がっているミラさん&エルザ。
もうヤケだと 全部隅々まで私は2人に話すと、逃げる口実ついでに首謀者のナツ&グレイを説教した。

流石にジュビアも空気を読んだらしく、グレイの横で「恋敵恋敵」と連発しているだけで止めはしなかった。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.4 )
日時: 2013/12/12 16:35
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

いつも通り>>5


エルザside

バーに座りフゥと溜息をつく

(惚れ薬、か…)

ロシアンルーレットゲーム。とミラは言っていたが、それは年頃の娘の心を遊び道具にしたのと同様では無いのか?
…ルーシィ自身、深く気にしていなかった様だったので、私も、からかったが。

「………………、………。。」

何かが聞こえる。

(そんなに深く考え毎をしてたか…)

頭を揺らし、切り替える。
そして隣を見て和む。

「好き…恋…恋愛…」
乙女らしい単語を並べ首を傾げる隣に座る金髪の少女を
見てると、心が温かくなってゆく。

(まるで妹を持ったようだな)

無知過ぎる故、色々と危なかっしいが、その分は私達がカバーすれば良い。末っ子は少々おてんばの方が可愛い

(さて、その無知妹を からかうとするかな)

「ルーシィ、平気か?」

声を掛けても聞こえないらしく、まだ何やら呟いている。

「何を そんなに悩んでいるんだ?」

そっと頭を撫でると、心地が良い肌触りだ。シャンプーでも変えただろうか?
本人は やっと気が付いたらしく、物凄く深刻な顔付きで私を見る。

珍しい顔付きを見、勝手に此方も表情が険しくなる。

「エルザ」

まるで陶器を扱うかの様に言葉を選んでいる事が分かる位の真剣な声色に圧倒され思わず撫でる手を止める



「…………………私、恋した事無かったみたい」


「…………は?」
(それで悩んでいたのか…)
至極今の真剣さを他の所に活用して欲しいと願うのは私だけか?

下らないと思う反面、まぁそこがルーシィの良い所の1つだ。と思う。

「で、何で そんな事を思った?」

ルーシィは 眉を寄せ、ほんのり頬を赤くした。

「今まで昨日の様な感情なった事無かったから…かな?」

「だから先程から好きとか恋愛とか言ってたのか…」

「っ! 先程って!」
タコの様に赤くしたルーシィの反応が面白く、更に追撃してみる。

「ああ、かなり大声でな。何なら先程まで側に居た…そうだな、ウエンディにでも…「嘘よねっ!?」

嘘だと言ってよっ!そんな心の声がキッチリ顔に出ているルーシィの頬を指で優しく押す。

「嘘だ、しかし言っていたのは本当だ。」

頼んでいたシェリーを一口飲む。
ルーシィが心配そうに此方を見るが問題無い。
今日は仕事が無いしな。

「別に良いじゃないか。過去を見ず未来だけを見れば」

ルーシィは「そうよね」と笑う。
2人で笑い合ってるとミラが、「ルーシィが1つ大きくなったサービス」と評して、やや透明感が有る赤めの飲み物を差し出す。

「…ん?」

クンと匂いを少しだけ嗅いだだけでも分かる酒の独特の匂い…
まさかっ!

「ルーシィ、呑むなっ!」

しかし時遅く、ルーシィのグラスは空。よほど喉が渇いていたのだろうか。

そして本人は…

「うへへー、あんれぇ?エルザがぁ、2人?…いっぱぁああーーーい」

頬を先程よりも赤く染め、無邪気に足を揺らし、更にボトルからグラスに酒を次ぐ。

思いっきり酒臭い。

「ミーラーーー!??」

いつの間に目の前に来ていたミラは顔に手を当て「まだ無理だったのねー」と残念がっていた。

「ルーシィは酒に弱いんだっ!
そんなのにアルコール度が高い奴、飲ませたら「きゃああぁあっ!!」

会話を遮る悲鳴に驚き後ろを見ると、ルーシィが後ろからグレイに抱き付いていた。悲鳴はジュビアの物だろう。

グレイとナツは仲良くしていた様で、話の途中に抱きつかれて驚き顔中が真っ赤。
ナツは大笑いで、ジュビアは「離れて」と無理矢理剥がそうとしている。

(しかし何故 抱きついた…?)

その回答は直ぐに本人から返ってきた。

「冷たぁーいっ、気持ちいー」
目を閉じながら無邪気に爆弾発言をし更に力を強めるルーシィ。

「うわっ、る、ルーシィ!??
変な物でも食ったかっ!?」

グレイは氷の魔道士、体温も低温な為、確かに熱くなった体には丁度良いかも知れないが…

(しかしマズイな…)

これを見て、何故ルーシィがグレイに抱きつく状況が出来たかを正確に知っている者はルーシィが酒を呑んだ事を知っている私とミラ位だ。

この分だとジュビアが…
「きぃいいぃいいっ!!グレイ様も何で顔が赤いんですかぁっ!!」

恋敵ーっ!とジュビアがルーシィの肩を揺さぶる。+大雨付き

過激な振動それとも雨による音か…何が原因かは分からないがルーシィが微かな呻き声を上げ、目を開ける。

それと同時に悲鳴とパァーンと乾いた打撃音が聞こえる。
「いぃやぁああっ!」

グレイから直ぐに離れ、わなわなと肩を動かすルーシィに、ぶたれた頬を摩りながらもグレイは文句を言う

「…お前から抱き付いてきたんじゃねーか…」

「えっ! 本当!?ごめんっ!!」

「ったく」

グレイが強く言ったり反撃に出ないのは、一見戻った風に見えるが微かにフラつき顔も まだ熱っぽいからだろう。口調もまだフニャとしてる。

「んっ…」
足元まできた水を幼児の様にピチャピチャ手で弾くと、また夢の中に入ってゆく。

「それにしても珍しくないか、ルーシィが俺に抱きつくなんて…」
ルーシィのおでこに手を当て熱を測る。「熱は少し高めだが…」と困惑気味な顔を作る。

「おおっ!そういえばな」
腕を組みながらルーシィの顔を覗き込む。

「めずらしい…? と、言う事は…」
更に雨が強くなる。流石に これではマスターに申し訳ない。席を立ち、グレイからルーシィを取り、担ぐ。

「ルーシィは先程酒を呑んでしまってな、もう今日は無理だろう。家に送る。グレイ、ルーシィの家の鍵を作ってくれ」

一同が顔を見合わせ、笑い出す。
そして、いつも通りに戻る。

グレイは今鍵を作ると溶ける。と言い、ルーシィを私から預かると「俺が送ってくる」とルーシィを おんぶしてギルドを出た。
勿論ジュビアも同伴だ。

(そういえば…)

ナツが静か過ぎると思い、周囲を見渡すとリサーナと何かを話していた。

(………つかれたな…
もう今日は休む事にしよう)

そこそこ高価格な仕事を見繕い、明日に備えギルドを出る。
途中の店で林檎を1袋分買い占め、齧りながら家路を辿る。

そして女子寮が やっと見えてきた時、門の前に見知らぬ人物が立っていることに気付く。

(あいつはっ…!ルーシィが言っていた!)

この目で本人を見たわけではないが
証言と良く似ていた。似過ぎだ。

(昨日、ルーシィを助けたのは偶然では無かったのか?
実はルーシィの周囲を探っているのか?
ならば その理由は?)

頭で大量の疑問が湧き上がる。が、それを振り払う。

(前の事件で少々ルーシィ関係には鋭くなり過ぎてるな)

バカバカしくてフッと笑う。

そして青年が此方の気配に気が付き、顔を上げたと同時に声を掛ける


「誰かに用か?」

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.5 )
日時: 2013/12/01 21:08
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

「誰に用か?」>>6

ーーーフェアリーテイル女子寮前ー

ここは街人が待ち合わせする様な場所ではない。…少なくとも私は見た事は無い。

やや金髪混じりの茶髪に青の目をした私よりも、やや高めの背の青年は少し困った顔をする。

「フェアリーテイルの魔道士さんですか?自分リア・サクリファイス・ドールと申します。ルーシィ・ハートフィリアさんを御存知ですか?」

ハートフィリアと聞き、思わず身構えてしまう。

「ルーシィに何の用だ?あの子に手を出したら唯じゃ「御存知なんですねっ!?」

人の話を聞かずに、わーっと騒ぐリア。どれだけルーシィを探していたのだろうと疑問に思う。

(話してるとリズムが狂うな…
まぁ、いい)

「ルーシィとお前は友達か何かか?」

リアは首を横に振る。
「あの方は自分の主です」

「ではリアは星霊なのか?」

「それとは違いますね、自分は人間ですよ。例えるなら狛犬こまいぬ?」

「こまっ!?」

(他の例え方は無いのかっ!!?)

