PR
二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【マギ】光と影−日常事件帳− ( No.17 )
- 日時: 2014/01/08 23:35
- 名前: リーフ (ID: O72/xQMk)
7話
鋭い痛みと熱を感じた足を動かし続ける事ができず、ジャーファルは地面を転がった。
「く…っ!」
崖から落ちそうになったところを、何とか下半身のみに留めて耐える。
痛みを感じた左足を見ると、突き刺さった光のナイフが、溶けるように
消えるところだった。
「獲物は必ず仕留める…これぞ、暗殺者の基本ですわ」
ゆらり、ゆらりと、光のナイフを片手にリリィが薄く微笑む。そして、ジャーファルの首元に狙いを定めた。
一息で掻っ切るために。
「ああ。夜の海は、さぞ冷たくて暗いでしょうね…でも大丈夫」
にいぃっと笑みを深め、ナイフを持ち上げる。
「すぐに、何もわからなくなる…!」
心から歓喜の表情を浮かべるリリィは、美しく悍ましかった。しかし、ここでも彼女はミスをした。
リリィは、ジャーファルという人間を知らなさ過ぎたのだ。
「私は…」
「え?」
呟きに動きを止めたリリィを蛇のような眼で睨み、彼は崖から…。
「な、何を!?」
彼は崖を手放し、幾メートル下の漆黒の海へ身を投げた。
唖然としたりりぃの顔が、視界の隅をよぎって消える。
「ああ…」
これは、死ぬかもしれないな……。
自嘲気味に笑い。
心の中に浮かんだ、最も敬愛する主に、軽く詫びながら。
———ジャーファルは、黒い海に沈んだ。
PR