二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.107 )
日時: 2014/04/07 21:16
名前: リーフ (ID: f2y8EREE)

貿易相手国の王女様を取り巻く陰謀と、ノエルたちが対峙します。
シンドリアでドッタンバッタンです(笑)。

@三章 サエ姫狂想曲

33話

南海の孤島、冒険家シンドバッドが建国した夢の都・シンドリア。貿易と観光で多大な収入を得る多民族国家だ。
そんな国の一つしかない港に、そこそこ立派な貿易船が停泊した。国王シンドバッド、そして政務官ジャーファルを始めとする臣下・八人将が出迎えのために整列する。
立派な船から降りてきたのは、清楚なドレスを身に纏う18歳くらいの少女。そして護衛の兵士が、彼女の後ろに3人だ。

「初めましてシンドバッド様。レイファル国王女、サエ・レイファンでございます。此度はどうぞよろしく。」

彼女の美しい金髪が、日光の光を跳ね返す。清楚ながらも豪華なドレスは、彼女の人間性を表しているともいえた。

「これはご丁寧に。シンドリア国王、シンドバッドです。初めまして、サエ姫。」

ところで、とシンドバッドは、後ろに停泊する船を一瞥する。

「国王陛下であるお父上は、ご一緒では…?」
「あぁ、いえその…申し訳ありませんシンドバッド様。」

困ったように形の良い眉をよせ、すっと頭を下げて謝辞する。非常に言いにくいのですが、という表情で、サエは口を開いた。

「父は…王は、慣れない船旅で酔ってしまいまして。つきましては、寝所を早急にお借りしたい次第でございます。」
「なんと……ジャーファル!」
「はっ。」

***

「いやあ、到着早々申し訳ありませんでした。」
「いえ。船の馴れには個人差がありますから。」
「いやはや風は気持ちよいのですがねぇ。何しろあの揺れは…。」
「風については同感です。さ、もう一杯どうぞ。」

夜。シンドリア王宮では王同士の宴が開かれていた。貿易相手国・レイファルの国王、エドニス・レイファン。
年齢は50過ぎといったところで、口髭を生やし、人並みに整った顔をしている。少しだけ色素が抜けているが金髪で、これは娘のサエに受け継がれたものだろう。
相手が年上という事もあり、シンドバッドは敬意を払いつつ宴を楽しんでいた。隣に座るジャーファルが

「シン。程々に。」

耳元でささやてくるのは逃げられないが。

「しかし、噂に違わぬ美しい国ですな。王の臣下にも様々な人種の方がおられましたな。」
「ありがとうございます。しかし、レイファンも花々の咲き誇る美しい国だと聞いておりますが。」
「はい。サエが花を好いていまして。妻の影響でしょうなぁ。」

エドニスの妻は、5年前に病死したと聞く。つぶやいたときのエドニスの瞳は、ほんの少しだけ赤く潤んでいた。
それはきっと、酒の所為だけではない。