心の中で全力でツッコミを入れる。
リアには若干引きつった顔を見せている筈なのだが平然と返事しただけだった。

「昔、主であるルーシィ姫と契約したのですが今迄、当時の御命令の為 お側に居られませんでしたっ…」

顔を見ずとも雰囲気だけで痛々しい
此方も顔を歪めてしまう。

「そうか…でもルーシィは女子寮で生活しておらんぞ」

その途端、噛み付くかの様に肩を掴まれる。

「場所は何処です!?御存知なら包み隠さずっ!」

敬語は崩して居ないが、なんというか印象が変わる。

(余裕が有る奴だと思えば…やれやれ)

「私は仲間を売る気など無いんでな
例えお前の話が本当でも教える気は無い…っ!」

(何かが来るっ!)
考えると同時に斜め後ろに大きく飛ぶ。

「お前っ!」

ガガガガッと今迄居た所に無数のナイフが重々しい音付きで刺さっていた。

リアは俯いていて、表情が読み取れない。しかし明らかに狙ってきてるし、それにーーー

(殺気が凄い飛んでるな…)

近くの木の太めの枝に飛び移り、林檎が詰まっている袋を置くと、フワリ飛び降りながら換装する。

ガチャと軽やかな金属音を立て着地

リアをもう一度見る。

見れば見る度に先程の好青年の印象が薄れ、危険人物と感じてしまう。

そして両者何も話さず動かない。

それを破ったのは相手だった。

呻き声を上げ、頭に手を当てている分からして頭が痛いのは分かるが…
どう見ても何処か不自然だ

「お、おいお前…」

余りもの苦しみ様に耐え兼ねて声を掛ける。
しかし返って来たのは驚き。

「…………逃げ、て……はや…く」

涙で顔と地面を濡らしているリアには先程まで周囲に充満していた殺気などなく、その目には"逃げろ"と急かす色ばかり。

「っ」
切に訴えるその目に押され、ろくに状況が分からないまま換装を解き、来た道を戻る。

ルーシィの元に。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.6 )
日時: 2013/12/05 17:59
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)


急展開>>7

グレイside

金髪の少女…ルーシィをおんぶしてギルドから少し歩くと、彼女の家が見えてきた。

「おい、もうそろそろ家だぞ?」

軽く揺さぶっても起きる気配は無く
唯「んぅ〜」と赤ん坊の様な返事が返ってくるだけ。

おまけに隣を歩くジュビアはジュビアで「グレイ様、帰りはジュビアをせ、せせ、背負って…キャァア!」

何やらボヤ付きながら顔を赤くしている始末。
全く女って訳が分かんねぇ………

キィンと音を立て、毎度お馴染みの家の鍵を作ると、カチャッと呆気なく扉が開く。

ジュビアには玄関で待ってもらい
本当に警備は大丈夫なのか?と心配になりつつも、ルーシィをベットに下ろし、布団を掛ける。

掛けた時、呻き声と共に何かを言っていたが、聞かなかった事にし、
最後に髪を撫で「おやすみ」と呟くと部屋を後にした。

(ん?)

玄関にはジュビアの姿は無かった。
先に下に降りたと思い、また鍵を作り扉を閉め、用心の為、氷鍵を折る

そして、階段を降りると出店でジュビアが何かを買っているのが見えた

「ジュビア〜?」

ジュビアは直ぐに両手に小袋を持って戻ってくると、「どうぞ」と片方の小袋をくれた。

小袋から温かい…つーか熱い温度が感じられる。

「!、肉まんか!」

カサカサと袋を開くと御名答。
ふわぁ…と白い湯気が立ち、とても美味しそうだった。

ジュビアは自慢気に「あそこのお店美味しいので是非グレイ様にも」と
微笑んでいた。

「サンキューな
じゃ、俺も今度何か奢るぜ」

そういい笑い返すとジュビアは顔を赤くし目を見開いた。同時に折角買った肉まんも地面に落ちてしまった

しかし本人のジュビアは気づきもしない。
頬に手を当て、今にも踊り出しそうな程幸せそうだ。

(俺、そんな良い事言ったか…?)

思い当たる節は無い。
取り敢えず肉まんの事を指摘すると
「あ、本当ですね」と浅い返事のみ

「グレイ様、食べないと冷えますよ」

指摘をさせ気づくと自分も まだ1口も食べていない事を思い出す。
しかし落としたのが買った本人だとしても、俺1人だけで食べるのは少々気が引けるという物で…

「ほらっ」

肉まんを半分に分け、片方を渡す。

「そ、それはグレイ様の物ですっ!
ジュビアは平気ですので…」

「いいから、1人で食うよりも2人で食った方が美味いだろ?」

そう言うとジュビアは「そう、ですよねっ!」とゆっくりと肉まんに手を伸ばしーーー「おい貴様ら!ルーシィは何処だっ!??」
「エルザっ!?」

緋色の髪を棚引かせ俺の前にきた鎧の知り合いーエルザは、今にも鬼神仮しそうな顔付きで睨む。

(こ、こえぇえええぇえ!!!)

俺何かしたっけ!?と今までにない程に脳をフル活用する。

「恋敵なら もう送りましたよ」
若干不貞腐れた様にジュビアが勇敢に答えると「すまなかったな、後グレイ服を着ろ」と残し、走り去っていった。

ポカンとしていると直ぐ後ろで、本日何度目かの悲鳴を聞く。

「グレイ様がぁああっ!!」

(はぁ?)となりつつも下を見ると、
先程まで手元にあった肉まんが無様な姿で下に落ちていた。

どうやら先程のエルザ登場で驚いて落としてしまったらしい。
それにしても その嘆き様…街の人が誤解すんだろ!?

「おい、俺は肉まんじゃねーぞ?」

そう言っても聞いてないのか、何の反応無し。そして進路変更。
進む先は…ルーシィの家!??

「許すまじ、恋敵ーーーっ!ルゥシィイイイイィイイイ!!!!」

「え、ちょっ、ルーシィ関係無くね!?」

エルザと同じ位…いや、もっと速い速度でルーシィの部屋を目指す。

(ヤバイ、何か分かんねぇけど!)

急いで後を追う。

「!、良かった!」
部屋の前で水色の髪を見つけ、安堵する。

(思い止まってくれtーーー!?)

そう思ったのは表情を読み取るまで

ジュビアの顔には驚き、哀しみ。そしてーーー絶望。

ジュビアの隣に居るエルザも同様で

「どうした!?」

急いで彼女達と並んで部屋の方を見ると閉めた筈の扉は開いてあり、
ここから見える部屋の風景はーーー


Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.7 )
日時: 2013/12/01 21:17
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

間違いが合った事をお詫びします。
オリキャラの名前であるリア(リキ)・ファッリアッツ・ドールの名前での訂正点です。
正しくはリア(リキ)・サクリファイス・ドールでした。
ここで深く謝罪を申し上げます。

今後も暇でしたらお付き合い下さい。

12月1日21時ごろ訂正しました。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.8 )
日時: 2013/12/02 20:49
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

自分でも何を書いているのかが…

アカイ/ユメ>>8

ルーシィside

走る。ただひたすらに。
何故? 分からない。けど走る。

何かお腹らへんがポカポカする。

その温かみに勇気を貰って。

私は走る。

走らなきゃ、捕まっちゃう。

過去に。未来に。自分に。

けど何処に逃げれば良いのかが分からない。

迷ってる暇なんてないのに。

………そういえば、こんな時、こう叫べば良いって教えられたなぁ…

ええっと、誰にだっけ…?

