二次創作小説(紙ほか)

Re: 【マギ】光と影−日常事件帳−コメ&リク募集 ( No.187 )
日時: 2014/06/15 23:35
名前: リーフ (ID: O72/xQMk)

泥酔したシンドバッドがノエルたち女性陣に絡んだら…という話。
作者の妄想を詰め込みました。


#四章 酒は飲んでも呑まれるな

45話(ヤムライハの場合)

南海の島国、シンドリア王国。かの国の国王シンドバッドは、大層な酒と女好きで有名だ。手を出した女性の人数、年齢層は後処理に追われる一人の政務官の知るところだが、この国王。
どんな女性にも手を出すから困るのだ。

***

シンドバッドの禁酒が解かれたその日。当然ながら宮中は宴モードとなり、飲めや歌えの大騒ぎ。シンドバッドは泥酔した。酒癖の悪さを物語る。だが、ここで終わる王ではない。
ここで、かの悪名高い女癖が発揮されるのだ。
泥酔したものが次々部屋に運ばれいていく中、不幸にもシンドバッドの近くを通りかかり、起こそうという親切心を出した女性がいた。
シンドリアの天才魔導士ヤムライハである。

「あら…? 王よ、こんなところで寝てしまっては風邪をひきますよ!?」
「うぅん…んー?」
「あ、よかった起きてるんですね。さ、寝室に戻ってください。」
「あぁ…やあ、美しいお嬢さん。」
「は、あ…? …王、寝ぼけてないで起きてください。水被せますよ?」

王のセリフにポカンと呆けた彼女だが、シンドバッドとは10年以上の主従関係だ。今更驚くことは何もない…はずだったのだが。

「んもう、兵士を誰か呼んで…っきゃ!?」
「ハハ、随分つれないんだなお嬢さん。夜はまだ長いぞ…?」

ヤムライハが兵士を呼ぼうとしたその瞬間、シンドバッドに腕をとられて腰に手を回されて、いわゆるそういう体勢になってしまった。
杖は外されて手の届かない所に置かれ、今は魔法が使えない。いや、主君である彼に魔法で抵抗するなど、本来はあるまじき行為だが。

「ちょ、王! 離してください。私です! 顔をよく見てください。」
「これはこれは…お嬢さんの方から口説かれるとはね。」
「ちっがいます!! あぁんもうっ、誰かー!」
「いけないな、二人きりの時にそんな無粋な叫びをあげては…。お嬢さんの美しい顔が台無しだ。」
「王よ、私ですヤムライハですっ! あなたの臣下ですよ!?」

判別がつかないほど泥酔しているらしく、シンドバッドは海色の髪を梳き笑っているだけだ。だが彼女は知っている。これは手を出す前兆であると。
いっそ殴ろうと拳を固めたヤムライハの声を聞きつけ現れたのは、幸か不幸かシャルルカンとヒナホホだった。

「おーいバカ女、何叫んでんだ…ってええ!!?」
「はあ……おいおいシンドバッド…。」
「ヒナホホさんっ…と剣術馬鹿! どーにかして!!」

そうヤムライハが叫ぶのとヒナホホがシンドバッドをむんずと掴み彼女から引きはがすのはほぼ同時だった。ヤムライハは威嚇する猫のようにフシャーーーっと唸っている。
涙目の彼女が杖を一振りすると、降ってきた大量の水がシンドバッドの酔いを醒ました。

「うお、つっめてぇな!! あれ、ヒナホホ? おい、ヤムライハ!?」
「さ…最低です王よ! ジャーファルさんに報告してきます!」
「え、えぇええ!? なんだ、どうなってるんだシャルルカン!?」
「え、あ、いやあ…お疲れ様っしたあ!」

その後、国王よりも恐ろしいシンドリアの聖母の殺気が、島の森にまで届いたとか届かなかったとか。