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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳− ( No.16 )
- 日時: 2014/01/06 11:56
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
6話
リリィが飛ばす。ジャーファルがそれを弾く。しかし、最初は互角に見えていた攻防も、少しずつ均衡が崩れてきていた。
「うふふ、そぉれっ!」
「く、っ!」
リリィの得物である光るナイフは、次から次へと無限に出現してはジャーファルに襲い掛かる。それに比べて、ジャーファルの操る暗殺器は、彼の両腕によるものだ。当然、体力は限界に近づいていく。
「…はあ。終わりですわね、あなた」
リリィがつまらなそうにため息をつき、すっと手を上げる。
その緩慢な動作を、ジャーファルは利用した。
ヒュンヒュンと、数個の塊がリリィに向かって投げられる。
「はぁっ!」
「な…何!?……石?」
そう。それはジャーファルが、戦いの中密かに拾っていた石だった。子供騙しの様だが、隙を突くには十分すぎる。
「なんて小賢しい!…いっ……ああ!」
コツンコツンと当たる石を払い終えたとき、既にジャーファルは、狭い路地から姿を消していた。
リリィがスッと目を細めた。
「……逃がしませんわ」
*
夜の闇に落ちた街を、ジャーファルは駆けていた。
実を言うと、リリィのナイフにより、彼は右腕をやられていた。運が悪かったのか、腕に巻かれている暗殺器の紐は斬られてしまい、左腕の物しか使えない。
「く…彼女はいったい…」
目前に海が見え、近くの洞くつで軽く治療でもしようと考えた時。
「…逃がさない」
声が聞こえ、左足に鋭い熱と痛みが走った。
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