ああそうだ、思い出した。

「Вы, кто отдыхает в нашем плечо, и наши, которые дает вам свободу, что имя тебе. Теперь, я одолжил силу к нам снова!!」

Re: フェアリーテイル ー時の砂時計ー ( No.9 )
日時: 2013/12/05 17:43
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

実は この話ジュビアで行こうと思いましたが無理でした…
難しいっ!


アカイ/ヘヤ>>9

グレイside

「ルーシィ!」

部屋に入ろうとした玄関に一歩足を踏み出した途端バチッと電気の様な物が身体中を駆け巡る。

「い"っ!?」

慌てて下がると髪の先から煙が細く立ち上っていた。

「下がれ」

言われた通りに下がると、今度はエルザが…栄杓をし、「上がるぞ」と
声をかけ、涼しい顔で中に入った。

「!?」「!」

驚き顏のジュビアと俺にエルザは呆れ顔を向ける。
「他人の部屋に入るんだ。何か言ってからではないと失礼だろう?」

確かに当たり前と言えば当たり前なのだが…

呆然としながらもエルザに急かされ
それぞれ挨拶をして中に入ると呆気く入れた。
さっきの痛みを思い出し、挨拶をしない程度で大袈裟過ぎるぜ。と内心で、ため息をつく。

「う…」
隣でジュビアが口を抑えてる。
それはそうだろう。何故か玄関に入るまでは全く無かったこの世とは思えない程の異臭が、今は俺達の周りに漂っているのだから。

正直俺も気分が悪い。

床には赤い水溜りが所々あり、引きずった後も見られる。
壁には赤い手形がベタベタと無数。
入った途端にムッとする異臭。

何処ぞの殺人怪奇現場の様だ。

ジュビアは腕にしがみつき怯えている。

エルザは いつも通りスタスタとルーシィが居るであろう部屋に向かってる。

(うん、流石エルザ)

呆れもするものの、その反面 勝てないな。と思う。
でも普通の女子の反応だったら勝者はジュビアだからな?

ツッコミを心の中だけにし、周囲に気を配りながらも進むとお目当ての先程ルーシィを寝かせたベットが有る部屋につく。

「!」

(なに!?)

異常だ。ここはこの部屋の何処よりも異常だ。そう強く感じる。

だってよ…何処も赤くないんだ…

さっきの廊下や玄関はあんなに、
赤く染まってるのに……

異臭もしない。

ここはいつものルーシィの家で。

ルーシィは微かな寝息を立てて幸せそうに寝ていて…

「ルーシィ…」

フラッと足を踏み出しルーシィに近づく。
と同時に視界の端からナイフを持った青年が現れる。

「だれ、貴方達は?」

茶髪寄りの金髪。青い目。背は俺の方が高い。が、何処か危なげな雰囲気を漂わせてる。

「あれ 貴女は…」

その青年の視線はエルザを指している。
(知り合いなのか?)とアイコンタクトをするが、エルザは答えない。

次にエルザの口から開いて出てきた言葉は青年に送られた。

「私達も立ち合わせて貰うぞ。
安心しろ、邪魔はしない。」

青年は大きく眼を開け驚いた後、和やかな笑顔を作る。

「ありがとう、直ぐに終わるから」

ナイフを片手で弄びながらもルーシィに近づく青年。
それ止めもしないエルザ。ジュビアも止めない。

(もしかして俺が可笑しいのか…?)

ついそんな事も思ってしまう。
それ位 この空間は非日常すぎて…

ナイフを床に置き、青年はルーシィの上体だけを起こし優しく揺り起こす。

「ね、ルーシィ姫様。御迎えに上がりました。起きて下さりませんか?」

ルーシィ姫様。と再度名前を呼ぶと小さな呻き声を上げルーシィが起きる。

最初の一瞬は怯えたが段々と落ち着き、終いには安堵さえも眼に宿している。

「リア…ありがとう…」

リアと呼ばれた青年は嬉しそうに頷く。

「あの時は契約が不完全でしたので
再度、貴女に仕える約束をしても良いですか?」

ルーシィも嬉しそうに頷く。

ココでナイフがリアの手に握られる

(!)
駆け出て止めたいがエルザが無言で制する。

「失礼します」

ピュッと浅く素早くそして確実にルーシィの白い中指に1本の切傷を入れた。
ルーシィ顔からして痛みは そんなに無いらしい。

リアは、今度は自分の右手首を一周するかの様に やや深めの切傷を入れる。見てるだけでも痛い。
その傷の上に、ルーシィの指からツゥーと流れ落ちた赤い雫を落とした

その瞬間に2人を中心とした魔法陣が現れ、眩しい程の光を放つ。

「っ!」

眩しすぎて眼を開けられなかったが…確かに声は聞こえた。
意味が分からない言葉だが…

ーーーДайте место для отдыха свои крылья и имя Твое, нам. Мы бороться и служить тебе, еслиーーー


Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.10 )
日時: 2013/12/05 18:00
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

ミラさんのキャラが皆のお姉さんキャラなのは秋刀魚だけ?

ギルド>>10

ミラside

いつも通りカウンター仕事をしていると、珍しい人物から溜息が聞こえる。

横目で見ると桜色の問題児ーナツが
らしくない萎れた顔付きで「分かんねぇー」と呟きながら何かを考えていた。

つい気になって「どうしたの?」とさりげなく聞いてみると、助かったとばかりに質問してくる。

「ミラはさぁ、時空魔法って知ってる?」

勉強かしら?と思ったがあのナツだ。それは無いだろう。
となれば依頼関係かな?

「そうねぇ…聞いた事も無いかしら?」

ごめんね、と続けると手を左右に振りながらナツも謝り返す。

「俺もさ頭を擦れただけで…だから気になってるかも知れないんだ。
………あー、熱出そう。もう考えるのよそ…」

パタッとバーに顔をふせ、しかめっ面を此方に向ける。

(あら?考えるの止めたんじゃなかったのかしら?)

そう思っているとハッピーが何処かしらから飛んできてナツの隣に着陸する。

「ププ、ナツ、寂しいのかい?」

「うっせぇよ! 別に俺は…〜っ!」

何かを言いかけたが結局止めてしまい、また顔を伏せる。

(あらら、末の弟君は御留守番でご機嫌斜めなのね〜)

そう思うととても和む。
全く同じチームのグレイやエルザが
羨ましい。
しかもあのチームにはギルドの末妹のルーシィも居るのだと思うと羨ましさ倍増だ。

ナツは、その後少しゴロゴロしていると仕事を捜しにリクエストボードに向かう。

そして数分後、大騒ぎしながら帰ってきたナツの嬉しそうな顔はもう…

頬を赤くし眼を輝かせ…ああ可愛い
プチッって潰したくなっちゃう。

そこまで嬉しそうに持ってきたクエストとは…

ーーーーー【討伐系】ーーーーー
・最近ナージュ村近辺に山賊アトラスが続出し、困り果ててます。
どうか早急にアトラスを叩いて下さい。

詳しくはナージュ村の村長まで。

【報酬】
・400000J
ーーーーーーーーーーーーーーーー

「これなら家賃払えるだろ?
みんなで行くんだっ!」

その家賃と言うのはルーシィの家の家賃の事だらう。

どこまでナツは仲間思いなのだろうか?

チームでのクエストは参加者全員の
承諾を受けてからでは承認出来ないのだが、一応キープ位はしてあげる事にする。
(勿論今日中にじゃないとボードに戻すわよ?)

