二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】 サディスティックパニック! 【帰還篇】 ( No.15 )
- 日時: 2013/12/18 17:01
- 名前: 牡丹 ◆9nf7vs0ewk (ID: x2W/Uq33)
.出会いって突然、そして心を開くのも突然.
「いやー 平和ね」
「そうですね、伊織さん」
ただいま、私は、同じ隊の隊士と見回り中である。
えー、うん、ほんっと何にもないからつまらないんだよね。
やっぱり兄さんがいないと…
「…伊織さん」
考えていると、隣から声がかかった。
隊長補佐の水無月樹〈ミナヅキイツキ〉である。彼は剣に相当の自身を持っており、そして伊織を慕っていた。
昔、伊織が任務に出ていたとき拾った人物だった。
—あー…アンタ、一人?
—そう。じゃあさ
—一緒に来る?
こんな風に伊織が人を拾ってくるのはしょっちゅうで、特別部隊の三分の一はその拾われた人で埋まっていた。
まぁ、殆どの奴が剣なんて使えなかったから、私が鍛えてやったんだけどね。
樹もその一人だし。
そんな樹が、しらーっとした目で私を見てる。
「え、何?なんかした、私?」
「伊織さん、全部声に出てます」
…え?何?
”えー、うん、ほんっと何にもないからつまらないんだよね。
やっぱり兄さんがいないと…”
って所のこと?
「ええ、丸っきり聞こえてました」
「マジでか」
「マジです」
危ないな、私。
気をつけよう、うん。まぁ、私が兄さん一筋なのは誰もが知ってることだけどね。
「「…ん?」」
遠くで悲鳴が…おお、悲鳴か、マジか。事件かよおい
「伊織さん、急ぎましょう」
「おー」
樹は腕が立つ。
樹連れてきててよかった。
___________
「うわ…酷いねこれ」
「さすがに…」
目が当てられない。痛々しい。
駆けつけたときには遅かったらしく、そこには無残に切り刻まれた死体が転がっていた。
しょーじき、任務でこんなんは見慣れてるんだけど、やっぱりこの殺され方は酷いな。一瞬カニバリズムかと思ったわ
「誰がこんなことしたんだろうね…まぁ、攘夷志士ってのは確実だけど」
「伊織さんの意見で合っているかと。
……殺された奴らはどうやら…幕府の人間らしいですしね」
「無残だね… とりあえずあれだ、土方に電話…」
私はめんどくさいのを押し殺し、とりあえず土方死ねコノヤローに電話をかけた。
『もしもし?』
「あ、土方さーん?なんかあれ、辻斬りでたんで〜、○○丁目の〜」
『…てめぇその話し方やめろ、ウゼェんだよ』
「黙れよ土方ぁ じゃー」
プツっと
切ってやった。これであと十分もすりゃぁ来るだろ、兄さんも。
「伊織さん…」
「樹、いいって、さっきから思ってたけど…二人のときは呼び捨てでいいって。なんかむず痒いわ」
「…いいのか?」
「いいって言ったじゃん」
「…なら。副長切れてただろ?」
「さぁ?どーでもいいよ、んなこと。それよりさ、ここら辺一帯の人払い頼んでいい?」
「…伊織もやれよ」
「やだ、ダルイ」
「…」
はぁ、と、先ほどと人格がかわった樹はため息をついて、路地裏から表通りへと駆け足で出て行った。
さて、私も始めるか。
死体の斬り方とかね、いろいろ証拠になるんだよ。
取りあえずぐるっと一周…
「!」
死体を見て回ろうとしたとき、人の気配を感じた。
歩いてきた、というよりは、いきなりその場所い現れた、という感じだった。
「…誰だ」
鋭く視線を走らせ、その気配の元を辿る。
…気配が薄れた。
警戒して刀の柄に手をかける。
「ちょ、待てって」
その気配が瞬時にクリアに認識できるようになった。
声が聞こえたほうに顔を向ければ、そこには男が立っていた。
「…誰?」
「え?俺?は、前原宗助だ。…えーっと、急に出てきてすまん…本当に何もするつもりはないんだ。この通り」
いや、このとーりって言われても、あんたさっきから表情ひとつも変えないじゃん。
んな怪しい男ゆるせるかっつーの…
ゆっくりと歩み寄ってみると、その男、前原宗助とやらがかなりの美形…イケメンだと言う事がわかる。
ほぉ、色男。
そこそこかっこいい
「前原って言ったっけ?あんたいつから居たの?」
「そこの人たちが殺されるときから」
「…」
「…」
「…」
「…」
さんざん睨み合った後、私は気が抜けて手のひらを上に向けて「メンドクサイ」と体全体で主張した。
「…いーや、疑いは晴れないけど、今これ以上厄介ごと増やしたくないし…土方来る前にいきなよ」
邪魔だし、といってやると、宗助は笑った。
何が可笑しいよ?
「はは…お前、面白いな」
「面白いィ?」
「真撰組か?チンピラ警察とか呼ばれてるが…こんな奴も居たんだな。
じゃあ、行かせてもらう。また会えるといいな」
宗助はひらりと手をふって、瞬く間に姿を消した。
ホント怪しいけど…まぁいい、面白いしね。
ああ…土方たちが来た。
__________________
本当に、真撰組には面白い奴が居るものだ。
宗助は思い、一人笑った。
さきほどあった女隊士。最初こそ剣呑な空気を漂わせていたが、途中からは口先だけでなく、心のそこから面倒だと思っていた様子。
あの場所で捕まることは、宗助の実力からして確実にないことだと思われるが、不覚にも、もう少し彼女と話したいと思った自分に笑ってしまった。
本当に、また会えると…面白いだろうな。