二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂】サディスティックパニック!【紅桜篇】 ( No.97 )
- 日時: 2014/02/06 22:14
- 名前: 牡丹 ◆9nf7vs0ewk (ID: x2W/Uq33)
剣が交差する。
私も宗助も、どちらも引かない。押しの勝負なら、男である宗助の方が有利なのは誰が見てもわかることだ。
「隊長…」
「…」
樹たちが不安そうな顔をしているのがわかった。
「ああ、それといい忘れていたが…、俺を倒せたとしても、恐らく向こうには天人が群がっているだろう。そのなかで晋助や桂を見つけるのは無理だろうな。…まぁ、行かせるつもりは無いが」
笑みを浮かべる、宗助。
やっぱり、こんなところ見たくなんて無かった。
私が、あんな短い時間で打ち解けることができた人なんて、少ないのに。
ああ、どうして。
どうして、私が好いた人は、皆離れてしまうの?
「…」
私が唇を噛み締め俯いたのを見た宗助。
宗助の口許が緩く弧を描いた。
「お前のこと、探らせてもらった。
…生まれは武州、物心ついたときには家族は姉と兄の二人だけ、今の真撰組の局長近藤勲が道場主の道場に通っていた…」
その道場には近藤勲の人柄に惹かれたヤツが集まっていたようだな。 土方十四郎もお前たちと同じ道場だった。
始めのころ、まだお前は剣術を習っていなかったらしいな。
何故いきなり剣術を始めたのか、かなり気になったのでな。くわしく調べさせてもらった。
「なっ…」
「ふ…その様子だと誰にも話していないようだな」
「宗助…っ、」
「今ここで負けてしまうわけにはいかないからな」
宗助が、私を見て笑った。
「ってめ…」
「卑怯なことしてまで勝ちたいの!?」
秋人と花蓮が私の背後から叫んでいるのが、思考を停止した私の脳にかろうじてとどいていた。
————やだ、怖い…
————天人に刀を向けたんでしょ…
————いくら家族を守りたいからって…
————恐がりもしないで刀をとったんですって
————恐ろしい…
.塞いだ失敗.
「やっ……………、いや…!」
私はもう、自分が何を考えて何を叫んでいるのかも理解していなかった。
脳裏に飛び交っていく武州に居たときの出来事の数々。
姉と兄以外誰にも話さずひたすら隠し続けた…
「あ…っあぁ…、」
何かを考える暇?そんなもの、無かったよ。
かすれた声がついてでた瞬間、私の意識は遠退いた……。
…目の前で伊織が、操り人形の糸が切れたかのようにパタリ、と倒れた。
伊織の後ろで控えていた隊員の一部らしき奴らが、必死に伊織に呼び掛けている。
「っ隊長!!」
「…しっかりして…!」
「伊織っ!」
「隊長ぉ起きて!」
「たいちょ…、う…!」
ズキリと胸がいたんだ。
好きでこんなことをしているのではない。
むしろ、言の葉を使っているとき、こちらの心が折れてしまいそうなくらい、心が痛かった。
ドカァァァン!!
爆音が聞こえる。
決着は…どうやら着かなかったようで。
俺は伊織とその仲間を見ると、くれりと背を向けその場から去った。