ナツが了解を取ってくる。と駆け出した途端、ギィと音を立て、お目当ての人物達が戻ってくる。

その中に、知らぬ顔を紛れさせて。


Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.11 )
日時: 2013/12/09 18:36
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

ギルドその2>>11

ミラside

エルザが連れてきた青年の名はリア・サクリファイス・ドール。
ルーシィの専属召使。

ギルドに入りたいらしく、実力者のエルザの推薦も有り直ぐにOKが決まると思えば意外な…グレイからの否定意見が出た。

「…おい、エルザ。さっきのを見て危険だと思わねぇのか?」

「思わんな。お前こそ何をそんなに怯えているのだ?お前らしくない」

「ジュビアも簡単に決めるのは危険だと思います…」

何か青年に取り巻く何かが問題らしく揉め合うメンバー達。
青年は不思議そうな顔で眺めている

しかしその中で1人ルーシィだけ参加せず椅子に座り眠りかけていた。

結局言い争いは、焦れったくなったナツの「じっちゃんに決めてもらえば良いじゃねーか!」で打ち切りになり、マスターに最終決定をしてもらう事になった。

マスターは短めの髭を摩りながら、
リアだけを奥の部屋に通し、そして数分後、いきなり扉を開け元気に登場したって事は無事入れたらしい。

グレイは何かマスターに抗議していたが、言いくるめられたか諦めたか渋い顔でリアと何かの会話を始める。

そのまま多少の疑問と不安があるものの、一先ずは新しいメンバーの入会を祝いギルドメンバーは普段以上の酒盛りを始めるーーー

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.12 )
日時: 2013/12/09 18:26
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

遅くなってすみません!
話を纏めていました…>_<…
やっと2章突入!(苦笑)
一章で11話か…長いのか短いのか(汗)

第二章・アトラス編

クエスト>>12

ナツside

ついさっきギルド入りした…リアは、先程グレイと話していたが今は目を輝かせながらもギルドを探検し、色んな人達に声を掛けられて掛けていた。

(面白そうな奴だなー)と見ていると目が合い、
近寄ってくる。ストンとテーブルの向かい側に座り、
対面する形になる。

「初めまして。姫様のチームメンバーの方ですよね? 自分リア・サクr「敬語はいらねぇーよ」

「え?しかし…」

何かを続けようとするが其の前に、こちらの方が早かった

「ギルドは、みーんな家族だ。
お前は家族に敬語を使うのか?」

リアの動きが一瞬止まったと思ったら、ふにゃと崩れた笑顔を浮かべて嬉しそうに何度も「家族かぁ」と呟いていた

「俺はナツ。「ナツ様?」ナツって呼べよ?」

リアは少し考えるように固まった後又ふにゃと崩れた笑顔を見せる。そして少し照れながらも
「…ナツ」と小声で呼んだ。

「なぁ、なんでそんなに照れてんだよ?」

「実は今迄、敬語を崩したり名前だけで人を呼んだのは
兄さんを除き始めてだったから…」

「へぇ?じゃあ俺が1号って事か!?」

つい嬉しくなってくる。
なんでも(良い内容なら)1番と言われるのは嫌じゃない。
寧ろ気持ちが良くなる。

「そう!ナツは1号!!」
そう言いリアは声を挙げて笑う。
まるでずっと笑っていなかった様に少し顔が引きつってるけど、幸せそうに…笑った。
それを見て、俺も段々笑いが込み上げて来た。


ーーーーーーーーーー

「ナツ」
笑い疲れてテーブルに2人で突っ伏してると、名前を呼ばれた。

「なんだよ」

「迷子の姫様を導いてくれて、ありがとう」

不意にそんな事を言われ、また笑ってしまう。

「違ぇよ、あっちから飛び込んで来たんだ。」

リアは「へぇ」と心底意外そうな顔つきを見せる。

「それになぁ、姫様って何だよ?
ルーシィはそんな柄じゃ「悪かったわね!」いでっ!」

後ろからの強烈な回し蹴りを喰らい、カチンと来た俺は
ルーシィを指差し「ほら!」と同意を求める。

処がリアは同意するどころか、
「姫様、見ない間にとても綺麗な回し蹴りを修得なされたのですね!」と感心するだけで。

ルーシィは自慢気にドヤ顔を決めてくるし…

「だあぁぁぁああああぁあぁっ!!
仕事っ!仕事行くぞっ!!」

思わず叫びたい心境になり、抵抗する2人を無理矢理
引っ張りミラの所に行く。

俺達に気づいたミラは「これよね」とさっき預けた
クエスト用紙を、差し出してくれた。

興味津々なリアは、「面白そう」と騒いだが、ルーシィは「リアは初仕事なんだから、もっと優しいのでも」とリアを思うのと、若干私情を含みながらも否定する。

「姫様、平気です。擦り傷1つも負わせませんから」

「いやいや心配されるのは、初仕事のあんたの方なんだからね?」

ここで?マークを頭に大量に浮かべてる顔付きで無言で
俺に話題を振る。

「俺は別に?お前面白いし」

リアはキョトンとした顔付きで俺を見る。

「なんだよ?何か付いてるか」

「いえ、何でも。"面白い"…?」

自問自答するかの様に呟き始める。
不思議に思い声を掛けようとしたが
「そうだ、エルザ達も誘お!」とルーシィの声で掻き消えた。

どうやらルーシィはいつものメンバー+リアで行きたいらしく、グレイが入るのは気に食わないがエルザが入るって事は、結局グレイも誘わなきゃいけないわけで…

周囲を見渡すと、エルザはマスターと、グレイはクエストボードを眺めていた。

ひとまずエルザはルーシィと俺が。
グレイにはリアが声かける様に分散した。

エルザが話を終える頃合いを見計らい、誘うと断られてしまった。

「実は明日から2日位の仕事が有ってな。」

「そうか、なら仕方ねぇや。ルーシィ行こうぜ」
「りょーかい」

「……………待て、お前ら」

エルザに背を向けて、クエストボードに向かおうとした
俺達をエルザは引き止める。

「良かったら私の仕事を手伝って貰えるか?グレイやリアなども入れてな」

「俺は其れでも構わねぇけど…ルーシィは?」

ルーシィは「内容による…」と弱々しく呟く。

いつかの惨劇を思い出している様だ。

「ナージュ村を拠点にしたアトラスと言う賊に攫われた
地主の息子の救出及び賊の殲滅。そんなに規模も大きくないし、魔道士も頭と最近入った数名のみ。
戦闘が嫌なら息子探し中心でも構わんぞ?」

戦闘をしなくても良い。そう聞いた瞬間にルーシィの顔が明るくなる。

「奇遇ね!私達もエルザ達を誘って行こうとしたクエストもナージュ村で、アトラスの殲滅だったんだよ」
「そうだっけ?」

「何、自分で決めた仕事内容忘れてる訳?」

「あい、それがナツです!」

「おう、それが俺だ!」

何故かルーシィは肩を落とし「もういいわ」と溜息を吐いた。…溜息を着くと幸せ逃げるぞ?

「とりあえず、どうせ同じなら共に行こうではないか。
…珍しいな、グレイは行かないのか?」

「ん?クソ氷ならリアが誘ってるけどな。…そういえば
リア、どんだけ時間掛かってんだ?」

「それもそうね」
「あい、おいらもそう思う」

3人+1匹で後ろを向いた時、目立って目に映ったのは
ドォオンと鈍音を立てながら聳え立つ、無数の氷の塊と…空に赤い孤を描きつつも軽やかに舞う1人の青年の姿だった

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.13 )
日時: 2013/12/19 20:25
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

小さな疑問>>13

エルザside

「アイス・メイク・ランス!!」

無数のランスをリアに当てようとするが、軽やかに舞うように除けるリア。まるでダンスを踊るかの様に
ゆっくりと、滑らかに。が、限界は有るようで数本のランスがリアの体をかする。

「…………っ!」
リアが頬にかすったランスによる傷の痛みに気を逸らす。
其れをグレイが見逃す訳がなく、追撃に出る。

「アイス・メイク・ハンm「馬鹿者共!」…っ!?」

溜めていた魔力が周囲に、フワッと
冷たい風となり散る。

「エルザ!!」

と言いながらも此方を向くが、勘の良いグレイは私の顔を見た途端に、顔が青ざめ口は引きつる。

「どうやら言いたいことは伝わった様だな、何をしているんだ?」

「あ、えーと。その…「ハッキリせんかっ!」ハイッ!喧嘩してましたぁああっ!!」

「ふむ、宜しい。で、悪いのは何方だ?」

重たい雰囲気が辺りを漂う。
それを撃ち破ったのはリアの方だった
「………自分、です。」
すっかり萎縮し弱々しい声で…だがハッキリと述べた。

「…幻滅したぞリア。私はお前を高く評価し過ぎていた様だな。守護者としても、ギルドの一員としても。人としても」

「エルザ、それは言い過ぎじゃ…」

「っ!」

肩が大きく震える。
それは私に叱られたからでは無い。
ルーシィが自分を庇ったからだ。

「いえ、自分の過ちの重さをエルザ様は教えて下さってるのです。
姫様、お気遣い有難う御座います。
皆さんも、すみませんでした。」

リアが素直に謝ると、ギルドもフッと空気が柔らかくなる。

「そうか?結構見てて面白かったけど」
「気にすんなって」
「グレイ、腕が上がったな!」
「おいおいグレイ、やり過ぎだぜ。
いくらナツよりも下に見られたからってさぁ」
「リアって綺麗によけるんだな」

