二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&ネタ募集 ( No.138 )
- 日時: 2014/05/01 22:55
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
39話
天井の一部落下に伴い、まず真下にいた者が数名哀れにも吹き飛ばされた。見事に空いた風穴から群青の空が見え、薄い星々がの光が降り注ぐ。
そして天井を突き破った張本人——モルジアナは、何事もなかったかのように緩慢な動作で顔を上げた。
「なっ、女のガキです!!」
「この赤い髪と目つき…間違いありませんっ、ファナリスです!!」
「か、構わねえ…やっちま、ぐえぇっ!!?」
剣を構えモルジアナに斬りかかった無精髭の男が、今度は投げ飛ばされたかのように壁に激突した。だがモルジアナは微動だにしていないし、一番近くにいるサエは未だ縛られたまま唖然としている。
「……やれやれ。とんだ賊がいたものだな?」
「まあ、あなたは!!」
風に揺れる短い藍色の髪、白い肌、灰色の瞳。左腕に輝く銀の腕輪は、鈴が飾り付けられた珍しいデザインだ。
「ひぃいっ…何だこの女!?」
「何だ、とはご挨拶だ。」
現れたノエルのの足元では、まるで蛇のように彼女自身の影がうねっていた。見たこともない光景に、逆臣たちが息をのむ。
「ひ、怯むなっ!たかが二人の女で—がっ!?」
「おいおい、俺達もいるぜ!?」
「大丈夫かい、おねいさん?」
「あなたたちは…。」
天井の穴から、二人の少年が現れる。剣を構えたアリババと杖を構えたアラジンだ。二人は手早く縄を切りサエを解放する。
「えーっと。大丈夫、ですか?」
「えぇ、ありがとう。これは一体…?」
サエを保護されたことにより、逆臣たちの戦意が一瞬ひるむ。だが、剣を抜いたアベルが雄叫びを上げてノエルに斬りかかる。それを皮切りに、全員が戦闘を開始した。
「サエさんは、僕に任せてっ!」
「ああ! 逃がさねぇぜモルジアナっ!」
「勿論です、アリババさんっ。」
「サエ王女誘拐の罪…悔い改めよ、賊どもッ!!」
「ぜっ、全員殺せぇぇえっ!!」
十数対未成年3人。だが、戦況は圧倒的だった。
モルジアナが蹴り、ノエルが投げ、アリババが斬る。しかも、死人を出さないよう手加減をしてだ。
そして、戦いも終盤。二人の逆臣が隙を突き、アラジンとサエに斬りかかった。
「く、くそおぉぉ!」
「お前だけでも殺せばッ!!」
「しまっ…アラジン!サエ姫!」
その時、思わぬ勢力が現れた。一人の兵を錨付の赤縄が捕え、もう一人が何処からともなく表れた巨大な水泡に溺れる。
「な、なんだあッ…ごぷっ!」
「い、イテテテッ!放せぇっ。」
「残念だけど、そこまでよ。」
そこに現れたのは、シンドリア政務官と一人の天才魔導士。ジャーファルとヤムライハである。
「逆臣アベル近衛隊長、近衛隊一同…シンドリア客人サエ王女誘拐の罪にて、捕えさせていただきます。」
夜風に、クーフィーヤの裾が静かになびいた。