二次創作小説(紙ほか)

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.4 )
日時: 2013/12/12 16:35
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

いつも通り>>5


エルザside

バーに座りフゥと溜息をつく

(惚れ薬、か…)

ロシアンルーレットゲーム。とミラは言っていたが、それは年頃の娘の心を遊び道具にしたのと同様では無いのか?
…ルーシィ自身、深く気にしていなかった様だったので、私も、からかったが。

「………………、………。。」

何かが聞こえる。

(そんなに深く考え毎をしてたか…)

頭を揺らし、切り替える。
そして隣を見て和む。

「好き…恋…恋愛…」
乙女らしい単語を並べ首を傾げる隣に座る金髪の少女を
見てると、心が温かくなってゆく。

(まるで妹を持ったようだな)

無知過ぎる故、色々と危なかっしいが、その分は私達がカバーすれば良い。末っ子は少々おてんばの方が可愛い

(さて、その無知妹を からかうとするかな)

「ルーシィ、平気か?」

声を掛けても聞こえないらしく、まだ何やら呟いている。

「何を そんなに悩んでいるんだ?」

そっと頭を撫でると、心地が良い肌触りだ。シャンプーでも変えただろうか?
本人は やっと気が付いたらしく、物凄く深刻な顔付きで私を見る。

珍しい顔付きを見、勝手に此方も表情が険しくなる。

「エルザ」

まるで陶器を扱うかの様に言葉を選んでいる事が分かる位の真剣な声色に圧倒され思わず撫でる手を止める



「…………………私、恋した事無かったみたい」


「…………は?」
(それで悩んでいたのか…)
至極今の真剣さを他の所に活用して欲しいと願うのは私だけか?

下らないと思う反面、まぁそこがルーシィの良い所の1つだ。と思う。

「で、何で そんな事を思った?」

ルーシィは 眉を寄せ、ほんのり頬を赤くした。

「今まで昨日の様な感情なった事無かったから…かな?」

「だから先程から好きとか恋愛とか言ってたのか…」

「っ! 先程って!」
タコの様に赤くしたルーシィの反応が面白く、更に追撃してみる。

「ああ、かなり大声でな。何なら先程まで側に居た…そうだな、ウエンディにでも…「嘘よねっ!?」

嘘だと言ってよっ!そんな心の声がキッチリ顔に出ているルーシィの頬を指で優しく押す。

「嘘だ、しかし言っていたのは本当だ。」

頼んでいたシェリーを一口飲む。
ルーシィが心配そうに此方を見るが問題無い。
今日は仕事が無いしな。

「別に良いじゃないか。過去を見ず未来だけを見れば」

ルーシィは「そうよね」と笑う。
2人で笑い合ってるとミラが、「ルーシィが1つ大きくなったサービス」と評して、やや透明感が有る赤めの飲み物を差し出す。

「…ん?」

クンと匂いを少しだけ嗅いだだけでも分かる酒の独特の匂い…
まさかっ!

「ルーシィ、呑むなっ!」

しかし時遅く、ルーシィのグラスは空。よほど喉が渇いていたのだろうか。

そして本人は…

「うへへー、あんれぇ?エルザがぁ、2人?…いっぱぁああーーーい」

頬を先程よりも赤く染め、無邪気に足を揺らし、更にボトルからグラスに酒を次ぐ。

思いっきり酒臭い。

「ミーラーーー!??」

いつの間に目の前に来ていたミラは顔に手を当て「まだ無理だったのねー」と残念がっていた。

「ルーシィは酒に弱いんだっ!
そんなのにアルコール度が高い奴、飲ませたら「きゃああぁあっ!!」

会話を遮る悲鳴に驚き後ろを見ると、ルーシィが後ろからグレイに抱き付いていた。悲鳴はジュビアの物だろう。

グレイとナツは仲良くしていた様で、話の途中に抱きつかれて驚き顔中が真っ赤。
ナツは大笑いで、ジュビアは「離れて」と無理矢理剥がそうとしている。

(しかし何故 抱きついた…?)

その回答は直ぐに本人から返ってきた。

「冷たぁーいっ、気持ちいー」
目を閉じながら無邪気に爆弾発言をし更に力を強めるルーシィ。

「うわっ、る、ルーシィ!??
変な物でも食ったかっ!?」

グレイは氷の魔道士、体温も低温な為、確かに熱くなった体には丁度良いかも知れないが…

(しかしマズイな…)

これを見て、何故ルーシィがグレイに抱きつく状況が出来たかを正確に知っている者はルーシィが酒を呑んだ事を知っている私とミラ位だ。

この分だとジュビアが…
「きぃいいぃいいっ!!グレイ様も何で顔が赤いんですかぁっ!!」

恋敵ーっ!とジュビアがルーシィの肩を揺さぶる。+大雨付き

過激な振動それとも雨による音か…何が原因かは分からないがルーシィが微かな呻き声を上げ、目を開ける。

それと同時に悲鳴とパァーンと乾いた打撃音が聞こえる。
「いぃやぁああっ!」

グレイから直ぐに離れ、わなわなと肩を動かすルーシィに、ぶたれた頬を摩りながらもグレイは文句を言う

「…お前から抱き付いてきたんじゃねーか…」

「えっ! 本当!?ごめんっ!!」

「ったく」

グレイが強く言ったり反撃に出ないのは、一見戻った風に見えるが微かにフラつき顔も まだ熱っぽいからだろう。口調もまだフニャとしてる。

「んっ…」
足元まできた水を幼児の様にピチャピチャ手で弾くと、また夢の中に入ってゆく。

「それにしても珍しくないか、ルーシィが俺に抱きつくなんて…」
ルーシィのおでこに手を当て熱を測る。「熱は少し高めだが…」と困惑気味な顔を作る。

「おおっ!そういえばな」
腕を組みながらルーシィの顔を覗き込む。

「めずらしい…? と、言う事は…」
更に雨が強くなる。流石に これではマスターに申し訳ない。席を立ち、グレイからルーシィを取り、担ぐ。

「ルーシィは先程酒を呑んでしまってな、もう今日は無理だろう。家に送る。グレイ、ルーシィの家の鍵を作ってくれ」

一同が顔を見合わせ、笑い出す。
そして、いつも通りに戻る。

グレイは今鍵を作ると溶ける。と言い、ルーシィを私から預かると「俺が送ってくる」とルーシィを おんぶしてギルドを出た。
勿論ジュビアも同伴だ。

(そういえば…)

ナツが静か過ぎると思い、周囲を見渡すとリサーナと何かを話していた。

(………つかれたな…
もう今日は休む事にしよう)

そこそこ高価格な仕事を見繕い、明日に備えギルドを出る。
途中の店で林檎を1袋分買い占め、齧りながら家路を辿る。

そして女子寮が やっと見えてきた時、門の前に見知らぬ人物が立っていることに気付く。

(あいつはっ…!ルーシィが言っていた!)

この目で本人を見たわけではないが
証言と良く似ていた。似過ぎだ。

(昨日、ルーシィを助けたのは偶然では無かったのか?
実はルーシィの周囲を探っているのか?
ならば その理由は?)

頭で大量の疑問が湧き上がる。が、それを振り払う。

(前の事件で少々ルーシィ関係には鋭くなり過ぎてるな)

バカバカしくてフッと笑う。

そして青年が此方の気配に気が付き、顔を上げたと同時に声を掛ける


「誰かに用か?」