思い思いの事を言いつつ、また酒を飲み始めるギルドメンバー達。
「それよりも、怪我平気?」

ルーシィがリアに駆けつける。
リアは少し苦笑いして「平気です」と傷を手当てをして貰う所か見せもしない。

(そんなにルーシィは尊い存在なのか…)

下階級の血は汚れ、上階級の者にとっては毒だと、昔の仕事先での言い伝えを思い出す。

もしルーシィの父親が その言い伝えを知っていたのなら召使のリアは、
血を見せてはいけない。と叩き込まれただろう。

「やりきれんな…」
ふぅと息を吐く。
そして忘れ掛けていた要件を思い出す。

「グレイ正直に言え。何故喧嘩したのだ?」

それが何故か突っかかる。
グレイは顔を横に背け「言う程の理由じゃねぇよ」と呟く。

「…私は喧嘩した理由を聞きたいだけだ。下らないとかは聞いてから決める。」

グレイが此方を向く。

(!、なんだ…その表情は!)

まるで"お化け"に怖がる子供の様に助けを求める様な顔付き。
いつもの少々プライド高めの表情なんて欠片も無い。

「話をするなら場所を変えても良いか?」

呆然とする私は頷き、外に歩き出したグレイの後を追った。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.14 )
日時: 2013/12/19 20:27
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

ヘタグレ特別警戒(苦笑)
>>13の少し前位からスタート。

恐怖対象>>14

グレイside

怖い。こわい。コワイ。

誰に?と自分で問う。
答えは分かり切っているのに………先程新しくギルドに
入ったリアだ。

礼儀正しく中々賢く、仲間思いな奴で、主のルーシィに
忠順で…俺の評価では高評価な人物…出会いが普通だったら、な。

だがそれは怪しい。と思うだけで怖い。とは思わない。
もっと別の何かだと思うんだが………

リアを見ていると心がザワつく。
俺が俺では無くなってしまう様な錯覚にも絡まれる。
だからリアのギルド入りは正直歓迎出来なかった。

しかし、リアはもうギルド(家族)の1人だ。
ならせめて…俺はリアに条件を出した。
リアは不思議そうな顔をしつつも、承諾した、その瞬間
少し心が軽くなった。

ーーーーーーーーーーーー

数十分後。リアが話掛けて来た。
一瞬恐怖で心を支配され掛けたが先の条件を思い出し
落ち着く。どうやらチームでの仕事らしい。

正直気が乗らないが、いつものチームメンバーも参加する事、おまけに報酬も高価格と聞きokを出した。
いや、出そうとした。

「グレイも行こうよ」

別段可笑しくない誘い文句。
だが、それに何かが重なった気がした。…そう思った
瞬間。

俺はリアに攻撃を仕掛けていた。

咄嗟の攻撃にもリアは避けてくれた。
驚いた顔を浮かべながらも器用に俺の攻撃を掻い潜っている。

最初はギルドの人達も喧嘩だ何の言って居たが段々と制止の声に変わる

俺だって攻撃したくない。が、この恐怖は抑えられなかった。

「グレイ!リアを殺す気か!?」

誰かがそう言う。
そうかもな。それも良いかも知れない。そう思う時、
声が聞こえた。

「やっぱりグレイはナツよりも弱いんだっ!!自分が言った通り!なんで本当の事言われて怒ってんの?」

氷の山の上に爪先だけで、悪戯っ子の様にニヤッと笑うリア。…目だけは笑ってないが

(何、を…?)
いきなりの事で頭が白い。
俺が呆然としていると、周囲から安堵の声が聞こえる。

「なんだグレイの野郎、ナツより下に見られてあんなに
怒ってんのか」

「じゃ、殺しまでしねぇーな。生意気な新人には良い
お灸だ」

「あっちゃー、リア早々に地雷踏んだか。…もはや半殺
決定っすね〜」

会話や視線に棘が無くなる。

(まさか…)

リアは目が合うとニッと笑った。

「…………俺は「続きは?」は?」

楽しげに笑いながらもクイクイと威嚇の手招きをする姿が、また何かと被る。

「………ぐっ!…くそっ!
アイス・メイク・ランス!!」

「!」

無数の氷のランスが四方から襲いかかるが、リアは僅かな自身に当たる時間のズレを利用し滑らかに避ける

が、その芸当には限界がある様だ。

数本のランスが、当たりはしないが掠ってゆく。

リアが頬に出来た傷を気にしたーーーその好機を見逃せなかった

(ーーー〜〜〜やばっ!)

口が勝手に造形魔法の呪文を唱える。

「アイス・メイク・ハンm「馬鹿者ども!」…っ、エルザ!」

ーーーーーーーー実はこの後の事は結構ボケけてる。

エルザが怒ってて…
俺が何かを言ってて…
原因は何方だって聞かれて…
リアが「自分です」って答えて…

(違う。喧嘩のキッカケは俺…俺の弱さなんだ…)

その思いは口の形には出るものの、言葉はおろか
音にもならなかった





「グレイ正直に言え。何故喧嘩したんだ?」

エルザという嵐の女王様が尋ねて来るまでは。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.15 )
日時: 2013/12/19 20:28
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

始めてのリアsideです。
因みにコレは会う直前位の心境だと思って頂ければ。


貴女に送る1つ目の言葉>>15

リアside

『くれた花の種、育ててみたら、ブルーファンフラワーだったの。青紫や白、紅紫色が綺麗だったなぁ。
わざわざ、ありがとうねっ!』

豪邸の中庭で今日の出来事を話しながらも姫様は笑う。
太陽の様に。普通の姫君達になら"花の様に"と例えるが、
ルーシィ姫様だけは特別。

だって花だと枯れてしまう。

太陽は枯れもしないし消えたりもしない。姫様には
ピッタリだ。

けれど雲が太陽を隠すと同様に、姫様にも曇りが
出る時も有る。

そんな顔は見たくない。
我儘で出しゃばりかも知れないけど、姫様は笑顔で居て
欲しい。

だって姫様は太陽なのだから。

ーーーーーーーーーーーー

「んっ」

目を覚ますと、夕方の筈が夜。

(…あ…やっちゃた)

最近徹夜のせいか夕方に座ったベンチに今迄
寝ていたらしい。

少し疲れたが、先程まで見てた夢を思い出し、元気を
貰うのと、更に誓いを強固な物に仕上げていく。

(ーーーその笑顔だけは曇らせない。)

姫様、自分の思い。気づいてますか?

(ーーーああ、今日は良い名月だ。)

月を見上げてそう思う。
今日はこんなに優しい月。ならきっと姫様の所へ導いて
くれるだろう。

(さて、そろそろ行かなきゃ)

ベンチから離れ、ゆっくりと街角を進む。

胸に1人の女性を描いてーーーー


ーーーーーーーー月が2人を引き会えわせるまで後数分ーーーーーーーー

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.16 )
日時: 2013/12/20 07:00
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)


雨の公園>>16

グレイside

「………降ってきたな」

何と無く横に居る緋色の女剣士…エルザに同意を求める様に言う。

ここはギルドから少し離れた公園…
と、言っても噴水に屋根付きベンチが有るだけの何方かと言えば、広場に近いけど。

もう既に夜。

星々達も 雲で隠され、俺達が利用出来る明かりは頼りない街灯のみ。

それでも数年の内に買い換えたのか
かなり明るかった。

「まぁな、だが帰りは濡れずに済むから良しとしよう。」

「?、雨は止みそうにねぇぞ?」

「お前が居るではないか」

何のことだと思えば、俺は造形魔導師=帰りは傘を作れ。と言っているのだと思いつく。

「…いあ、結構魔力維持すんのが「黙れヘタレ」ヘタレじゃねーよ!」

エルザは腕組みをし、ほぅ?と意地悪そうに目を細める。

…………あ、俺死ぬかも…(精神的に)

「知らんかったな、会って間もない一生懸命に自分の主を守ろうとする最近では珍しい少年に、怯える青年をヘタレと言わないとは…「だからヘタレじゃねぇ」じゃ、なんだ?弱虫か?」

(酷ぇ…容赦ね〜)

先程までの俺を労わる気持ちは何処に消えた?って思う位の方向転換。
流石エルザ、だな…

「…本題に入ろう、喧嘩の真相は何だ?皆には言わないから安心しろ」

嘘はつくなよ?と付け足した風に、
微笑むエルザ、…あー、嘘付いたら殺される…(力で)

「…怖いんだ、あのリアって奴
だから喧嘩ふっかけた。」

名前を出すだけでも鳥肌と冷汗が滲んで来る。
エルザは「そうか」と言った後、直ぐに不思議そうに聞いてくる。

「?、知り合いなのか?」

「違う。けど…何処かで会った気がする………っぅ!」

何かを思い出しかけた時、鈍い頭痛が襲い掛かってくる。

自身のバランスまでも維持出来ず、堪らず地面に滑り落ちる。

最後に視界に映ったのは、見慣れた緋色ーーー
最後に耳に聞いたのは聴きなれない緋色の焦る声ーーー
最後に記憶を掠めたのはーーー赤い部屋でナイフを持って泣きじゃくるリアーーー



((俺は何処に進めば良いんだろう…))

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.17 )
日時: 2013/12/20 07:03
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

ギルドその3>>17

ミラside

「おらぁ!まだまだ行くよぉ!!」

カナがテーブルにダンッと足を打ち付けながら大ジョッキを煽る。
周りはワッと盛り上がり、更には
勝敗が見えているのにも関わらずカナに飲み比べの挑戦迄してる者も居る。

いつもなら、ここで受けて立つカナだが、今日は少し違っていた。

「乗ったぁ!…と言いたい所だけどね。その前に 聞きたい事があんだよねぇ〜?」

視界の先には私に1番近いテーブルで、寝てしまったルーシィに膝を貸しながらも優しく頭を撫でているリア。

(………………あらあら&#9835;)

見てると つい頬が緩んでしまう何とも、微笑ましい光景だった。
…リアの頬を見ると痛々しいが。

周りの者も どうやら同意の様で、
下手に壊さぬ様にカナに制しを掛けるが…酔っているカナは止められない。

覚束ない足取りで、2人の前に座ると、酒樽をテーブル置く。

「おい そこのリアって奴ぅ!
私と飲み比べの勝負しやがれってんでぇい!!」

いきなり言われたリアは「え」と顔を引きつらせてる。

…まぁ、そうでしょうね。

「すみません、明日から仕事が入ってるので「にゃはっはは!なぁら、今私と勝負すんのも仕事ぉだぁ!」

カナは早速「一杯目ぇ!」と大ジョッキを煽り、ドヤ顔を決める。

「どぉした?負けんのが怖いか!!
酒が呑めないんじゃ姫様は守れないよぉ!」

「…姫様、を…?」
少し顔が青くなる。
そして直ぐに大ジョッキを頼み、
グッと飲み干す。

そして欠かさず「姫様は守る」と
カナを睨み付けながら宣言する。
周りも最初は不安そうだったが、リアの飲みっぷりと宣言を境にワッと更に盛り上がり、2人のグラスに酒を次ぐ。

2人は合図でもしたかのように一斉に飲み干す。

「良いねぇ、その飲みっぷり!」

中々手強い敵に会えたと上機嫌のカナはニヤッと笑う。

「姫様を…守れるなら、これ位!!
あっと、その前に………失礼します、姫様」

膝からルーシィを外し、着ていた上着を脱ぎ上に掛ける。

そして再びジョッキを持ち、ビールを零れそうな程に注ぎ、グッと一気飲みをする。

リアはジョッキが空になると、口角を上げ不敵に微笑む。

「酒飲み勝負、再開しようよ」



((で結局 カナが聞きたかった事は?))

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.18 )
日時: 2013/12/20 07:05
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

違和感>>18

ナツside

「………違う、な」

「あい?」

目の前には先程まで溶け込み切れてなかった新人リア。
しかし今では完全に溶け込んで、カナと飲み比べ勝負している。

その横の椅子にはルーシィが微かな寝息を立てて、夢の世界に落ちている。
大好きなギルドの光景。
だけど何処か違和感を感じる。

「なんつぅーか…臭いが違うんだよなぁ…すれ違ってるというか…
どう思う?ハッピー」

「それはナツにしか分からないと思うよ。オイラ其処まで鼻良くないし」

「じゃ、ガジルにでも聞くか…」

辺りを見渡すと直ぐに目当ての者は見えたが、エルザとグレイが居ない事に気付く。

「ん、エルザとグレイは?」

臭いを嗅ぐと、そう遠く無い所に2人は居るようだ。微かに雨の匂いもするので外は雨らしい。

「ナツ、そういえば仕事どうするの?」

「ん〜、まだ集合時間とか決めてねぇし。そもそもあの氷がなぁ…」

先程のグレイの様子を見てると、
リアを相当恐れて居る様子だったよなぁ〜
良い奴なんだけどなぁ…何か合ったのか?

「ま、いっか。取り敢えず明日の10時に駅前で良いんじゃね?」

「あい、おいらも良いと思うよ」

ミラに伝言を頼み、ガジルに聞こうとした事を忘れて、騒ごうとするが…
(ん、なーんか気分乗んねぇ…)

「今日は帰るか」

「珍しいねナツ、おいら もう少しシャルルと話をしてても良い?」

「良いぞ、じゃあな」

相棒と出入り口で別れ、なんとなく少し雨を眺める。

「…っしゃ!」

パンッと勢い良く頬を叩き、頭の中の「いっせぇの、せっ!」を合図に冷たい雨の中を走り出した。





((ーーーーーーなんだか今日の雨はやけに冷たかった。))

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.19 )
日時: 2013/12/20 07:06
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

雨夢>>19

ふぇえ……うえぅ…

微かな子供の泣き声は俺の眠りを
覚ます小さな原因となる。

「………ん、ここ…は…」

辺りを見渡す限り、何処かの豪邸の一室の様だった。
大きな窓1つとバルコニーだけの部屋

どうしてこんな所に居るのだろうと
微かに痛む頭をフル活動してみるが、全く見当もつかない。

どうやら この部屋は子供部屋らしく
辺りには 縫いぐるみ、絵本や積み木などが無尽蔵に放置されていた。

「そーとーの金持ちだな。」

おままごとで使うらしいコップの
裏を見て、驚き…いや呆れてしまう

(前ジュビアが、高かったとか言ってたメーカーじゃねぇか…)

前に同ギルドの仲間…ジュビアが嬉々と俺に見せていたブレスレット
を思い出す。
確かブレスレット1つで1万少ししたとかも言っていた。

しかも このメーカーはアクセサリー専門店の筈…と言う事はオーダーメイドか。

(金持ちは金の使い道を見直すべきだと思うぜ)

コップを元に戻し、グルリと見直すと、ふと目に止まる物があった。

(…青い、イヤリング?)

青い宝石の輝きを邪魔しない程度の品の良い装飾が施されているイヤリングは、俺から見て数十万…数百万はすると思う。

どちらにせよ子供の玩具としては
群を抜いて不向きだと思う。

(…ま、いっか。)

イヤリングを机に戻し、ふぅと溜息をつく。

(マジでココは何処なんだ?)

不安になるが、その不安原因の1番が自分が知らない場所に放置されていた。と言うよりも、エルザと会ってからの記憶が無い。と言うのが情けない。

んー。と考えていると、いつの間に止まっていた微かな泣き声がまた聞こえ出した。

音を探ると、縫いぐるみの山の奥かららしい。
無駄にデカい縫いぐるみを幾つか退かすと、扉が合った。

少しだけ開いて中を疑う。

(…なっ!?)

中には、12歳位のドレスを着た金髪の少女…ルーシィが肩を震わせ泣いていた。
腕の中に身覚えの有る人形を抱いて

(…いやいやいや!似てるってだけで
本人じゃねぇっ!)

しかし少女の髪の色も声も。そして横顔を良く似ていた。似過ぎていた。

声を掛けようか。そう思いドアノブに力を入れた時、コンコンとノックする音が聞こえる。

「……………どうぞ」

少女が目元を素早く拭い、何回か深呼吸して…幼きながらも凛とした顔付きを作り、部屋内へ人を促す。

「失礼します。お嬢様、旦那様が書斎にてお待ちです」

どうやら訪問者はメイドの様だ。
姿は見えないが、バルゴ風だと勝手に思う。

ルーシィJr.(勝手に命名)は、はい。と小さく答え、メイドと一緒に部屋を出る。

「……………ん、で。結局解決してねぇじゃねぇか…」

何故自分は 屋敷の御嬢様の子供部屋に隔離(?)されて居るのだろうか?

そもそもエルザはどうしたのだろうか?

あのルーシィ似の少女は?

(わっかんねぇ〜)

謎が更に謎を呼び、頭がパンクする

取り敢えず外に出るか。

バルコニーに出る為、窓を開く。
途端に気持ち良い微風が部屋に入る

「ねぇっみぃー」

風が頬に当た眠りを誘う。
ふぁあっと一発大きい欠伸をして、
こりゃどっかで昼寝してぇな。と場違いな考えを持ちながらも、バルコニーに出る。

…正しくは出ようとした。

出ようとした瞬間、両頬に鋭い鈍痛が襲ったので、その場を離れる。
しかし離れても痛みは引かない。

更に悪化している。
頬だけではなく体全身に痛みが走る

「………っが、っぅあ!…っ!!」

呻き声を殺そうとしても殺しきれない。激しい鈍痛が数十秒続いた後、
トドメとも言わんばかりの最上級の痛みが腹にヒットする。

「っぁ!」

ついに体を支える術がなく、崩れ落ちる。

(あれは…?)

ベット下の手紙の様な物を見た途端に俺の意識は刈り取られた。

((手紙の封は花を象った、シールの様な物だった))

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.20 )
日時: 2013/12/20 07:06
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

フェアリーテイルの現世界季節は冬です。




目覚まし時計>>20

グレイside

「………んっ…」

声にならない呻きが不意に出る。

(全身が痛てぇ…鉛みたいだな…
特に頬が痛い。夢とリンクしてんのか…?)

先程とは違い、頭以外の全身が冷たく硬い何かに当たっていた。
頭のみは温かい何かの上。

重たい瞼を少しずつ開けてゆく。
目に飛び込んでくるのは緋色。
緋色の名前を呼ぼうとしたが、その前に名前を呼ばれる。

「グレイ!」

名前と同時に戴いた物は、響く乾いた音付きの平手打ち…マジで痛い…

エルザは数回叩いた後、安心した様に柔らかい笑みを見せた。

「うむ。結構緩んでいた雰囲気や顔付きが、少しは締まった様だな。
どうだ、自分でも目が覚めた感じがするだろう?」

(…違う意味で目が霞む………)

夢での痛みは やはりエルザが原因なのだ。しかし気絶した俺の意識を取り戻すとはいえ…殴り過ぎではないか?

(もし、目が覚めなかったら…)

ゾクリと背筋に冷たい何かが走る。
そんな俺の心境を知ってか知らずか
エルザは「いつまで寝ているのだ!」といきなり立ち上がる。
…となると膝で寝かされていた俺の頭は必然的に地面に落ち…コンクリートにヒットする。

「い"っ!?いってぇええっ!!」

痛みに悶える俺を外に、服の埃を落としているエルザの目は"何してんだアイツは…"と呆れ色に満ちていた。

ーーーーーー

やっと痛みが少し引いたと感じ始めた時、白い手が目の前に出てくる。

「ほら、手を貸す。さっさと立たんか。………ギルドに戻るぞ」

「…おう」

素直に手を取り、立ち上がり埃を落とす。
深呼吸を何回かし、魔力を手に込めつつも頭の中で傘をイメージする。

「っよ!、と…」

キィンと音を立てて作られたのは
大きめの傘と、その傘よりも少し小振りな傘…計二本。

小振りな傘をエルザに渡し、
大きめの傘を夜の雨に向かってパッと広げる。

ベンチの屋根から出ると、タタタッと小刻みなリズムの良い傘に雨が当たる音が聞こえる。

エルザも直ぐに傘を広げ隣に来る。

2人で公園抜け、ゆっくりと街灯を頼りにギルドの向かうべく街を歩く。

沈黙だけが滞在しているが別に気まずくは無かった。
逆に結構心地よかった。

歩いて水が跳ねる音。
傘に雨が当たる音。
民家から漏れる幸せな会話。

…平和って感じがして。
雨という脆くて儚い盾が守ってくれてる様な気がして。

物思いに浸っているとエルザの声が聞こえ、現実に戻される。

「…そういえば明日の仕事はどうするんだ?」

完全に忘れていたので、慌てるが直ぐに思い出す事が出来た。

「やはり今回はキャンs「…行く。このままヘタレと言われ続けられるのは嫌だしな」

(それに…見極めなきゃな…)

何故自分がアイツを恐れているのかを。
踏み出して突き止めなくては…

踏み出さなきゃガキの頃の様に辺りに喚き散らす事しか出来ない。
もしかしたら過去の過ちをくりかえしてしまう事態に起こりかねない。

(もし、そうなったら…)

知らずの内に柄を握る手に力が篭る

エルザは、お前らしいな。と苦笑交じりに言い、それ以外は何も言わなかった。

ーーーーーー

ギルドに戻るとミラちゃんからナツからの伝言を受け、辺りを見渡す。

夜なのだからか昼よりも数倍喧しくいが特に目立つのは、近めのテーブルを囲っている野次馬の山。

何があったのだろうか。と、エルザと2人で野次馬を掻き分けながら、進むと最初に見えたのは 椅子に寝ているルーシィ。…足元には無数の空酒瓶や空樽が転がっている。

(何故あんなにルーシィの周りは酒ばっかなんだ?)

その理由はルーシィの隣を見て直ぐに分かる。

ギルド1の酒呑みカナとーーー新人リアが飲み比べしているのだった。

今もビール瓶1本をラッパ飲み対決している。

カナもリアも顔が赤く、フラフラ。
…正直見てるだけでも酔ってきそうだ。
しかし両者どちらも引かず、同時に飲み終える。

「っぱっはぁあああーーー!!
いいねぇいいねぇ!ここまで私に付いてくる奴なんかぁ珍しいよ!」

どうやらカナは強敵が居た事が嬉しいらしく、更に新しい酒樽を開ける

「そりゃどうも、ですっ!姫様を守る身の上なのですからっ!!」

リアは男らしく手で口元を拭い、此方も酒樽を開ける。

そして両者 「いっせーの、せっ!」で声を合わせ 酒樽直接で飲もうとーーー

「馬鹿者っ!!」

エルザの鋭い叱り文句がギルド内に響く。

途端にギルド内全員の動き(ミラちゃんは楽しそうに微笑んでいた)が止まる。

「2人共飲み過ぎだ!カナ、程々にしとけと何回言えば分かる!?リア、貴様は明日、仕事だろうがっ!!」

「「うっ…」」

エルザの正論攻撃で借りて来た猫の様になった2人が新鮮だ。

(…あれ?)

そういえば、俺リアを見てもビビらんねぇ………

(なんで?…ま、いいか。そっちの方が)

どうやら火種は周りの者にも伝染していってる様だ。

どんどん回りの者も叱られている。

もしかしたら俺にも飛んでくるかも知れない。

(そんなのは遠慮しとくぜ)

俺は"ルーシィを送る"という口実を
エルザに伝え、それを回避する。

ルーシィを抱え、ギルドを出ようとすると丁度良く雨は止んでいた。


((…明日は良い天気の様に……。))

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.21 )
日時: 2013/12/20 07:04
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

最近やけに短いなぁ…
一日が19話も掛かるって どんだけgdgd…


出発>>21

ナツside

ーーーーーーナツの家ーーーーー

チュンチュン…チチッ………

「………ん…」

常人よりも性能が良い耳が拾った小鳥の声と眩しい光を頼りに夢から覚める。

「もう…朝か…」

(昨日は何だか変な日だったな…)

ボーッとしていると 何か物足りない

(………あれ?)

隣のハンモックに相棒が居ない事に気づく。

「ハッピー?」

相棒の名を呼ぶが返答は無い。
声が見慣れた部屋に消えるだけ。
嫌な予感が胸に横切るが振り切る。

(ウェンディの所だな)

勝手にそう解釈したが特に問題は無い。
だってそうなのだから。

1人しか居ないと広い家の中で
適当に朝飯を作り、支度を済ませてから時計を見ると、まだ9時前後。
まだまだ時間は有る。
家では暇潰し出来る物はない。

「ルーシィの所でも行こっと!」

定番(?)の場所に行くべく
家の扉を開け、一歩踏み出す。



((この一歩は簡単に踏み出せたんだ))

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.22 )
日時: 2013/12/20 06:58
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

最近鍋が恋しくなります、鮟鱇です。
突然ですが皆さんはどの鍋好きですか?

鮟鱇鍋…牡蠣鍋、鱈鍋…沢山種類有りますよね。
温かい物を食べて 心身共に病気に掛からない様に温まって下さいね!

次回→明後日くらいには!

*質問*
皆さんの好きなCPは何ですか?
御協力お願いします。
(アンケート結果は本作品に反映されます)

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.23 )
日時: 2013/12/22 16:38
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

人によってナツルーかも(苦笑)


おはよう>>22

ナツside

不用心にルーシィの家の窓に鍵は掛かって居なかった。
…お陰で楽に入れたのだが。

家の主---ルーシィは まだ寝ていた

起こそうかと思ったが思い留まる。
こんなに穏やかな寝顔を壊すのは可哀想だし、惜しい。

適当に棚を漁って菓子を見つけ出し
ベッドに背中を預けながら足を床に放り出す。



どれ位 そうしていただろうか?
時計を見ると9時40分。
惜しいが起こさないと、マズイ

ルーシィは 軽やかな寝息を立てて
穏やかな表情を浮かべながら まだ寝ていた。

ゆっくりと肩に手を置き、揺り起こす。丁寧に、丁寧に…

「ルーシィ」

出来るだけ優しく名前を呼ぶ。

彼女は「ん、んん」と呻き声を挙げながら、ゆっくりと琥珀の目を開ける。

「ルーシィ、おはっ」

「…ナツ…」

まだ眠りの余韻が残っていて言い方も仕草も幼い

彼女は ニコッと笑うと 「こんっの、常連不法侵入者ぁあああ!!!」とグーで俺の殴ってきた。

「っんだよ!折角人が遅刻しないようにって起こしに来てやったのに!!」

そう反撃しても返しは来ず、コテンと首を傾けるだけだった。

「遅刻?…もしかして昨日の仕事?」

「そうだ、10時に駅前集合」

「え…聞いてない…じゃあ、現時刻は…?」

時計を見ると45分に変わっていた。
それを伝えると、彼女は大騒ぎしだした。

「え、そんな時間!?やばっ支度しないとっ!!ほらナツ着替えるから出てって!!」

言われるがままに部屋を出、下で待つ。

(…?)

待っている間、暇だったので前の川で水切りをしていると 何とも言えない…心に隙間の様な物が有る様な気分に囚われる。

原因は何なのだろうと考えてるが見つからず、数分後、どうやったんだ?と疑問に思う位にしっかり身支度を整えたルーシィが現れる。

「ほら、行くよっ!走らなきゃ間に合わない!」

と言ってる間にもルーシィは走り出すので、直ぐに後を追う。
そんな高いヒールで走って、転ばないかと 隣で走っててヒヤヒヤしたが
そんなのは杞憂だった。

前に しっかりとハッピー、シャルル、エルザ、グレイ、ウェンディ、リアの姿が確認出来る地点に着いた時、ルーシィが声を上げる。

「あ、そうだ。ナツ〜」

「なんだよ?」

ルーシィは少し速度を緩め、顔を此方に向けると 満面の笑顔で

「おはよう」

物足りなかった心の隙間にストンとピースが嵌った様な気がしたーーー


((「おはよう」と返したら、ルーシィは「2度目だよ」と微笑んだ))



Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.24 )
日時: 2013/12/30 21:28
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

電車の中(1)>>23


ガタンゴトン。とお馴染みな音を立てて汽車は目的地に進んでゆく
古めながらも中々良い座り心地の座席に座り、菓子を摘みながらも さり気なく気になった事を聞く。

「………なぁエルザ」

「…なんだ」

向かい合うように座っていたエルザは何か考えて居たようで返答に数秒掛かる。

「昨日…何で アイツの周囲を見ても驚かなかったんだ?血の部屋とか行動とか」

「なるほどな。…だから今なのか」

今はリアとルーシィは 酔ったナツの看病で席を立っている
たしかに それも狙っていたが…

このヘタレめ。というやや冷ややかな視線を受け流して切り返す。

「で、どうなんだ?」

「昔に見た書物の中に"守護族"という古代民の事が書かれていてな。
もう居なくなってしまった。と締め括られて居たので、私もリアが守護者だと確信したのは 契約を見てからだ」

「守護族?」

「それは一般的な呼び方でだ。地域によっては異なりが生じる。…大抵は生臭い物や負のイメージが付く物が多いな」

一瞬エルザの顔が 険しくなるが また直ぐに不表情に戻る。

「ま、とにかくリアの事は気にするな。あいつは主であるルーシィの事は何が何でも守り抜くだろうし」

「…そうだな」

「どうした昨日よりか随分と冷静だな。」

「いや…なんつーかリアが違うんだ」

「?」

「俺にも良く分からないんだが、怖くないんだ。何故か汽車に乗ってから」

正しくはナツが酔った時に リアのとても心配している顔を見たからか。

「なるほどな、きっと忘れているだけで本か何かで守護族の事を知り、無意識に怖がっていたが、実は良い奴だったと安心したからだろうな」

「…あぁ」


ガタンゴトン。お決まりな音の中で
問題が少し解決した気が…したような、してないような

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.25 )
日時: 2014/02/09 07:39
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: gF4d7gY7)

>>24

エルザside

数分すると酔ってるナツとルーシィ、リアが戻ってきた。

色々試したのだが全然回復しないと半分呆れと同情の声を上げるルーシィを横目に、ナツを隣に座らせる。
席順は図に表すと こうだ。

【図】

ーーーーーーー
グ 私
ル ナ

ーーーーーーーー
廊下


「ふむ…仕方がないな。楽にしてろ」

拳を固め 力加減を気をつけながらナツの腹に拳を入れる。
ぐぇとお決まりな声を上げ それ以上は動かなかった。

「よし、これで楽になっただろう」

返答はない。当たり前なのだが。

正面を見ると 皆は何やら神妙な顔つきで私とナツを交互に見ていた。

「なんだ、何か気になる事でも?」

「「い、いいえ!!」」
「姫様、顔色が優れません。飲み物お持ち致しましょうか?」

「確かに2人共顔が青いな、体調でも崩したのか?」

そう問いても2人は首を横に振る。
では一体何だと言うのだ…

「そ、そうだっ。私トランプ持ってきたの。皆で遊びましょ?」

…何か無理矢理方向転換された気もするが、まぁ…賭事は好きだし

ルーシィがバックからトランプを出し、リアが切る。

中々手慣れているらしく、シュッシュッと音が全然ブレない。

突っ込んでみると「この様な時の為に一生懸命練習しました!」「姫様に仕える身として恥の無いように鬼の特訓を兄としましたよ〜」と目を輝かせて答えてくれた。

数秒後 切り終わったらしく、リアが丁寧にカードを手渡してくれる。

渡されたカードを見ると…ふむ。悪くは無いな………

「それで?何をするんだ?」
「もち!ババ抜きよ&#8252;&#65038;」

ルーシィが意気揚々に"掛かってらっしゃい!"グレイと言い争う。

(…平和、だな)

どうかこの平和を終わらせないでほしい

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.26 )
日時: 2014/02/09 07:41
名前: 鮟鱇 ◆j5KZfkTVqc (ID: gF4d7gY7)

すみません!!
これから一気に更新ペースが落ちます!!